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2010秋冬東京コレクション

2010年秋冬東京コレクション速報(3) 美意識と好奇心を極めて

2010年3月26日

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写真拡大まとふ (matohu)

写真拡大ソマルタ (SOMARTA)

拡大カミシマ・チナミ (KAMISHIMA CHINAMI)

 より美しく、より新しく。ファッションデザイナーのこだわりとは、美意識と好奇心にほかならない。2010年秋冬東京コレクション3日目の26日は、そんなデザインの原点について思いを巡らせる日だった。

東京コレクション2010年秋冬をフォトギャラリーで

 和の美しさに着目、6年前から慶長期の美を現代に生かす試みを続けてきた「まとふ」。今季から新たに「日本の眼」を大きなテーマに掲げ、伝統や歴史性にかんがみ、現代の日常にある美しさを体現していくという。初回の今季は十二単衣(ひとえ)などから着想を得た「かさね」がコンセプトだ。

 秋から冬へと移ろいゆく季節と日々の生活を、配色の妙でみせた。「秋の河原」と題した1着は柔らかな黄色のヘムラインのジャケットに小豆色のボトム、「夜空の雪」はグレーと黒、白のグラデーションのスーツ、「冬の朝」は青、白、ピンクのワンピースといった具合に。「昔の人は自然を色で詠んだ。それをまとうことは季節を感じること」とデザイナー。

 ワクワク、ドキドキ。そんなファッションの欲望そのままに、「好奇心の部屋」と題した「ソマルタ」のショーは、博物館の陳列棚から飛び出したかのようなアイテムが満載だった。羊の髪形、手には骸骨(がいこつ)型のバッグ、足元にはキツネのしっぽを思わせるファーが揺れ、フェザーをちりばめたドレスにサンゴを模したネックレス。

 「情報や科学が発達する以前、博物館には世界の様々な珍しいものを陳列する『好奇心の部屋』があったという。初めて見るものへの興味や驚きこそ、ファッションの原点」。こんなデザイナーの思いが独特のエレガンス性と調和し、ウイットに富みつつ洗練された装いが完成した。

 くしくも「カミシマ・チナミ」が語るコンセプトも、一握りから無限の可能性を探る詩の一節から。不透明な時代にありながら、前に進み時代を拓(ひら)いていくとの意気込みが感じられた。(アサヒ・コム編集部 柏木友紀 写真は大原広和氏)

【2010年秋冬 東京コレクション速報】

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