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伸びやかに 10年秋冬パリ・オートクチュールコレクション

2010年7月20日

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写真拡大クリスチャン・ディオール

写真シャネル

写真拡大ヴァレンティノ

写真拡大ジョルジオ・アルマーニ・プリヴェ

写真アレクサンドル・ボーティエ=写真はいずれも大原広和氏撮影

写真グスタボ・リンス

 いま求められる美しさとは何なのか。5日から4日間、フランスで開かれた10年秋冬パリ・オートクチュール(高級注文服)コレクションは、より伸びやかな感覚の美しさを創造しようとする新傾向を見せた。花やライオンなどそれぞれ伝統のモチーフを使いながら、詩的で軽やか。色使いは華やかで、見ていてエネルギーを与えられるような作品が多かった。

■「服の花束」

 バラやアジサイが咲き、チョウが舞うパリ7区のロダン美術館。その庭に特設した温室のような透明テントで、クリスチャン・ディオールは「服の花束」を観客にささげた。

 朝露にぬれて毛羽立つ紫のチューリップは、腰を花びら形に膨らませたシャギーモヘアのコート。スカートの花びらが重なるアヤメのドレスや、めしべが密生するオーガンザの丸いスカート。生地が縮れたケイトウのドレスもある。

 大胆で有機的な線を描く花の服を着たモデルたちは、セロハン状のものをかぶり、ベルトの位置には紙ひも。逆さにすれば、まるごと花束に見えるという趣向だ。このブランドが、同じく花をテーマにした1953年の作品群が下敷きなのだが、時にグロテスクな部分も含めて花を忠実に再現しながら、現代的で才気あふれたデザインに昇華させる腕前は見事。デザイナーのジョン・ガリアーノは「楽天的になりたがっている現代人のために」と地元紙に語った。

■デザイナーそっくりのライオン

 シャネルは会場のグラン・パレに、高さ12メートル、体長20メートルの巨大なライオンの像を据えた。ココ・シャネルがしし座の生まれでライオンの小さな置物をいつも傍らに置いていたらしいが、会場のライオンの顔は現デザイナー、カール・ラガーフェルドにそっくり。

 その像の足元から登場したのは、綿密な手(て)刺繍(ししゅう)や明るい色をふんだんに使い、ファンタジーとキュートさが詰まった服の数々だ。定番のツイードスーツは、立体的なボレロとひざ下丈スカートのクラシックなスタイル。カクテルドレスに移ると、スパンコールやビーズ、毛皮や花飾りでベルサイユ宮殿のインテリア装飾のように彩られていく。

 とはいえ、シルエットはゆったり軽やか。フレキシブル(柔軟性)が今回のテーマで「これを着た女性は、大きなネコのようにしなやかに動ける」とデザイナーのコメント。

 ヴァレンティノも花のイメージを色とフォルムで繊細に表現した。ジョルジオ・アルマーニ・プリヴェは、派手さや新しい造形より、シンプルだが上質で手の込んだワードローブを提案した。優雅な曲線のマーメードドレスやスーツは、上品なベージュが中心。

■新たな夢を見る

 新進や若手の層が厚くなり、中でもアート的な作風のデザイナーが注目されている。ジャンポール・ゴルチエから去年独立したアレクサンドル・ボーティエは、黒白使いのシャープな造形が異彩を放つ。ブラジル出身のグスタボ・リンスは、家具からアイデアをもらったという流麗なカットのドレスが印象的だった。

 今回の公式参加ブランドは24。開幕前日にあった、割安なセカンドブランドなどの合同ショーや、有名ブランドのウエディング作品の展示などを含めると、その倍以上の作品が発表された。中国やインドなど新興国の顧客も増え、オートクチュールは広告塔の役割を強めている。

 期間中に既製服のショーを開いたクリストフ・ルメールは「昔と違って、最近は裕福な人たちだけでなく、みんな同じ夢を追うようになった。オートクチュールは、その新たな夢の象徴では」と話す。効率化が進むファッション産業の中で、オートクチュールにかかる期待は今後も強まるのかもしれない。(編集委員・高橋牧子、写真・大原広和氏)

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