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物作りの現場 伊ミッソーニと仏グスタボ・リンス

2011年2月21日10時32分

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写真:カラフルなニットで知られるミッソーニの工場=佐田美津也氏撮影拡大カラフルなニットで知られるミッソーニの工場=佐田美津也氏撮影

写真:独自に開発した編み機から生まれるミッソーニの生地=イタリア・スミラーゴ、佐田美津也氏撮影拡大独自に開発した編み機から生まれるミッソーニの生地=イタリア・スミラーゴ、佐田美津也氏撮影

写真:アンジェラ・ミッソーニ=大原広和氏撮影拡大アンジェラ・ミッソーニ=大原広和氏撮影

写真:グスタボ・リンス=パリのアトリエ、大原広和氏撮影拡大グスタボ・リンス=パリのアトリエ、大原広和氏撮影

 製法の秘訣(ひけつ)を思わず聞きたくなる魅力的な服がある。複雑な多色使いのニットで知られ、最近、人気上昇のミッソーニ、そして流麗な布さばきがパリ・オートクチュールで注目されている新進グスタボ・リンスもその一つ。両ブランドの物作りの現場を訪ねた。

■ミッソーニ

 ミラノから北方に車で約40分の町スミラーゴ。霧が煙る雑木林の中にミッソーニの本社があった。創始者の長男で最高経営責任者のヴィットリオ・ミッソーニと、隣接する工場に入った。「工場というよりサルトリア(仕立屋)かな」とヴィットリオ。

 ミッソーニは、自社製のニット地を布のように縫って服を仕立てる製法の草分け的な存在。1階では女性を中心とした約60人の職人が、企画スタッフと相談しながら、独特のジグザグや花柄地を裁断し、手で縫い合わせている。今月末に発表する新作のサンプルを作っていた。

 上階には、カラフルな糸巻きがついた編み機がずらりと並ぶ。多い物で12色。糸の太さや形状も様々だ。生地を作る機械やプログラムは自社製作。ミッソーニのニットは色あせしにくいといわれる。自社で糸から染め、品質を保つため、70色ほどの生地見本を毎シーズン作り直しているからではという。

 ミッソーニは1953年にこの地で創業。当初は運動着を作っていた。やがて独創的な色柄やデザインのニットを次々と発表。普段着だったニットのステータスを上げたと評される。

 豊かな自然の中、家族経営で、企画と工場を一体化した生産体制を保ってきた。「同じ空気を吸い、同じ商品に触れて育った者が、その感覚で“カラフルなニット”というブランドのイメージを伝えていく。大企業グループと戦うためには、他社と協業などをしつつも、一貫性のある明確な伝統を保つことが大事」とヴィットリオは語る。

 一方、広告の刷新などでブランドに活気を与えたのが、創始者の長女で、97年からクリエーティブディレクターを務めるアンジェラ。同じ企画室に、娘のマルゲリータも働く。アンジェラは「伝統と品質という根があるから、前に進める。言葉に例えるなら、時代に合わせて慣用句を豊かにしていくこと。女性は自分が快適と思えて自分らしくいられる時がエレガントに見える。次代のエレガンスを探したい」。

■グスタボ・リンス

 個性的な店が集まるパリ・マレ地区。今季からパリ・オートクチュール協会の正式会員になったグスタボ・リンスの仕事場は、布の切れ端やボディーなどがひしめき、「手仕事」の気配が満ちていた。

 壁には、あちこちに日本の着物が掛けてある。「着物は魔法のような不思議な何か。歌麿の浮世絵の髪形や姿勢、背景なども参考にします」とリンス。例えば、こんな風にと、その場でボディーに古い着物を当てて様々な量感を試す。「この布のゆとりのような、また神社などの漆塗りの台にひとはけ塗られた色のような、そんな感じの軽さがシックだと思う」と語る。

 ブラジル生まれで建築を学んだ後、28歳で好きなモードの世界へ。素材とその扱いを知っていればうまくいくのは、建築と同じだという。

 工房のメンバーは6人だけ。品質検査ではじかれた品などをリメークするエルメスの企画にも取り組む。スカーフの小さな傷をつまんで「ここを折り紙みたいにたたんで革をつけてベルトにするか。まてよ、馬の毛を合わせて帽子にしよう」などと、楽しげだ。「モードは形と色の遊び。想像力を駆使して夢を表現することが大切なのです」(編集委員・高橋牧子)

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