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「伝統の再定義」への挑戦 2010秋冬・ミラノメンズ

2010年2月22日11時31分

写真:エルメネジルド・ゼニア
拡大エルメネジルド・ゼニア

写真:写真右:ドルチェ&ガッバーナ/写真中:/モンクレール・ガムブルー写真左:アレキサンダー・マックイーン
拡大写真右:ドルチェ&ガッバーナ/写真中:/モンクレール・ガムブルー写真左:アレキサンダー・マックイーン

写真:写真右:ジル・サンダー/写真左:バーバリープローサム
拡大写真右:ジル・サンダー/写真左:バーバリープローサム

写真:写真右:グッチ/写真左:プラダ
拡大写真右:グッチ/写真左:プラダ

 トレンド発信よりも、自分たちらしさの探求――。先月開かれた2010年秋冬のミラノ・メンズコレクションでは、自らのルーツに立ち戻り、自家薬籠(やくろう)中の題材を強化したブランドが魅力的な服を見せた。不況下で続く原点回帰の流れはここにきて、作り手たち本来の力を呼び覚ましてもいる。

 「heritage」(遺産・伝統)という表現を使うブランドが目立った。その代表格がバーバリー・プローサム。デザイナーのクリストファー・ベイリーが「コートのパレード」をテーマに見せた、ベイリー流のミリタリーを利かせたトレンチコートやフライトジャケットは、薄く軽くという風潮に逆らうような重厚でたっぷりとしたシルエットが新鮮だった。

 ドルチェ&ガッバーナはシチリアの現代史を描いたジュゼッペ・トルナトーレ監督の新作に触発され、今季も故郷シチリアがテーマ。目が詰まったニット風のコートをはじめ、スモーキーな褐色で彩られたコレクションは詩情を誘った。

 創立100周年を迎えるエルメネジルド・ゼニアは生地メーカーならではの上質素材で仕立てたスーツにポロシャツとネクタイを合わせる着こなしを提案。最後はグレースーツのモデルが集団で登場し、100年の厚みと迫力を披露した。

 グッチも「らしさ」にこだわった。キルティングジャケットのスエードの質感はグッチならでは。乗馬服を意識したクロップトパンツの足元は素足にビットモカシン。ブランドカラーが入ったバッグで、これでもかというほどのグッチスタイルが完成する。

 プラダは60〜70年代のスタイルを洗練させて見せた。鮮やかな幾何学模様のコートはプラダのビンテージプリントを生かしたもの。着丈の短いニット、ややフレアなパンツといった組み合わせで、レトロモダンな空気を醸し出す。

 ラフ・シモンズが手がけるジル・サンダーは、ジャケットやニットに様々なパッチの意匠で意外性のある変化を与え、「メンズウエアの伝統の再定義」を試みたという。モデルたちの歩くスピードは、その企てを加速させるように速い。

 モンクレール・ガムブルーのショーは合宿中のスノーボードチームという設定。ベッドで眠るモデルらが起床ラッパで目覚め、一斉に着替える。デザイナーのトム・ブラウンは「集団行動の統一感と、着る動きで分かる服の構造的な要素とのコントラストを見せたかった」。杉綾織(すぎあやおり)のダウンジャケットなど、今回もスポーツとテーラリングの融合を図った。

■マックイーン最期の作品

 そして、アレキサンダー・マックイーンの訃報(ふほう)が飛び込んできた。自殺と伝えられる。メンズは今季が遺作となった。会場の床や柱にも張られたセピア色のプリント柄は、無数の骸骨(がいこつ)と骨で描かれている。以前から彼が使ってきたモチーフだが、万華鏡のような美しさも放つ細密な骸骨の渦は、今にしてみれば、死への傾斜も暗示していたように思われてならない。(菅野俊秀)

 ◆写真は大原広和氏撮影

 世界有数の紳士服展示会「ピッティ・ウオモ」の記事はこちら

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