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10年春夏ミラノコレクション 組み合わせの妙

2009年10月12日

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写真拡大プラダ

写真拡大ドルチェ&ガッバーナ

写真バーバリー・プローサム

写真拡大グッチ

写真拡大マルニ

写真拡大エンポリオ・アルマーニ

 開催25周年を祝うロンドン、数年来の低迷から抜け出せないミラノ。不況により高級ファッション市場が痛手を負う中で9月中旬から英国とイタリアで開かれた二つの10年春夏コレクションは、活気を取り戻そうとイベントやライブ中継などあの手この手の策が盛り込まれた。肝心の新作は、豪華さよりも組み合わせの妙で見せる新スタイルが登場。前シーズンの80年代スタイルに代わって、すっきりとしたミニマリズムなど90年代調が復活した

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 3年後に開催のオリンピック景気に期待がふくらむロンドンでは、6日間で約100ブランドが市内各地でショーを行った。協会に登録したバイヤーや報道陣の数だけでも昨年の4割増。最近はパリなど他都市で発表していたが、今回は25周年祝いで里帰りした人気ブランドも。いつもはロンドンをパスしていた海外ジャーナリストらも久々に顔をそろえた。

 中でも注目されたのは、ミラノで発表している2ブランド。バーバリー・プローサムは、ブランド伝統のトレンチコートを並べた。どれも薄布のドレスのように軽やかで、随所におびただしいほどのドレープが寄せられていた。プリングル・オブ・スコットランドは、繊細さとラフさをうまくミックスした手編みのカシミヤドレスを見せた。

 色はどちらも、パウダーピンクや黄などのパステル調。新進ブランドが中心のロンドンで、優しい若々しさを象徴するような色使いだが、とびきり新しい価値観を示す特徴は見当たらなかった。

 一方、低調が続くミラノは、多くのブランドで観客が約3割減った。日程は8日間だったが、参加約80ブランドのうち有力ブランドは観客を逃すまいと急きょ4日間に集中した。主催協会のマリオ・ボゼッリ会長は「今季を底に景気は回復するはず。何としてでも巻き返します」と苦しい意気込み。ミラノのシンボルである大聖堂の壁面に「ミラノ・ラブズ・ファッション」と大きく照射し、音楽イベントを開くなど、話題作りに懸命だった。

 ショーでは映像を駆使した演出が目をひいた。なかでもドルチェ&ガッバーナは、会場に23台のカメラを設置。最前列に4人の著名ブロガーを招いて、ショー開始の90分前からインターネットで実況中継した。作品はブランド固有のデザインや手法を強調。デザイナーの故郷シチリア近郊の名産品レースを使ったセクシーなドレスや、90年代初めに歌手マドンナのために作ったようなコルセットが並んだ。

 グッチは、このブランドが90年代に世界をリードしたころの一見ミニマルでも実は手の込んだスタイルを思わせた。極薄のワニ革や凝った細部は豪華だが、スポーツウエアの形や機能を取り入れて、すっきりとまとめた。

 マルニやミッソーニも、飾りを排した服や小物を、配色や分量の組み合わせで新鮮に見せるスタイルを提案した。

 そんな中で、創造性で群を抜いたのがプラダ。数十年前の絵はがきを思わせる海水浴場の風景を、絹と合成繊維を混紡したモダンな生地にぼかして転写プリントしたミニドレスが印象的だった。シャンデリアを模したプラスチック片を刺繍(ししゅう)したドレスは、白昼夢のような透明な光を放つ。

 このままでは前に進めない、様々な模索を重ねながらも、成長を信じてきた輝かしい時代への懐かしい思い。そんな今の心象風景を象徴するかのような、記憶の底にある幸せ感とせつなさが見事に表現されているようだった。

 今シーズンは、エンポリオ・アルマーニのように、懐古的過ぎずまたエキゾチックでもなく、シンプルな中に素材やフォルムで現代性を加味した服が光ってみえた。アルマーニが言う「着飾っていないのに、うまくきこなしている感じ」が、派手さや虚栄よりも現実味や内面の豊かさを求める時代を反映している。(編集委員・高橋牧子 写真はすべて大原広和氏撮影)

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