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高度な技術・ロマンが満載 仏の宝飾ブランド新作

2010年8月16日11時3分

写真:ヴァンクリーフ・アーペル拡大ヴァンクリーフ・アーペル

写真:ヴァンクリーフ・アーペル拡大ヴァンクリーフ・アーペル

写真:ショーメ=大原広和氏撮影拡大ショーメ=大原広和氏撮影

写真:シャネル拡大シャネル

写真:ディオールファインジュエリー拡大ディオールファインジュエリー

写真:ブシュロン拡大ブシュロン

写真:仏宝飾ブランド「ブシュロン」のジャンクリストフ・ベドス社長拡大仏宝飾ブランド「ブシュロン」のジャンクリストフ・ベドス社長

 世界各地の富豪が集った7月のパリ・オートクチュールコレクション。その最終日にフランスの六つの高級宝飾ブランドが一斉に新作を発表した。今回は各ブランドが自らの歴史の物語をひもとき、より上質な素材や、高度な技術を満載したロマンあふれるデザインが目立った。為替や株価、貴金属の値が忙しく動き、ハイジュエリーは新たな投資対象として、いっそう美術的な価値が求められているようだ。(編集委員・高橋牧子)

■「海底2万マイル」

 触るとダイヤモンドの潮を噴くサファイアのクジラ形クリップや、波間をぴゅっと飛び出す仕掛けの、ダイヤとサファイアによるカジキマグロのクリップ。ストーリー性のある詩的なデザインが特徴のヴァンクリーフ&アーペルの新作は、ずばり「物語」にフォーカス。ジュール・ベルヌの「海底2万マイル」など4作の冒険小説からイメージをふくらませたという作品は、わくわくする遊び心と躍動感、そして格別の豪華さに満ちていた。

 たとえば、伝説の厚皮動物が、故障した熱気球を引っ張る場面から発想したというゾウのダイヤのクリップ。耳の灰色のダイヤが光と影を強調し、気球に見立てたハニーオレンジの48.13カラットのトパーズが鼻でつり上げられる。

 何年もかけて集めた同じ色合いのルビー40個を使い、アンドロメダ大星雲に見立てたネックレス。また、火山の噴火や仲むつまじい親子連れの動物など、地球環境や家族愛の尊さを喚起するような作品も。スタニスラス・ド・ケルシズ社長は「社会が急変する中、永続的な物語が求められている。それを極上の形で提供するのが私たちの役目」と話した。

■おとぎ話に魅了

 創業230年のショーメは、ナポレオン1世の妻ジョセフィーヌに作って以来アイコンとしているティアラを軸に、宝飾ブランドでは珍しいショーを開いた。ダイヤのティアラのほかにも、ハチやクモの巣など、ブランドの象徴的なモチーフを入れたネックレスを髪に巻いたり、シニョンに指輪をつけたり、様々なコーディネートを提案した。

 シャネルは、創始者が1932年に発表した羽根のブローチを復刻し、メーンに据えた。長さ25センチほどもあるダイヤとホワイトゴールドのブローチは、全体が微妙にしなり、体の曲線にぴたりと沿う。

 ディオールのハイジュエリーのブランドも創始者が好んだバラのモチーフや、量感のある石を大胆に使った、おとぎ話を思わせる指輪を見せた。

 ブシュロンは1858年の創業時からデザインの信条だという「官能性」に焦点を当て、「誘惑のかけひき」をテーマにした。香水やランジェリーなどからヒントを得た流麗なネックレスは、どれも一部を外してブローチやイヤリングとして使える。パウダーパフ風のイヤリングは、本物の羽毛の中でダイヤやサファイアが星のようにきらめいていた。

■「ブシュロン」ベドス社長に聞く

 投資対象として需要 手仕事の価値訴える

 株や土地よりはるかに安全な投資対象として、ハイジュエリーの需要が伸びている。また、不安な時代の心のよりどころとして、人々の情緒や五感に深く訴えかけるデザインが好まれる傾向にある。

 現代女性は、かつてのように社会的な地位の象徴や特定の男性のためではなく、自分自身のシンボルとして宝飾品を選ぶようになった。そうした成熟市場に対し、これまでの大量生産・消費の時代とは違う、ユニークさや卓越した手仕事の価値、永続性を訴えていきたい。

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