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服との新しい出会い方 寅さん流やネット投稿

2011年5月30日10時31分

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写真:客と生地選びをする「STORE」の國時夫妻(左側)=高松市内のギャラリー「NISHI NISHI」、竹端写す拡大客と生地選びをする「STORE」の國時夫妻(左側)=高松市内のギャラリー「NISHI NISHI」、竹端写す

写真:生地選びが終わったら、その場でミシンで縫い合わせる。約5分で完成品に=高松市内のギャラリー「NISHI NISHI」、竹端写す拡大生地選びが終わったら、その場でミシンで縫い合わせる。約5分で完成品に=高松市内のギャラリー「NISHI NISHI」、竹端写す

写真:fukulog主催のコンテストの優勝者=東京・渋谷、fukulog提供拡大fukulog主催のコンテストの優勝者=東京・渋谷、fukulog提供

 服との新しい出会い方が広がっている。最新デザインを「行商」で地方に届けるブランド。インターネット上を行き交う参加者のコーディネートをネットショップに結びつけるサイト。等身大の視線で、時代の感性を巧みに取り込む。

 「コレはどうですか?」

 「あ、意外と良いかも」

 ゴールデンウイークの最終日、高松市内の一軒家を改装した畳敷きのギャラリーで、國時(くにとき)誠、里織(さおり)夫妻が来客と談笑していた。

 話し合っているのはTシャツの色の組み合わせ方だ。見方によって壺(つぼ)にも人の横顔にも見える絵柄の「ルビンの壺」がモチーフ。組み合わせが決まったら、その場でミシンで縫製、完成させる。

 國時夫妻は東京・西荻窪にブランド「STORE(ストア)」の店を持つ。だが年十数回、車に服や材料、ミシンを積み込み、日本各地で「服の行商」を続けている。

◆日本各地を行商

 「STORE」は誠が美大時代に仲間7人と始めたブランドだ。展示会を何度も開いたがバイヤーは来ない。卒業後、誠だけが残った。誠はデザインしたシャツをトランクに詰め込み、「寅さん行商」と称して売り歩き始める。2005年のことだ。「お客さんと個人的に話すと共感が広がり、響き合えた。その“化学反応”がうれしかった」

 08年から、里織と2人で全国を回る。「頑張って足を延ばすと、それなりに結果がついてくる」という。

 「ルビンTシャツ」をはじめ、シンプルなデザインが多い。「服の趣味が多様化し過ぎて、強烈な服は逆に売れない」からだ。

 “旅情派ファッションブランド”を自任する「STORE」が提供するのは、「服との出会い」。知らない土地に自ら出向く。「今の時代、何を売るかだけでなく、どう売るかも大事です」

 高松では隣県からも人が集まった。「ルビンTシャツ」を買った徳島県の女性は「生地選びの過程も楽しい思い出。着る度に思い出すし、服も大切にします」。

◆リアルなコーデ

 大観衆の前で、自らコーディネートした服でポーズを決める。先月29日、ファッションイベント「ガールズアワード2011」内で、一般の人たちが服のコーディネートを競うコンテストが行われた。

 主催したのは、一般ユーザーが日々のコーディネートを公開できるインターネットサイト「fukulog(フクログ)」。究極のリアルクローズが日々、更新されている。

 気に入ったコーディネートを選び、その服をネットショップで買うことも可能だ。09年に開始。多い時は、月間ユーザー数が70万人を超す。

 「ファッション好きの自分が街ですれ違う人を見て『カッコイイな』と思うことが増えたのがきっかけです」。そう語るのはサイト運営会社の盧茂(ろしげる)社長。ある時期から「雑誌の情報は参考にならない」と感じ始め、「だったらネット上に服と出会える場をつくろうと考えたんです」。

 フクログの特徴は「リアルタイムとリアルコーデ」。全国から毎日届くコーディネートを順位付けせず「“ダダ流し”する」(盧社長)。旬の服を提案する雑誌とは対極だ。

 「フクログ発信の編集や提案はしない。上から目線はダメ。『カッコイイ』という心の動きが起これば、自然と服は売れます」

◆啓蒙から共感へ

 コンテストの審査委員長を務めた、ファッション専門紙「WWDジャパン」の山室一幸編集長は「今の若い世代は情報の洪水から必要な情報を瞬時に選び、コーディネートするのが上手」と語る。一つのブランドへのこだわりは低く、ハイファッションもファストファッションや古着も同時に消化し、着こなす。

 高級仕立て服のオートクチュールから、高級既製服であるプレタポルテへ。さらにファストファッションや日本のリアルクローズに代表される「ファッションの民主化」へ。山室編集長は言う。「今やデザイナー不要論まで出るほど。デザイナーが啓蒙(けいもう)する時代から、ファッションが共感の時代に移ってきたことだけは確かです」(竹端直樹)

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