現在位置:
  1. 朝日新聞デジタル
  2. ライフ
  3. ファッション&スタイル
  4. ビューティー
  5. 記事
2012年6月22日10時28分
このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

和製ロリータ、英国に里帰り ロンドンの美術館で特集展

関連トピックス

写真:ビクトリア&アルバート美術館に集合したロリータファッショングループ「Tea Party Club」(c)Victoria and Albert Museum,London拡大ビクトリア&アルバート美術館に集合したロリータファッショングループ「Tea Party Club」(c)Victoria and Albert Museum,London

 装飾美術やデザインの分野で名高いロンドンのビクトリア&アルバート(V&A)美術館で、日本のロリータファッションを特集した展示が開かれている。英国人の関心を呼んだのは、日本のストリートファッションに英国文化が大きく影響していることだ。

■パンクロック・不思議の国のアリスも吸収

 17世紀後半の有田焼や根付けなど伝統的工芸品が並ぶ、同館の日本美術専門の展示室。その一角にこの春、フリルがいっぱいのドレスやチェーン、猫のどくろがプリントされたTシャツなどを身につけたマネキンが現れた。

 ロリータファッションの流れは1980年代にさかのぼり、90年代にジャンルとして明確に認識されたとされる。

 「Kitty and the Bulldog」と題したこの展示は、ロリータファッションを「90年代に『ハローキティ的カワイイ』を好む日本で現れた、過激なストリートスタイル」と紹介。華やかなお姫様スタイルの「スイート」、黒を基調とした華美な「ゴシック」、安全ピンやチェーンをあしらう「パンク」、それぞれの人気ブランドをそろえた。

 「スイート」には『不思議の国のアリス』などビクトリア朝の児童文学、「ゴシック」に70年代グラムロックのデビッド・ボウイに代表される両性具有性、そして「パンク」には、70年代パンクファッションを代表するデザイナー、ビビアン・ウエストウッドの影響を指摘する。ほかにも、レースやリボンをあしらった「モダン着物」など「ジャパニーズ・ロリータ」を展示している。

 この展示は、同館で8月12日まで開かれている、戦後英国デザイン史をたどる「BRITISH DESIGN 1948〜2012」展に関連して、同館東洋部のルパート・フォークナー日本美術担当主任学芸員が企画した。

 日本の現代工芸史が専門のフォークナーさん。「スイート」への英国文化の影響には以前から気づいていたが、調査の中で「パンク」や「ゴシック」とも深い関係があることを発見し、驚いたという。

 マネキン9体と規模は小ぶりだが、ツイッターなどで話題に。5月には、英国内の愛好グループ約100人が団体で訪れる人気だ。

 フォークナーさんによると、英国など欧州にロリータが入ってきたのは00年以降。アニメや漫画文化の浸透が、その基盤となった。深田恭子がフリフリドレスでロリータ命の少女を演じた、04年の映画「下妻物語」(英題「Kamikaze Girls」)の影響もあり、最近は「スイート」が主流という。

 「例えば英国のパンクロックは体制への劇的な反発だった。日本のロリータはそれを吸収して一つの様式にした。でも、体制を変えようとはしていない。個性のアピール手段であって、静かな反発だと思う」とフォークナーさんは分析。展示がロリータ研究への刺激になればと期待する。

 こうした動きについて、京都服飾文化研究財団の深井晃子チーフ・キュレーターは「自分たちの文化から生まれ出た突然変異、という点に面白さを感じているのでは」とみる。「現在のファッションの担い手は若い大衆。ハイファッションに対抗する流れとして注目しているのだろう」

 展示は来年1月27日まで。(ロンドン=増田愛子)

検索フォーム


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介