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2010春夏東京コレクション

10年春夏 東京コレクション報告〈前編〉 素直に発信

2009年11月2日

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写真ソマルタ

写真アグリ・サギモリ

写真拡大ネ・ネット

写真拡大ドレス33

写真拡大ガッツダイナマイトキャバレーズ

写真拡大ユキ・トリイ

 2010春夏コレクションの最後を飾る「第9回東京発 日本ファッション・ウィーク」(JFW)が19日から1週間、東京ミッドタウンを主会場に開かれた。リアルクローズを意識した作品が多かったが、自分の興味や関心に立ち戻り、そこから創作していこうというデザイナーたちの姿勢も目に付いた。2回に分けて報告する。

 開幕直前、パリ・コレ期間中に開店したユニクロのパリ・オペラ店には行列ができる一方、ヨウジヤマモトは民事再生法の適用を申請。ファッション界の現状を象徴するような出来事が話題になる中で、中核イベントの東京コレクションには約50ブランドが参加し、新作を披露した。

 ソマルタ(廣川玉枝)は、身体の骨格、甲冑(かっちゅう)など即物的なイメージを広げてきたここ数シーズンから打って変わり、廣川が愛読するベルレーヌの詩「汽車の窓から」を題材にしたロマンチックなコレクションを見せた。

 会場には車窓の風景の映像が映し出され、旅立ちから夕暮れが迫るにつれて、服も白から次第に色づく。淡いピンクの花柄ドレスは、すそに白い透け感のある素材を重ねて気品を保ち、花びらをつけた大きな帽子と首飾りで優雅な甘さをふりかけた。廣川は「3年間、身体性について考えてやってきたことが一段落し、現実と空想が入り交じったような世界観を表現してみたかった」という。

 アグリ・サギモリ(鷺森アグリ)は、中学生の頃から趣味で撮りためていたという古びたドアの写真を発想源にした。「より素直に力強く自分を表せた」と鷺森。朽ちかけた扉や壁の質感は、かすれたジャカードなどで表現した。鈍色(にびいろ)に染めたメンズ調のトレンチコートと短いパンツは、きゃしゃで若々しいが、ダークな感覚の危うさも漂わせる。時を経た物の美しさを新技術で映しだすところに、冴(さ)えを感じさせる。

 いつもはコワカワイイ凝った服を見せていたネ・ネット(高島一精)はJFW期間前に発表。スクール調ジャケットやTシャツなどそっけないほどシンプルでカジュアルな服を組み合わせで新しく見せた。顧客も招き、その場で作品を陳列して他の色や価格も明示した。「わかりやすく身近な日常性を楽しむことが今なのでは」と高島は話した。

 日常性とは対極のはじけた服を見せたのはドレス33(岩谷俊和)。ピカソのキュービスムから想を得て、「何が正しく、何が美しいのか、素材も形もいろんな角度から考えたかった」という。ビニールのような質感のポリエステル素材などを使い、いろんなものがまじわる東京のミックス感もちりばめた。

 ガッツダイナマイトキャバレーズ(キャバレー・アキ、ジャッカル・クズ)のテーマは「ディスコ」。プリント柄のワンピースなどノリのいい服で表現してみせた。「ファッションって、華やかで楽しくないとだめでしょう」とアキ。フィナーレではデザイナー2人もランウエーで踊った。

 ベテラン勢の完成度の高さも印象に残った。ジュン・アシダ(芦田淳)の機能と優雅さを備えたパンツスタイル。ユキ・トリイ(鳥居ユキ)は、ミリタリー調などのトレンドを、軽やかに洗練させて群を抜いた。

(編集委員・高橋牧子、菅野俊秀 写真は大原広和氏、「ネ・ネット」のみ安藤由華撮影)

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