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「ランウエーショー」は必要? 映像で街中で新作発表

2010年12月3日12時4分

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写真:ガレス・ピューの11年春夏作品拡大ガレス・ピューの11年春夏作品

写真:アンダーカバーが発表した「アンダーマン」の特撮写真拡大アンダーカバーが発表した「アンダーマン」の特撮写真

写真:広場などで作品を見せたビューティフルピープル=大原広和氏撮影拡大広場などで作品を見せたビューティフルピープル=大原広和氏撮影

 ファッションの新作発表といえば、それをまとったモデルが、客の目の前を歩く「ランウエーショー」が定番だった。ところが、パリや東京のコレクションで、ビデオ映像や写真、また街中でのパフォーマンスなどで表現するブランドが目立ち始めた。新しいリアリティーや多様なメッセージが、新時代の「発表」の仕方を求めているようだ。(編集委員・高橋牧子)

 いまパリ・コレクションで最も期待されている新進の一人、ガレス・ピューは、2011年春夏の新作を斬新に作り込んだビデオ映像で見せた。服の微妙な雰囲気やディテールがどきどきするほどダイナミックに伝わってくる。

 幾何柄のシフォンのミニドレスや鋭角的なメンズ調パンツを着たモデルの姿が、瞬く間に揺らぎ、重なる。新作の服が醸し出すゴシックと未来感覚、生と死、美と醜といった相反する要素が、映像によって増幅される。ピューは「ショーよりも美しく見せられるし、ネット時代には映像の方にリアリティーがあると思う」と説明した。

 ランウエーショーには、音楽や会場設定、モデル選び、ヘアメークなどの演出も含め、総合的にシーズンの方向性を示す目的があった。もしそれをしのぐ効果が出せるなら、手段は別でも良いはずだ。従来のように資金不足などではなく、近年は、より時代にマッチした手法として、ショー以外の方法が模索されているように見える。

 たとえば、今年他界したアレキサンダー・マックイーンも、最後に手がけた10年春夏のショーで、練り上げた美しい映像をショーと同時に併用しインターネットでライブ中継して話題を集めた。ヴィクター&ロルフは09年春夏、オンラインで新作を発表した。

 10月の東京コレクションでも、若手のホープ、アグリ・サギモリが、映像作家と協力して作った甘美で神秘的な映像を披露した。鷺森アグリは「せっかく作った服を見せるのに、1回きりのショーではもったいない。映像なら自分の頭の中の世界をストレートに伝えられるし」と語った。

 ビューティフルピープルは、東京・六本木の東京ミッドタウン内のあちこちにモデルを立たせた。手に持つ風船にはツイッターのつぶやき言葉。デザイナーの熊切秀典は「業界の専門家だけでなく、街のいろんな人の感想が面白い。今なら、この方法がなじむと思った」と語る。

 一方、アンダーカバーはパリ・コレ期間中に現地で、「アンダーマン」という変身キャラクターを題材にした写真と、服の新作を並べた展示会を開いた。写真は、ヒーロー物語の設定で、爆発シーンなど特撮を交えるほどの念の入れよう。ショーと同じくらいの経費がかかったという。

 こうした多様な「発表」が試みられることについて、アートディレクターの浅葉克己さんは「コンピューター・グラフィックなどのものすごい進化で、単純に服を見せるより、はるかに多くのことを伝えられるようになったからでは」とみる。

 同時に、ショーのあり方に象徴される、現代のファッションシステムへの疑問や反省への契機もうかがえる。効率優先で市場を拡大してきた中で、作り手の多様な表現の可能性や、着る側の生活実感が軽視されていなかったか。最近は、新興国向けのわかりやすい服ばかり並べた派手なショーの増加など、ショーの形骸化が指摘されている。ショーのネット中継が広がる半面、肌で感じる臨場感こそがファッションの本質として、ショーを重視する動きもある。

 「表現のための思考回路が広がる中で、時代の流れを見据えた表現方法をもう一度考え直すことが求められている」(浅葉さん)

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