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【時計の祭典 ジュネーブ・サロン】最終日 デカ厚な時計トレンドは一段落か? 

2010年1月25日

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写真拡大1)A.ランゲ&ゾーネ「ランゲ1デイマチック」自動巻き、イエローゴールド、ケース径39.5ミリ。6月発売予定。3,843,000円(税込み、予価)。

写真拡大2)オーデマ・ピゲ「ロイヤル オーク オフショア グランプリ」自動巻き、フォージドカーボン、ケース径44ミリ。世界限定1750本。3月13日発売予定。3,465,000円(税込み、予価)

写真拡大3)モンブラン「タイムウォーカー デュアルカーボン クロノグラフ」。自動巻き、ステンレススチール、ケース径43ミリ。10月発売予定。712,950円(税込み、予価)

写真拡大4)ロジェ・デュブイ「イージーダイバー」自動巻き、ステンレススチール、ケース径46ミリ。300メートル防水。世界限定888本。6月発売予定。1,323,000円(税込み、予価)

写真拡大5)ヴァシュロン・コンスタンタン「ヒストリークLIPS1954」。手巻き、ホワイトゴールド、ケース径31×44ミリ。日本先行発売20本、9月以降の予定。2,814,000円(税込み、予価) 

写真拡大6)ヴァン クリーフ&アーペル「ポン デ ザムルー」。手巻き、ホワイトゴールド、ケース径38ミリ。発売時期未定。12,390,000円(税込み、予価)

写真拡大7)フランク・ミュラー「ライジングサン」。自動巻き、ステンレススチール、ケース径39×55ミリ。日本限定100本。2月10日発売予定。1,155,000円(税込み、予価)

 2010年は腕時計の世界における「節目の年」として記憶されるようになるかもしれない。昨年はそれまで売り上げを伸ばし続けてきた高級時計も、リーマン・ショックによる世界大不況でダメージを受けた。しかし、今年のジュネーブ・サロンはいくつか変化の気配を感じさせてくれたのである。

【フォトギャラリー】ジュネーブ・サロンの時計を写真で

 まず第一に、ケースの大型化、いわゆるデカ厚のトレンドは一段落したようだ。もちろん40ミリをオーバーする時計も珍しくないが、ラルフローレンも2つのコレクションで38ミリ径のリニューアル・モデルを、オーデマ・ピゲでも20年ぶりに39ミリにサイズダウンした「ロイヤル オーク デイデイト」を追加している。

 また、ケース径は43ミリとラージでも、ケース厚を薄くする傾向も。ヴァシュロン・コンスタンタンは手巻きによる4.1ミリの極薄モデルを、ピアジェからは「世界最薄の自動巻き」ムーブメントを搭載した(ケース厚5.25ミリ)「アルティプラノ」が登場した。サイズの大小という問題というよりも、よりエレガントな時計がトレンドになってきたと解釈できるかもしれない。飽きのこないクラシックを基本に、現代的に洗練させる。これが今年の新作のデザイン的な傾向とまとめられるだろう。

 そして、上昇し続けてきた観のある価格も、市場環境を考慮してぐっと抑えた新作が目立つ。ロジェ・デュブイは超高価で知られるブランドだが、130万円台の新作が登場したほか、モンブランでもメンズで初の20万円台、自社で同時期に独自の展示会を行うフランク・ミュラーでも115万円台の日本限定特別モデルが発表された。

 もちろん、景気の影響を受けにくい富裕層向けの超高価な複雑時計も少なくないが、こちらはレアな限定モデルが一般的。価格については二極化傾向が強まってきたといえるかもしれない。

◆A.ランゲ&ゾーネ 創業165 年記念モデルが多数

 A.ランゲ&ゾーネはドイツの名門老舗であり、今年で創業165周年を迎える。例年は超複雑時計の新作などを数本追加するだけだったが、今年は創業者へのオマージュとして数多くの記念モデルが発表された。しかも、ボタン一つでスモールセコンドの秒をゼロリセットできる新作からトゥールビヨンまで、ランゲらしく凝った複雑機構が搭載されている。

 その中でも注目したいのは、「ランゲ1デイマチック」だ。1994年に発表された「ランゲ1」は、後にトレンドとなる大型日付表示などで話題を集めたロングセラーだが、この新作は時分表示と日付などを逆の配置にして、これまではパワーリザーブだった表示をレトログラードの曜日としている。針が日曜日を表示し終えると針は瞬時に月曜日に戻るのだが、例によって針が一切重ならないレイアウトが踏襲されている。

 ドイツらしい端正なフェースと丁寧な仕上がりに思わず魅了される逸品だ。

◆オーデマ・ピゲ 「ロイヤル オーク オフショア」を中心に新作登場

 1875年に創業したオーデマ・ピゲは、レディースウオッチ用の超小型ミニッツリピーターの開発などで知られる複雑時計の名門老舗。その一方で、八角形のベゼルを備えた「ロイヤル オーク」を1972年に発表。ラグジュアリーなスポーツウオッチとして世界的なロングセラーになっている。

 そんなオーデマ・ピゲによる今年の新作は、独特の大型ケースを持つ「ロイヤル オーク オフショア」が中心となっていた。炭素素材を圧縮した同ブランド独特のフォージドカーボンやセラミックなどケース素材も個性的。最もハイエンドなモデルは「トゥールビヨンクロノグラフ」だが、ここでは「ロイヤル オーク オフショア グランプリ」を紹介した。モデル名にあるように、今年3月13日にバーレーンで開催されるF1グランプリを記念したモデルで、同日から発売予定。ケース素材は3種類で、それに合わせてベースカラーもレッド、ブルー、ブラックの3種類。

◆モンブラン カーボン・ポリッシュ(DLC)のブラック・モデル

 万年筆などでおなじみのブランドだが、時計も1997年から手がけており、短期間にメンズ、レディースともに幅広いラインナップとなった。近年ではハイエンドな複雑時計も開発しているほか、独立時計師も支援しており、今年はダイヤル内のケースが格納されて別の機能が表れる「メタモルフォーセス」が大きな話題を呼んだ。モンブランのロゴでなく、製作した独立時計師の名前を刻印していることも評価できる。

 その一方で、「スターデイト オートマティック」でメンズ初の20万円台のモデルが登場。ぐっと身近な価格設定となった。デザイン的には、カーボン・ポリッシュ(DLC)で仕上げた「タイムウォーカー デュアルカーボン」に注目したい。ダイヤルもベゼルも精悍(せいかん)なイメージのブラックの中に、レッドゴールド仕上げのインデックスとハンド(針)が鮮やか。

◆ロジェ・デュブイ 表面加工のコストダウンによるロープライス・モデル

 1995年に誕生した、スイスでは新しいブランドだが、精力的にオリジナル・ムーブメントを開発。ゴールドやプラチナなどのケースでは1タイプ28本の限定生産で高い人気を集めた。トゥールビヨンを二つ搭載した仰天の複雑時計など、優れた技術力でも知られており、今年の新作でもユニークで興味深いモデルが少なくない。

 また、「イージーダイバー」をリニューアルして新型ムーブメントを搭載したにもかかわらず、132万円のモデルが発表されたこともピッグ・ニュースといえよう。オリジナルは170万円台だったが、これはベゼルに特殊なブラックラバーの表面加工を行っていたためという。精度には関係のないコーティングであり、市場環境を考えて、この表面加工をカットすることで低価格を実現したという。

◆ヴァシュロン・コンスタンタン クラシカルな復刻モデル「LIPS」

 1755年創業。スイスでも最古参の老舗名門ブランドの一つであり、超薄型ムーブメントなど技術力も高く評価されている。今年も「ヒストリーク・エクストラ・フラット1955」を発表。厚さ1.64ミリの手巻きムーブメントで、ケース厚も4.1ミリと極薄だ。

 過去の名作を復刻した「ヒストリーク」コレクションも人気が高く、独特のケース形状の「ヒストリークLIPS1954」が登場した。デザインはそのままで、当時はケースがイエローゴールドだったがホワイトゴールドに。横から見ると「唇」に似ていることから「LIPS」と命名された。クラシカルで優雅なケースラインが個性的。

◆ヴァン クリーフ&アーペル ポエティック・コンプリ「ポン デ ザムルー」

 19世紀末のアールヌーボーを思わせる装飾性の高いジュエリーなどでおなじみのブランドだが、時計も昔から手がけており、四つ葉のクローバーをデザインした「アルハンブラ」のシリーズが同ブランドのアイコニックモチーフ。

 例年同様に、エナメルなどダイヤルの装飾に凝った新作が数多く発表されたが、やはり注目したいのは昨年から登場したポエティック・コンプリケーション。これを訳せば「詩的な複雑時計」となるが、メカを強調した機構ではなく、ポエティックなテーマを実現するために複雑機構を取り入れるという、機械式では革新的な発想である。昨年はパリの名所を24時間で1回転するディスクに表現したが、今年の新作では「ポン デ ザムルー」として、分と時間のレトログラード機構をアレンジ。右からは60分おきに橋の中央に向かう男性が、左からは1時間ずつ女性が橋に近づく。かくて真夜中の1分間だけ、橋の真ん中でキスをする。高価だが、こんなロマンチックな複雑機構の使い方があったのかと感動してしまう。

◆フランク・ミュラー 日本向けの特別限定モデル

 古い時計の修復などを経て、1992年にブランドを設立。独特の優美なカーブを持つ「トノウ・カーベックス」シリーズでたちまち世界的な人気を獲得した。現在ではウオッチランドとして複数のブランドも抱えている。

 そんなフランク・ミュラーの注目作は、やはり日本向けの特別限定モデル「ライジングサン」だろう。ブラックダイヤルに、日本の国旗をイメージさせる深紅のビザン数字。ダイヤルには波のようなギョーシェ彫り(ヌーベルバーグ・ギョーシェ)も施されている。センターセコンドとクロノグラフの2種類あるが、センターセコンドは何と115 万円台。身近な低価格でフランクを腕にするチャンス到来といえるだろう。(ライター 笠木恵司)

◆アエラ・スタイル・マガジン 山本晃弘編集長から

 モンブラン。アルプスの頂を覆う雪をモチーフにしたホワイトスターを施した万年筆、マイシュターステュックがあまりにも有名です。かくいう私自身も愛用者で、今回のジュネーブ取材でもモンブランのペンを使っています。この老舗ブランドが初めて腕時計を発表したのは1997年、ここS.I.H.H.でのこと。そしてわずか10数年で、モンブランは時計ブランドとしても確固たる地位を築きました。数年前からはスイスに時計工房も構えて、ブランドのDNAであるクラフツマンシップへのこだわりを次々に実現しています。

 人気の秘密は、本格的なメカニカルへのこだわりと比較的購入しやすい価格の絶妙バランス。「これは売れそう」と思える新作モデルが、毎年のように発表されます。クロノグラフの原点回帰ともいえる、ニコラリューセック・クロノグラフ。マットブラックなケースが精悍な、スポーツ・クロノグラフ・オートマティックetc. 

 そして、今年。日付表示付きのシンプルな3針時計の新作、スターデイト オートマティックの価格設定に驚かされました。アリゲイターのレザーストラップは238,350円、ステンレススチールのブレスレットは259,350円(いずれも予価)。ギョーシェが刻まれた美しい文字盤は、ビジネスマンの腕にピタリと似合いそうです。(AERA STYLE MAGAZINE)

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