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11年秋冬パリ・オートクチュールコレクション 繊細さと大胆さと

2011年7月26日10時52分

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写真:【写真1】ジョルジオ・アルマーニ拡大【写真1】ジョルジオ・アルマーニ

写真:【写真2】ヴァレンティノ拡大【写真2】ヴァレンティノ

写真:【写真3】ジバンシィ拡大【写真3】ジバンシィ

写真:【写真4】シャネル拡大【写真4】シャネル

写真:【写真5】クリスチャン・ディオール拡大【写真5】クリスチャン・ディオール

写真:【写真6】ジャンバティスタ・ヴァリ拡大【写真6】ジャンバティスタ・ヴァリ

写真:【写真7】イリス・ヴァン・エルペン拡大【写真7】イリス・ヴァン・エルペン

 2011年秋冬パリ・オートクチュールコレクションが、7月初旬に開かれた。人気ブランドに加えて注目の中堅や新進らプレタポルテからの参入が相次ぎ、変化に富んだ見応えのある作品が多かった。流麗な手仕事を加えたクラシックスタイルが目立つ一方で、大胆な造形で新たな創造性を探る動きも出てきた。

■震災日本への敬意も

 今回の一番のニュースといえば、ジョルジオ・アルマーニ=【写真1】=のショーだろう。東日本大震災で被害を受けた「日本へのオマージュ」というテーマを掲げた。

 キモノを思わせる円柱シルエットに、梅や桜、キリの絵柄。帯ベルトや巾着風の布のおはしょり、浅黄(あさぎ)など日本の伝統色使い。作品全てが和のモチーフで貫かれていた。日本の芸者を撮影した写真集がヒントという。

 見事だったのは、それを単純なジャポニスムではなく、色や素材の対比や意外性のあるカットによって端正で独創性のある最上の服に昇華させたことだ。これなら、モナコ大公妃を始めとする各国のVIP顧客にも似合いそう。

 これに対し、「気持ちは立派だが、作品は中国風。有力新興市場を意識したのでは」と評した地元紙もあった。だが、日本の記者には区別がつく。イタリアの男性記者は「勇気ある行動。作品に好き嫌いはあろうが、水準も高い」と語った。

 アルマーニ自身に日本への思いを聞くと、「日本の文化が好きで心底から尊敬している。だから、その国の人々が心配なのです」と答えた。

 同じイタリアのヴァレンティノ=【写真2】=は、今回も繊細でフェミニンな独自のスタイルを突き詰めて快調だ。流れるレースのロングドレスに、苔(こけ)むしているような微妙な明暗の刺繍(ししゅう)が印象的だった。ジバンシィ=【写真3】=も天使や極楽鳥花をイメージに、ふわふわの極薄ガーゼや1ミリにも満たないビーズ刺繍を駆使した叙情的な純白ドレスをそろえた。

 一方、豪華な演出で驚かせたのが、シャネル=【写真4】=。会場のグラン・パレに、高級ブランドが軒を並べるパリのバンドーム広場を再現。夏の欧州の夕暮れを待っての夜10時からのショーは、またたくガス灯や星とモデルの舞踏会用マスクが相まってロマンチックだった。ツイードのドレスと半球形のペプラム付きジャケットの組み合わせなど、服はクラシックで、最近のシャネルにしては珍しくおとなしい。

 クリスチャン・ディオール=【写真5】=は、エットレ・ソットサスら5人の建築家の作品や、バラの花からヒントを得た。ジョン・ガリアーノの解雇で、主任デザイナー不在のため、強い訴求力こそ欠けるが、凝った立体的なフォルムや手の技で伝統ある工房の存在感を示した。

 アズディン・アライアやジャンバティスタ・ヴァリ=【写真6】=らプレタの人気ブランドの初参加も話題になった。ヴァリは、白シャツにタイトスカートといった定番に微妙な量感をのせ、新境地を開いた。日本からは、ヒロココシノが自ら描いた絵と共に手書き柄のドレスを並べた。

 新進では、オランダ出身のイリス・ヴァン・エルペン=【写真7】=が光った。ぬらぬらと光るプラスチック状の管をまとわりつかせたドレスは内臓のよう。不気味だが、自然からの題材や新素材、大胆な形の不思議な調和で引きつけた。

 今回は、4日間の会期で公式参加は30ブランド。1年前より六つ増えた。ディディエ・グランバック会長は「参加を希望するブランドが急激に増えている」という。ファストファッション人気が一段落し、きちんと仕立てた長く着られる服が注目されていること、実験的な創造性を追求するデザイナーが増えていることが背景にありそうだ。(編集委員・高橋牧子)

 ◆写真は大原広和氏撮影

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