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若手デザイナー支援事業「シンマイ」第2回 自然に・実用的に

2010年3月29日

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写真拡大写真左:アカネ・ウツノミヤ/写真右:エー・ディグリー・ファーレンハイト

写真拡大写真左:ファビオラ・アリアス/写真右:ザ・インディヴィデュアリスツ・ア・レーベル・バイ・ルイーズ・アンド・フランク

写真拡大左から天津憂、宇都宮茜、ファビオラ・アリアス、フランク・プシュラン、ルイーズ・シュワルツ=写真はすべて大原広和氏撮影

写真拡大ファッションデザイナーの高田賢三さん

 JFW(日本ファッション・ウィーク推進機構)の若手デザイナー支援事業「第2回シンマイ・クリエーターズ・プロジェクト」に選ばれた4ブランドの新作発表会が22日、東京・六本木で開かれた。それぞれ個性的でナチュラルな感覚を生かしながらも、前回に比べてより実用性を重視した着やすそうな服が多かった。

    ◇

 各国の有望な若手デザイナーを世界にブランドデビューさせるのが、このプロジェクト。日本の素材を使った新作のショーと展示商談会の場を提供する。今回は世界11カ国の37組が応募し、日本の帰国子女2人と欧米から2組が選ばれた。

 04年に渡米し、その後ブランドを立ち上げた天津憂(あまつ・ゆう)(30)が手がける「エー・ディグリー・ファーレンハイト」は、シンプルだがドレープなど微妙な布の流れに不思議なバランス感がある。トレンチコートが体に同化するかのように流れ、袖がフリルの襟として首に巻きつく。テーマは「印象主義」。きちんとした形が光や風を描き込むことで崩れていく瞬間を描きたかったという。「その1着で着る人を引き立てていくような個性的な服を作りたい」

 また、英国で学んだ宇都宮茜(27)が昨秋立ち上げた「アカネ・ウツノミヤ」はニット中心。ウエストに切り込みを入れて肌を見せたり、特殊な焼き方で生地に穴を開けたり、布と組み合わせたり。優しい雰囲気と上質感の中にセクシーさも漂わせた。ショーは今回が初めて。イタリアの現代アーティスト、ヴァネッサ・ビークロフトに着想を得たという。

 「ザ・インディヴィデュアリスツ・ア・レーベル・バイ・ルイーズ・アンド・フランク」は、旧東ドイツ出身のルイーズ・シュワルツ(26)とフランス出身のフランク・プシュラン(30)のデュオブランド。カジュアルな中にも北欧風のやや暗いロマンチシズムが漂う。メンズ中心で、着古したようなタイトジャケットは、袖のいくつもの切り替えが繊細な印象を与える。「ナイーブな感受性を表に出そうとする現代男性に向けて作りたい」と語る。日本の素材の独特な趣と加工技術の高さにひかれ、パリでデビューした頃から使っていたという。

 一方、華やかなドレスを並べたのが、ブランドに自身の名を冠した米国のファビオラ・アリアス(22)。幼い頃をキューバやメキシコで過ごし「ラテンの血が、女性らしさへの愛を駆り立てる」と話す。テーマは「森の妖精」。ドレスに小さな布地を花びらのように縫いつけた。

 今回発表された作品は7月に伊勢丹新宿店で販売され、また同月、中国・上海万博の日本館でもショーが行われる予定だ。

 選考委員の太田伸之・イッセイミヤケ社長は「単なるコンテストではなく、売れてビジネスを成り立たせることが目的。不況の中で小売業界が日本発の若手ブランドに再び注目している今こそチャンス」と語る。また、選考委員長のリシャール・コラス・シャネル社長は、「若い才能が萎縮(いしゅく)することがないよう長い目で育んでいきたい」という。(編集委員・高橋牧子、小川雪)

■デザイナーの高田賢三に聞く「もっとサポートを」

 都内で開かれた「シンマイ」の展示商談会に訪れた世界的なデザイナー高田賢三に感想をきいた。

 「そのままお店に置いてもひけをとらない作品が目につきました。中でもアカネ・ウツノミヤはデザインがこなれていた。僕の若い頃と違い、今は競争相手が世界中にいるし、皆が凝った素材や仕立てができるようになった分、個性を出しにくい。スポンサーがいないとデビューも難しい。ブラジルやウズベキスタンなど各国が今、若手デザイナーを支援し始めている。ファッションは将来、大きなビジネスになると考えるからだ。日本もこれだけ才能が集まっているのだし、もっとサポートしていけるようになるといい」

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