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【時計の祭典 ジュネーブ・サロン】初日 老舗ブランドの原点回帰

2010年1月19日

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写真1)ジラール・ペルゴ ロレアート クオーツ40周年モデル。クオーツ、ステンレススチール、ケース径42.6ミリ、8月発売予定、世界限定40本。1,155,000円(税込み)

写真拡大2)エントランス風景。ここで招待状を見せて、写真付きの入場パスを受け取る

写真拡大3)ジラール・ペルゴ 1966 スモールセコンド。自動巻き、パラディウム、ケース径38ミリ、6月発売予定。1,386,000円(税込み)

写真4)ボーム&メルシエ クラシマ エグゼクティブXL クロノグラフ ムーンフェイズ。自動巻き、ステンレススチール、ケース径42ミリ、4月発売予定。456,750円(税込み)

写真拡大5)ボーム&メルシエ クラシマ エグゼクティブジャパンリミテッド。自動巻き、ステンレススチール、ケース径42ミリ、4月発売予定、日本限定100本。265,650円(税込み)

写真拡大6)リシャール・ミル 「RM022エアロダイン」デュアルタイムゾーン。手巻き、トゥールビヨン、ホワイトゴールド、ケース径48×39.7ミリ、8月発売予定。4000万円(予価)

写真拡大7)リシャール・ミル 「RM017」。手巻き、トゥールビヨン、ホワイトゴールド、ケース径49.8×38ミリ、年内発売予定。価格未定

 国際高級時計見本市、ジュネーブサロン(S.I.H.H.)2010が1月18日から開幕した(22日まで)。毎年3月頃にスイス・バーゼルで開催される「バーゼルワールド」が世界最大規模の時計見本市なのだが、1991年からカルティエ・グループがスピンアウトして独自の時計展示会を発足。今年は第20回を数える記念の年となった。

【フォトギャラリー】ジュネーブ・サロンの時計を写真で

 わずか5ブランドで始まったジュネーブサロンだが、年を重ねるごとに参加ブランドも規模も拡大してきた。2002年からはIWC、ジャガー・ルクルト、ランゲ&ゾーネという本格機械式の老舗(しにせ)ブランドが出展。昨年もラルフローレンが参加したほか、今年も二つのブランドが加わり、全19ブランドとなった。新たに参加したのは「時計界のF1」を目指すハイテク複雑時計で知られるリシャール・ミルと、やはり2人の時計師による超絶的な複雑時計を発表してきたグルーベル・フォーシイ。いずれも超高価だが、希少性も極めて高いユニークなブランドである。

「バーゼルワールド」はチケットを購入すれば誰でも入場できるが、ジュネーブサロンは招待状が必要。クローズドな商談の場なのだが、それだけに高級時計にふさわしい豪華で格調高い雰囲気が演出されていることも特徴。

 開催直前にヨーロッパを襲った大寒波が報道されていたが、今はジュネーブ空港に隣接した見本市会場「パレクスポ」の周辺に雪が残っているだけで、例年より少し寒く感じる程度。会場内も初日から活気に満ちており、高級時計の人気に陰りは見られない。そんな会場から、各ブランドの新作情報を最速でリポートする。

◆代表的なコレクションをさらに強化

 まだ始まったばかりなので断言することはできないが、ここ数年の大きな傾向は「原点回帰」といえるかもしれない。特に老舗ブランドでは、歴史的な傑作の復刻やリニューアルによって、その個性をより効果的にマーケットにアピールできるのはもちろん、代表的なモデルには必ず物語がある。その物語性もまた、高級時計には欠かせない魅力になっていくのである。

◆ジラール・ペルゴ 「1966」

 ジラール・ペルゴは1791年創業。スイスでも老舗のブランドであり、1867年に発表されたスリー・ゴールド・ブリッジ付きのトゥールビヨンはパリ万博で2度にわたって金賞の栄誉に輝いている。近年の代表作は角型モデルの「ヴィンテージ1945」だが、毎年のようにバリエーションを増加。細部もリニューアルが行われてきた。今年の新作でも、これまではケースと風防ガラスだけが曲面だったが、ダイヤルもダイナミックにカーブさせ、時分針の角度もそれに合わせている。当初は限定品からスタートしたコレクションなのだが、今やジラール・ペルゴのイメージリーダーといっていだろう。

 完全な新作としては「1966」のクロノグラフ、アニュアルカレンダー、フルカレンダー、それにスモールセコンド。オーソドックスな丸型ケースだが、スーツにも良く似合う品格が漂う。中でもスモールセコンドはケースに希少なパラディウムを採用。ダイヤルもメタリックシルバーというべき独特の輝きを放っている。世界199本限定も魅力的な設定だ。

 そのほか、ロレアートでは「クオーツ40周年モデル」が登場。ワールドタイマーのww.TCでもクロノグラフを搭載した新作が発表されている。

◆ボーム&メルシエ 「クラシマ エグゼクティブジャパンリミテッド」

 1830年創業のボーム&メルシエでは、今年のテーマをまさに「原点回帰」として、同ブランドを代表する丸型モデルの「クラシマ」に新たなコレクションを追加した。クロノグラフにムーンフェイズを備えた「クラシマ エグゼクティブ」でも、独特のギョーシェ彫りが施されたダイヤルなど、高品質な仕上がりにもかかわらず45万6750円(税込み)と価格も魅力的だ。

 また、日本だけの限定でブレスレット仕様にした「クラシマ エグゼクティブジャパンリミテッド」にも注目したい。高温多湿の日本では一般的に皮革ベルトよりもブレスレットの人気が高いためだが、このブレスレットの仕上がりが抜群で、滑らかに腕に吸いつく。磨きもマットとポリッシュのコンビネーションで、時計本体とのバランスにも優れており、価格も含めてイチオシの新作である。

◆リシャール・ミル 「RM022エアロダイン」デュアルタイムゾーン

 2001年に誕生した新しいブランドだが、これまで時計に使われたことのない新素材と最先端の技術を投入した時計づくりで瞬く間にファンを拡大してきた。時計では最高峰の技術が必要とされるトゥールビヨンのラインナップも多く、歯車の中心部分に貴石などを組み合わせた「RM018」などが登場している。

 創業時から「時計界のF1」を旗印としてきたが、2009年には超音速飛行機の翼の研究をヒントに、地板をハニカム構造にした「RM022エアロダイン」を発表。今年は、それに第二時間帯表示を加えたデュアルタイムゾーンが新作として発表された。細かく説明していけばキリがないほど様々な特長を備えているので、ぜひ店頭でご確認いただきたい。

 また、ケースの厚さがわずか8.7ミリという超薄型のトゥールビヨン「RM017」も仰天の傑作。リューズの機能を選べる「ファンクション・セレクター」も付いている。(ライター 笠木恵司)

◆アエラ・スタイル・マガジン 山本晃弘編集長から

ジラール・ペルゴが、クオーツ40周年モデルを発売。このニュースを聞いて、高級機械式時計の雄として名高いブランドがなぜ? と、驚く読者も多いのではないでしょうか。正直にいえば、かくいう私もその一人でした。

 そもそもジラール・ペルゴは、1791年にジュネーブで創業された老舗の腕時計ブランド。自社で機械式時計を一貫生産できるマニュファクチュアとして、他社へのムーブメント供給も行っています。しかし実はこのブランド、1969年にセイコーと時を同じくして時計用クオーツの開発に成功し、翌1970年にスイスのメーカーとした初めて量産に至ったというエピソードを持っているのです。商品化としての世界初は1969年発売の「セイコー クオーツ アストロン」に譲ったものの、ジラール・ペルゴの開発陣が定めた32768ヘルツという周波数は、いまもクオーツの世界規格となっています。PR担当の荒木さんからこの話を聞いた私たちは、驚きとともに一気に納得したのです。

 ここ数年ジラール・ペルゴは、ブランドの歴史的な背景を見直す作業に取り組んできました。1861年にスイス時計を初めて日本に持ち込んだフランソワ・ペルゴ(創業者コンスタン・ジラールの弟)の墓が、横浜山手の外人墓地に残っているというエピソードを何年か前に聞いたときにも驚かされたものです。スイスの本社には歴史的な資料をリサーチする専属の担当者もいると聞き、さらに驚かされます。ブランドのアイデンティティーが問われる昨今、こうした歴史的エピソードの再発掘は、消費者が購入するモチベーションのひとつともなりうるはずです。(AERA STYLE MAGAZINE)

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