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レディー・ガガ、装いアート化

2010年5月21日10時58分

写真:M・A・Cのイベントで歌うレディー・ガガ=川瀬洋氏撮影拡大M・A・Cのイベントで歌うレディー・ガガ=川瀬洋氏撮影

写真:成田空港に着いたレディー・ガガ=AP拡大成田空港に着いたレディー・ガガ=AP

 先月来日し、神戸と横浜でコンサートを開いた米国出身の歌手・パフォーマーのレディー・ガガ。08年のアルバムデビュー以来、ファッションの奇抜さや露出度が物議をかもしてきたが、その服装はもはや装いの域を超え、身体を使ったアート作品に近づいている。彼女が発するメッセージとは、何か。(安部美香子、菅野俊秀)

■奇抜さで物議

 4月20日夜、東京都港区の湾岸エリア。元印刷工場を改装した殺風景な建物に、趣向を凝らした装いの人々が集まった。化粧品ブランド「M・A・C」がエイズ基金のPRのために開くイベントで、広告塔を務めるガガが歌うというのだ。

 客のいでたちはガガに負けじと気合が入っていた。金髪に巨大なリボンをつけた人。キティちゃんを背負う人。和服。バニーガール。主催者のM・A・Cが招待したタレントや読者モデル、ブロガー、派手な女装のドラッグクイーンたちだった。

 ライブの開始は1時間半遅れた。平土間とバルコニーに立って身動きもとれずに待つ700人の前に、ガガは屈強な男性たちを従えて現れ、ピアノを弾いて「スピーチレス」を歌い始めた。

 純白の装いだった。全身を覆うレースのボディータイツ(日本の「ソマルタ」製)にショートブーツ。胸にもレースの布をひだ状にたらし、腹と尻には包帯状の布を、ふんどしのようにきつく巻きつけている。

■全身使って彫刻風

 「服を着る」というより、自分の体を使って一つの彫刻作品を作り上げるかのようなやり方だ。念入りにメークした顔も、白い粉で汚している。表面をきれいに整えることには関心がないらしい。

 もとより、モデルのように均整の取れた体ではない。しっかりと筋肉がつき、充実した20代の女性の体だ。舞台で彼女を抱え上げた男性パフォーマーは、歯を食いしばって重みに耐える風だった。

■「自分知って演出」

 先月13日、成田空港に降り立ったガガは、油性ペンで「東京ラブ」と落書きした純白のエルメスのバッグを手に提げて歩いた。

 最近では、半透明の服から透ける乳首に十字印のテープをはり、頭に巨大なエビのオブジェをつけた姿や、黄色と黒の派手なストライプで、肩が過剰に盛り上がった近未来的ドレス姿なども報道されている。

 「注目を浴びるためにわざとヘンテコにするつもりは彼女にはない」と、ガガのファッションディレクターでスタイリストのニコラ・フォルミケッティさん(32)。「彼女はアートとして生きている。自分のコピーはしてほしくない。自分のしたいこと、信じることをやっていいというメッセージを伝えようとしている」

 ファッション評論家のドン小西さん(59)はリスクを恐れぬ姿勢をたたえる。自分を知って総合的に演出する、客観性もあると言う。「目立つのを仕事と心得て、体のすべてを使って表現することに抵抗がない」

■「マドンナを追随」

 そのステージ姿は「マドンナの再来」とも評されるが、パフォーマーとしての評価はどうか。

 「定期的に現れるマドンナのフォロワー(追随者)の一人。マドンナ以上に画期的とは思わない」と大阪市立大准教授(音楽学・メディア論)の増田聡さん(39)。「マドンナは80年代、マリリン・モンローが体現していた『男性に従順でセクシーな女性スター』というイメージを、挑発的なステージパフォーマンスで読み替え、転倒させた」

 マドンナが老成の仕方を探しあぐねている今、皆がガガの若さとゴージャス感に飛びついた面もあるとみる。その装いは「バイセクシュアルであると公言した上での、同性愛文化と連動したコスプレ」と読み解く。

 音楽ライター小田島久恵さんは「私たちを挑発し、日常を活性化してくれるアーティスト」と評する。

 「マドンナの築いた地平の上にいることは確か」としつつ、意図的なセクシーさでメジャーを狙ったマドンナと違い、自分の居場所を築き、我を貫こうとするガガに一目置く。「セクシーさも含め、様々な要素を引用して、自分のものとして編集する。過剰なものを矛盾なく展開していける『軸』を感じる」

■「メークは勇気くれる」

 M・A・Cエイズ基金では、ガガの名を冠した口紅などシリーズ商品の売り上げをエイズ患者の支援活動に寄付している。そのガガに、メークとは何かと尋ねた。

    ◇

 メークは今ある私を発見するために特別な役割を果たしてくれた。「ガガ」は私のキャラクターで単なるニックネームだけど、今の自分になるには長い年月がかかったし、解放と勇気が必要だった。

 学校は禁止していたから、家でこっそりファンデーションと真っ赤な口紅を塗った。すてきな秘密の儀式。メークは表面的なものじゃない。自分の本質を表現できて、勇気を与えてくれるものだと思う。

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