2010年11月21日11時16分
ブランドバッグで知られるフランスのルイ・ヴィトンが、超高級なハイジュエリー分野に本格的に参入する。宝飾専門のデザイナーを起用し、来年末に老舗(しにせ)宝飾店が軒を並べるパリ・バンドーム広場に旗艦店と工房を開く予定。来日したイヴ・カルセル本社代表取締役会長兼最高経営責任者(CEO)が、単独インタビューで語った。
南国の花飾りレイを表現したネックレス=写真[1]、夜の輝くエッフェル塔を模したダイヤモンドのペンダント=写真[2]……。今年9月、ルイ・ヴィトンはパリの宝飾見本市にハイジュエリーを初出展した。価格は数百万円から億を超える豪華なものだった。
ブランドにとって、服や靴、時計に続く多角化の一翼となる。とはいえ、きっかけは「チャーミングな偶然の出会い」(カルセルCEO)からだ。ブランドのクリエーティブ・ディレクター、マーク・ジェイコブスが、飛行機内で、見知らぬ女性から「生まれたての娘が18歳になるまで、毎年ダイヤのチャームブレスレットを作って欲しい」と頼まれたからだという。
「どの分野でも独自の工房を作り、その道の専門家を目指してきた。石の斬新なカットを生み出し、離れて見てもブランド名が分かる、最高級品を作るべきだと考えた」
こうした宝飾に乗り出すブランドが目立つ。背景には、「高級ブランド離れ」が続く中で、単価や利益が高く、しかもブランドイメージを上げる効果があるといわれる。
パリに予定の店は広さ150平方メートルで、建築家ピーター・マリノが手がける。中国やインド、ロシアなど新興市場の富裕層はもちろん、日本の一般客も期待する。
「あらゆる分野で最初に変化の兆しが現れるのが、日本市場。時計などの高額品が、若者からさらに上の年齢層にまで堅調に売れ始めている。安価な大量生産品から洗練された高級品へ。そんな志向の変化を先取りする日本市場は、きっと反応してくれると確信しています」と語った。(編集委員・高橋牧子)