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2010春夏東京コレクション

10年春夏 東京コレクション報告〈後編〉 時代に逆らう

2009年11月9日11時28分

写真:ビューティフルピープル拡大ビューティフルピープル

写真:ミントデザインズ拡大ミントデザインズ

写真:まとふ拡大まとふ

写真:ミハラヤスヒロ拡大ミハラヤスヒロ

写真:リチウム・ファム拡大リチウム・ファム

写真:ナオキタキザワ拡大ナオキタキザワ

 新しい服で、ファッションの可能性を広げたい――。不況やファストファッションの隆盛の中でも、2010年春夏東京コレクションのランウエーからはデザイナーたちの熱意や創意工夫が伝わってくる。最先端の極薄繊維で新しいフォルムを追求したり、ある時代や場所の美を再解釈したり。これが今の東京リアルクローズのかたち。

 ビューティフルピープルのショーは、ジミ・ヘンドリックスのギターが奏でるアメリカ国歌で始まった。69年のウッドストックの“祭りの後”を、上質な服の着くずしで表現。デザイナーの熊切秀典は「くすんだ色の中にちょっとキラキラした感じを出して、カジュアルじゃない着くずしを見せたかった」。タイトなニットの袖をたくし上げ、クロップト丈のパンツにウエスタン調のサンダル。東京ストリートスタイルの代表的な要素「ドレスダウン」を、洗練された大人の街着に仕立て上げてみせた。

 ミントデザインズ(勝井北斗、八木奈央)のテーマは「キラキラ・ピカピカ・ヒラヒラ・フワフワ・スケスケ・サラサラ」。光沢があり、透ける軽い素材を組み合わせて流れるようなドレープやギャザーを作り、風にそよぐようなドレスを並べた。「自分たちなりの上品でぜいたくな気分を出した」と勝井。

 まとふ(堀畑裕之、関口真希子)は戦国時代の武将で茶人の古田織部とその茶器がテーマ。織部焼特有の緑青色をプリントしたワンピースや、きびそという絹素材を使った立体的なジャケットなどを発表した。堀畑は「茶室の心地よい緊張感と遊び心の融合を目指した」と語った。

 3年ぶりに東京で発表したミハラヤスヒロ(三原康裕)のレディースのテーマは「女神」。ロック歌手パティ・スミス、マドンナら「自由や解放を訴え、時代を作り上げた女性」への敬慕と賛美を優雅なスタイルで見せた。糸にポリエチレンを入れて形状記憶させた極薄のニットは、セクシーさの中にほのかな聖性も感じさせた。

 「東欧の女性の強さ、美しさにひかれる」というアキラ・ナカは、シンプルなテーラードジャケットや、ロックテイストの鋲(びょう)使いなど、マニッシュな作りを採り入れることで、逆に女性的で柔らかな美を際だたせた。レザーやデニムも多用した。

 リチウム・ファム(平松剛)はボンデージをテーマにメンズと対になった服を並べた。光るショールカラーのウエストを絞った白いジャケットでエッジを利かせ、ジョパーズ風のデニムで緩め、足元にボンデージテイストのサンダル。束縛と解放が同居するセンスが光った。平松は「こういう時代の中で解放されたい。だから逆のことがやりたかった」という。

 ナオキタキザワ(滝沢直己)は東大総合研究博物館の西野嘉章教授と協業し植物などの古い顕微鏡写真をモチーフに、極薄のポリエステルに細かなプリーツ加工を施したドレスを披露。モードとサイエンスが融合した表現領域をさらに広げた。滝沢は「100年前の学術資料をデザイン資源に、最新の合繊で立体化し、着て初めてテキスタイルも完成するという考えで作った。もの作りの視点を変える時ではないか」と語る。(菅野俊秀、小川雪)

◆写真はナオキタキザワをのぞき大原広和氏撮影

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