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愛らしさ 天然素材で上質感 2010年秋冬NYコレクション

2010年3月1日12時32分

写真:タクーン
拡大タクーン

写真:マーク・ジェイコブス拡大マーク・ジェイコブス

写真:ジェイソン・ウー拡大ジェイソン・ウー

写真:デレク・ラム拡大デレク・ラム

写真:アレキサンダー・ワン
拡大アレキサンダー・ワン

写真:プロエンザ・スクーラー
拡大プロエンザ・スクーラー

写真:写真右:3.1フィリップ・リム/写真左:カルバン・クライン=写真はすべて大原広和氏撮影拡大写真右:3.1フィリップ・リム/写真左:カルバン・クライン=写真はすべて大原広和氏撮影

 お祭り騒ぎより、地力をつけて新たな一歩を――。今月開かれた2010年秋冬ニューヨーク・コレクションは、派手さはなくても、素材やカッティング、仕立てに工夫を凝らし、より上質さを追求するブランドが光った。自らの内にエネルギーを蓄え、不況という長い冬の終わりに備えるように。

【フォトギャラリー】2010年秋冬ニューヨークコレクション【ファッション・トレンドセミナー】2010年秋冬はこちら

 開幕直前に大雪に見舞われたニューヨーク。雪が時折舞う中、足元を踏みしめて会場に向かう招待客や関係者の姿は、ファストファッションの隆盛や不況の中でも、着実に歩を進めようとするブランドの姿勢に重なってもみえた。

 一つの大きな流れは、有機的で穏やかな色合いや形。もこもこしたファーやレザーなど天然の素材も目立った。

 象徴的なのがマーク・ジェイコブスだ。奔放な色彩や造形を見せた前回から一転、ベージュやグレー、カーキなどアースカラーとAラインでシンプルに。ダサかわいいとも言えるスタイルだ。一歩間違えばやぼったいが、上質な素材と細部の作り込みでファンタジックに仕立てた。壁も床も段ボールの色で覆われた会場には「オーバー・ザ・レインボー」の甘いメロディーが響き、オーガニックな雰囲気に満ちていた。

 自然や原始的な美をテーマにしたタクーンは、キツネやミンク、アライグマなど異なる風合いのファーを継ぎ合わせたジャケットをはじめ、ファーやベルベット、ウールなど異素材を自在に組み合わせて詩的な美を醸成した。「素材をとことん遊んでみた。楽しかったよ」とタクーン・パニクガル。

 オバマ大統領夫人の舞踏会ドレスを機に、今もセレブリティーから熱い支持を受けるジェイソン・ウー。丸みのあるすそ広がりのドレスは愛らしさにあふれ、見る側も笑みがこぼれる。水しぶきのようなプリント、金の葉っぱをつなげたネックレスなど、ここでも自然を思わせるモチーフが光った。

 イタリアのトッズも手がけるデレク・ラムは、巧みな革使いで大人のウエスタンを提案。元銀行の重厚なホールを会場に、フリンジをきかせたベルトやバッグ、帽子など小物も充実させ、ワイルドでロマンチックな輝きを放った。「富を求めて大勢のアメリカ人やヨーロッパ人がやってきた西部には、若々しい精神と夢が宿っている」とデザイナー。

 一方、細長くタイトなシルエットで引き締め、ぐっと大人っぽくなったのがアレキサンダー・ワン。ウォール街で働く人に着想を得たシャープな重ね着からはウエストや肩をのぞかせ、セクシーな気分を入れた。尾のようにたなびく布の動きもミステリアスなムードを漂わせた。

 プロエンザ・スクーラーは甘さやトラッドを採り入れつつ、暗めのメークでエッジをきかせる。抽象画のような柄のレギンスやミニドレスも強い印象を残した。

 3・1フィリップ・リムは四角い布の形をそのまま生かしたようなスカートや、すそを斜めにカットしたドレスで動きを表現。モデルが歩くたびに揺れて表情が変わり、布の持つ可能性を感じさせる。

 体を包む丸いフォルムは多くのブランドに見られる。内にこもるというより、風をはらんで力強く踏み出す女性像を喚起させた。

 ベテラン勢も技を見せつけた。カルバン・クラインは卓抜したカッティングにより、立体的で滑らかなフォルムのコートを披露。全体にやや抑制的なラインアップが続く中で、ダイアン・フォン・ファステンバーグと25周年を迎えたダナ・キャランは、元気を出せとばかりにパワフルで優雅なニューヨークの女性像を打ち出した。

 ここ数年、アジア系をはじめ台頭した若手デザイナーも新鮮に迎えられた時期は過ぎた。生き残るには確かな感性と技術が必要だ。今後、層に厚みを増すのか、新陳代謝で終わるのか。93年以来、ミッドタウンの公園に特設された会場は、次回からリンカーン・センターに移る。新しい場でデザイナーたちはどんな一歩を踏み出すだろう。(小川雪)

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