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芯の強い香りで個性演出 フレグランス最新事情

2009年11月23日14時19分

写真:ブルーベル・ジャパンの新商品拡大ブルーベル・ジャパンの新商品

写真:「アニック・グタール」の店内=齋藤順子氏撮影拡大「アニック・グタール」の店内=齋藤順子氏撮影

写真:調香師、大沢さとりさん拡大調香師、大沢さとりさん

写真:18世紀のマイセン製香水瓶=齋藤順子氏撮影拡大18世紀のマイセン製香水瓶=齋藤順子氏撮影

写真:酢を入れてきつけ薬にも使われたという18世紀のボトル=齋藤順子氏撮影拡大酢を入れてきつけ薬にも使われたという18世紀のボトル=齋藤順子氏撮影

 着こなしの仕上げの決め手といわれるのが、香り。最近では、香水からボディークリームまで各種のフレグランス(芳香性化粧品)が発売され、つけ方も多様化している。香りのトレンドもファッションのそれと同様に、軽やかで柔らかいが芯のしっかりとした個性派へ変化している。服よりも手軽な価格で個性を演出できる、そんな不況下での経済的事情も背景にあるようだ。

 「ワンランク上の“香りの上達者”を目指す人が、増えてきた」と話すのは、香水輸入販売ブルーベル・ジャパンの小磯良江パルファムコンサルタント。数種のフレグランスを仕事、夜、休日と使い分け、自分だけのオリジナル香水を注文する傾向が目立つという。

 特に、90年代初めに香水ブームを経験した30代が、再び興味を持ち始めたこと。また、服よりも小物やメークなどで内面的な自分らしさを表現する傾向が進んでいることや、それが服より安価で多様に楽しめる点が受ける理由らしい。

 しかし、香りのトレンドが欧米のようにファッションとリンクし始めたのは、つい去年あたりからだ。日本での香水人気は、90年代前半はフルーティー、2000年代前半はフレッシュで透明感のある軽い花のにおいと、独特の傾向が続いていた。それが最近は、女性らしさを残しつつ芯の強さもあるという、最新のトレンドが表現する女性像に近い香りになった。その代表という主にバラを原料とする商品を、ブルーベルはこの秋、一気に6種ほど発売する。

 また、こうした傾向を受けて、人気だったユニセックスのタイプも急減。最近は逆に女性用の香水を求める若い男性が増えている。 最近の香水のトレンドについて、イヴ・サンローラン・ボーテのルノー・ド・レスカン総責任者は「強くてユニークな香りが戻ってきた」と見る。多くのブランドが過去の歴史的な商品に現代性を加味した復刻版を発売している。「時を経ても変わらない品質が、安心感を生むのでは」という。

 香水だけを代々作ってきたメゾン系と呼ばれるブランドも再注目されている。創業1980年、主に自然原料を調合する伝統的な製法を続けているフランスのアニック・グタールもその一つ。パリの同店で、創業者の娘で後継者のカミーユさんは「母と同じように、自分にわき上がってくる感情だけに従って作る」という。そんな感覚が個性を求める今の女性たちに好まれているようだ。

 個性派といえば、「日本人に合う香り」の提案も注目されている。コケやソメイヨシノ、ほんのり甘いネムの花……。そんな香りを演出するパルファン・サトリの調香師大沢さとりさんは「四季折々の微妙な淡い香りを好む私たちの情感や体臭になじむものを目指した」という。

 ただ、矢野経済研究所によると、日本のフレグランスの市場規模はまだ化粧品全体の1・2%の約280億円。だが、もともと香りへの深い文化をもつ日本で、フレグランスが伸びる余地はまだまだありそうだ。

■白鳥・リンゴ…容器も様々 パリ・香水博物館

 パリのオペラ座の脇、約150年前に建設された建物にある香水博物館には、1926年創業の香水メーカーフラゴナールのオーナーの収集品約2500点が展示されている。

 入り口近くでは、主な生産地グラースで採れる原料や製造法の推移を紹介。香油を煙であぶる昔の製法から、フランス語で香りを意味するパルファンの語源が「煙によって」との意味だったことなどが分かる。

 香水が貴族のステータスを誇示した17〜18世紀の流麗なボトルが圧巻。白鳥をかたどったマイセン製の陶器や疫病を防ぐとされたリンゴ形の容器。気付け薬入れやあいびきの合図となったつけぼくろの入れ物などの変遷も見られる。

 「フランス人にとって香水は、自分の存在を証明する大事な品。その文化の奥行きを知ってもらえれば」と同館。特にアジアからの個人の来館者が増えているという。(編集委員・高橋牧子)

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