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老舗ブランド 製品・広告に伝統映す

2010年6月12日10時39分

写真:ショーメのティアラをモチーフにした新作リング拡大ショーメのティアラをモチーフにした新作リング

写真:ショーメ/ジョセフィーヌをイメージした時計の展示拡大ショーメ/ジョセフィーヌをイメージした時計の展示

写真:エルメスの今年のテーマ「語りつがれる“ものがたり”」を描いたスカーフ拡大エルメスの今年のテーマ「語りつがれる“ものがたり”」を描いたスカーフ

写真:エルメスのテーマ発表会で、長い管を通してレ・スーフルールのささやきを聞く人たち=Keizo Kioku氏撮影拡大エルメスのテーマ発表会で、長い管を通してレ・スーフルールのささやきを聞く人たち=Keizo Kioku氏撮影

写真:グッチの1953年のアトリエ拡大グッチの1953年のアトリエ

写真:グッチの復刻柄のバッグ拡大グッチの復刻柄のバッグ

写真:ショーメのティリー・フィッチ社長拡大ショーメのティリー・フィッチ社長

 私たちの源は何か、これからどんな可能性があるのか? 老舗(しにせ)の高級ブランドが、自社の歴史の物語を掘り起こして光を当て、製品作りや広告に生かそうとしている。売り上げ不振やファストファッションの攻勢の中で、原点に戻り、違う視点から今後を模索する姿勢がうかがえる。規模の拡大や生産効率に追われ、忘れかけた伝統の本質を、どんな風に語り継ごうとしているのだろうか。(編集委員・高橋牧子)

■ショーメ

 フランスの宝飾ブランド、ショーメは創立230周年の今年、最初の有力顧客だったナポレオン1世の妻ジョセフィーヌとの物語に焦点を当てた。ブランドの創始者がナポレオンを乗せた暴れ馬を鎮めたことや、それがきっかけで1804年の戴冠(たいかん)式でジョセフィーヌのヘッドジュエリーやティアラを作ったことなどを、新作の形や広告キャンペーンに反映させた。

 新作のティアラには、ナポレオンが彼女に贈った愛の言葉が刻印され、リングはそのティアラから着想した王冠形に。デザインを監修するリオネル・ジロー副社長は「作品づくりには、当時の2人の愛のストーリーを想像することを優先させた」と語る。その物語とジュエリーの表情との関連を考えながら、過去の50万点以上のデザイン画や100万枚以上の写真も参照してデザインを決めたという。

■エルメス

 「語りつがれる“ものがたり”」を今年の年間テーマに掲げたエルメスは、語り継ぐこと自体の大切さを打ち出している。5月末、しっとりと雨に煙る北陸の金沢21世紀美術館で開かれたテーマ発表会では、鉄腕アトムの誕生秘話をひもとく紙芝居や、宮沢賢治、アンデルセンらの童話の朗読が披露され、フランスの街頭詩劇団「詩想レジスタンス/レ・スーフルール」が、長い管を使って、来場者の耳元で詩をささやいた。

 エルメスは、150周年の1987年から毎年の年間テーマを設けてきた。バブル経済崩壊後の94年は「太陽」、仮想のネット社会が進む02年には「手」、05年には環境問題を意識したような「川の流れとともに」……。今年のテーマについて、エルメスジャポンの有賀昌男社長は「語り継がれるたくさんの物語の中に、揺るぎない確かなものがある。それを未来にどう伝えていくか。エルメスが長い時間の中で紡いできたことでもあります」と話した。

■グッチ

 イタリアのグッチも、来年がブランド設立90周年となるのを機に歴史や「メード・イン・イタリー」を強調していくという。広告写真もこれまでのモダンでシャープなイメージから一転して、1953年撮影のフィレンツェの工房の風景を採用した。当時の織り柄を復刻したバッグも発売する。また来年には、そのフィレンツェに過去の製品を集めた美術館を開くという。

■ショーメ社長来日「優れた技術を世界に」

 来日したティエリー・フリッチ社長の話 ブランド市場はここ数年の不景気のせいもあり、どこも似たり寄ったりの商品ばかりになってしまった気がします。ほかとは違う新しさや、皆を驚かせるような革命的なものを創造してこそ、本来のラグジュアリーブランド。そこに多くの老舗(しにせ)ブランドが気づいて、再び原点に立ち返ろうとしているのでは。

 ショーメには230年もの歴史があります。そこからもう一度自由に発想したデザインを、熟練の職人技で仕上げることが大事です。今年から本社のあるパリの、バンドーム広場のいくつかの宝飾ブランドと共に、パリ・オートクチュールコレクションに参加して、我々のエスプリや優れた技術をもっと世界に広めようと考えています。フランス、ひいては世界のぜいたく産業はここから誕生している。そんな物語も大事にしていきたい。

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