2011年3月28日10時33分
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日本発の現代ファッションを紹介する展覧会が、海外で相次いで開かれている。1980年代以降のデザイナー作品から、アキバ系や森ガールの紹介も。三宅一生らが世界進出して30年以上。様々な挑戦が、いまや一つの大きな流れとして位置づけられるようになったようだ。
2月初旬までロンドンで開かれ、現在、独ミュンヘンで開催中の「フューチャー・ビューティー 日本ファッションの30年」展。京都服飾文化研究財団が所蔵する日本人デザイナーの衣装約120点を中心に、魅力や意義を検証している。
ロンドン会場は、バービカン・アート・ギャラリーの2フロア。吹き抜けの天井から下げた日本製の包帯地という白布から作品が幽玄に透けて見える。作品は五つのテーマで構成され、「陰翳(いんえい)礼讃(らいさん)」では、型を破り、黒の豊かな階調表現を実現した服として、川久保玲や山本耀司らの初期の作品が並ぶ。
「平面性」では、西洋の立体的な構成とは違う三宅一生らの平面的で自由な造形性。「伝統と革新」では、日本の独創性や素材が渡辺淳弥やミントデザインズらに引き継がれていること。そして「クールジャパン」では、マンガやゲームなどに影響されたポップなスタイルを展示した。
展覧会は、約3万5千人が入場。来場した英国人弁護士は「日本の服はシンプルで素材や細部の全てに意味が感じられる」。イタリアのアート系大学院生は「これは美とアートそのもの」と語った。
京都服飾文化研究財団のチーフ・キュレーター深井晃子さんは、「日本ファッションの骨組みの強さや多様性こそが、新たな形を模索する現代ファッションに求められているのでは」と語る。共同企画したバービカン・アート・ギャラリーのケイト・ブッシュさんは「感覚や色、形に加えて、より深い概念を忍ばせた抽象的で知的なアプローチが西洋とは異なる。ファッションの基礎を再定義したのだ」という。
ニューヨークのファッション工科大の美術館では、4月までの約6カ月間、「ジャパンファッション・ナウ」展が開催中。三宅らのほか高田賢三や松田光弘の70〜80年代の作品、80年代以降のストリートファッションの集大成も。
ロリータやゴシックパンク、ゴスロリを始め、奇抜な刺繍(ししゅう)の暴走族や応援団スタイル、ジーンズとスニーカーのアキバ系や制服、森ガール。若手デザイナーのメンズスタイルもひとくくりにされた。
企画者のバレリー・スティールさんは「新感覚を取り入れる速さと独自性がある。政治的、社会的な主張と無関係な点も興味深い」という。
また、ロンドンのビクトリア&アルバート美術館では、7月10日まで「ヨウジヤマモト」展が開催中。過去の代表作約60点を集めたメーン会場の他に、広い館内に美術収蔵品と共に約20点が宝探しのように置かれる趣向が面白い。静かで日本的な「間(ま)の美」を感じさせた。キュレーターのリガヤ・サラザーさんは「ヨウジの服は色や形、素材、強靱(きょうじん)さや両性具有的な表現などで西洋の服作りの概念を変えた」とみる。
最近のパリ・コレクションでは、ルイ・ヴィトンやジバンシィなどが、日本文化やスタイルをヒントにしていた。日本ファッションの奥深さや多様性を理解しようとする、こうした展覧会の流れとつながる感覚なのかもしれない。(編集委員・高橋牧子)