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コムデギャルソン アジアで続々大型店

2011年1月31日10時27分

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写真:コムデギャルソンのソウル店内。右奥の「トンネル」と呼ぶスロープ状の廊下が次の階に続く=ジミー・ペ氏撮影拡大コムデギャルソンのソウル店内。右奥の「トンネル」と呼ぶスロープ状の廊下が次の階に続く=ジミー・ペ氏撮影

写真:ソウル店の外観。左奥に伸びるのが「コムデギャルソン通り」=ジミー・ペ氏撮影拡大ソウル店の外観。左奥に伸びるのが「コムデギャルソン通り」=ジミー・ペ氏撮影

 デザイナー川久保玲が率いるファッションブランド「コムデギャルソン」のアジア進出が続く。昨年はソウル、北京に大規模店を開店、今月末にはシンガポール、来年春には東京・銀座に出店を予定する。前衛的で決して万人受けする服ではないのに、なぜ、今アジアから熱い視線を浴びるのか。

◆ソウル・北京 企業が誘致

 「この道は今やコムデギャルソン通りと呼ばれています」。店舗1階のカフェで、コムデギャルソンの服を着こなしたチョン・ファギョンさんは言った。

 昨年8月、ソウル市内の高級住宅街、漢南洞(ハンナムドン)の5階建てのビルがまるごと、コムデギャルソンのソウル店としてオープンした。サムスンが持ちビルを提供して誘致。チョンさんは同社のアパレル子会社「チェイル」の常務として開店を仕切った。子会社の副社長はサムスングループ会長の次女イ・ソヒョン氏。近年、世界的なブランドを積極的に誘致しているという。

 白を基調とした店内はもちろん、ガラスの外壁に透ける水玉模様の壁まで、川久保の指示で全面改装した。1〜5階にコムデギャルソンやジュンヤ・ワタナベなど、展開する全13ブランドが入り、1階にカフェ、地下にはアートスペースを設けて、ビル全体でコムデギャルソンの世界観を表現するという。面積1700平方メートルは東京の青山店の3倍近くに及ぶ。

 店のある漢南洞は、有名ブランド街からは川を隔てた北側。2004年にサムスンが美術館「リウム」を開館し、文化エリアにしようと力を入れる地区だ。ギャラリーやブティックが増え、流行に敏感な人が集まり始めている。

 昨年末には北京に「I.Tベイジンマーケット・コムデギャルソン」が開店した。香港のアパレル企業「I.T」の誘致で、4階建てのビルにコムデギャルソンの全ラインを並べ、川久保とI.Tの両者が選ぶ他ブランドの服も置く。1800平方メートルの面積はソウル店を抜いて世界最大だ。

 今月はシンガポールに300平方メートルの店。2月5日には東京・丸の内に500平方メートルの直営店。さらに来年春には、銀座で建て替え中の小松アネックスビルが、3千平方メートルの「ギンザコマツ・マーケット・コムデギャルソン」に生まれ変わる。

◆前衛の活力 求められ

 80年代以降、コムデギャルソンはパリやニューヨーク、ロンドンに自前で直営店を開いてきた。だがソウルや北京は、現地企業に請われての出店だ。規模も大きく、ブランドの全容を紹介する工夫がこらされている。

 なぜアジアで求められるのか。

 韓国の専門紙「ファッションビズ」編集長のミン・ウンソンさんは、サムスンの狙いについて「コムデギャルソンの前衛的なイメージを利用し、地域の文化的価値を高めようとしている」。また、韓国在住のノンフィクションライター菅野朋子さんは「まだあまり知られていないので希少価値があり、人とは違う優越感が得られる」と、本物志向の高感度な消費者に訴えるブランド力をあげる。

 中国での反応について、東レ経営研究所の坂口昌章客員研究員は「急激に流入した欧米ブランドへの反動で、アジアのアイデンティティーを見直す動きがある」と指摘。中国ではセクシーで露出過多な欧米の女性服への反発がある一方、中国人デザイナーの力量はまだ欧米の水準に及ばない。その点、同じアジアながら、欧州で実績を積んだコムデギャルソンにあこがれを持つ、と分析する。

 実際、売れるのだろうか。

 「日本より売れるのでは」という坂口さんは、「バーリンホウ(80后)」と呼ばれる80年代生まれの世代で、比較的裕福で洗練された層がターゲットになるとみる。韓国のミンさんも「芸能人がオフに着ているので若者が注目している。偽物も出回り始めた」。

 69年に創立され、81年からパリで新作を発表するコムデギャルソンは、創始者の川久保自身が創作の一線に立ち続けている。ほつれや穴のある服、体の一部がこぶのように膨らんで見える服などで度々物議を醸してきた。

 川久保は北京店開店にあたり、「(中国の)小売店の形式を破壊し、訪れることで強く刺激され、自分自身であることを楽しめるようなショップを創造する」と抱負を語っている。服のデザインだけではなく、店の空間づくりも重要な表現の手段だという。

 ファッションジャーナリストの原由美子さんは「それまでなかった服で欧州の伝統を破壊した。今もまだ前衛を貫く姿勢は、世界でもまれなこと」と評価する。

 「コムデギャルソンは、着ることで元気になる服。日本ではナチュラルな服が全盛だが、着てやるぞという勢いやパワーが、今のアジアにはあるのかもしれない」(安部美香子)

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