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夢よ再び 活気づく米国 2011年春夏 NYコレクション

2010年9月30日15時54分

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 明るい色に、1970年代調の軽やかなコンサバスタイル。2011年春夏ニューヨーク・コレクションは、長引く景気低迷やオバマ政権への失望感といった、負の要素を吹き飛ばすかのように、若々しい華やぎにあふれた。基調は米国伝統のスタイル。若手もベテランも一丸となって、夢や希望に満ちた時代を再現しようという気構えが見えた。

2011年春夏NYコレクションのフォトギャラリーはこちら

 期間中、「景気回復は苦痛なほど遅い」とオバマ大統領がコメント。ドル不安や景気の二番底が言われるが、ニューヨークにはパリやミラノより、ずっと活気を感じる。9月9日からの8日間でショーやイベントは約400に及ぶ。なぜ今、これほど元気なのか。

 ここ数年、米国のファッション産業界とファッションメディアがひとつとなって、業界のシステム刷新や若手の育成策に取り組んだ成果と言えそうだ。コレクションは短期間に多くのショーを集中して効率化し、高額賞金の新人発掘イベントや、若手に対する資金面の補助にも力を入れてきた。

 9月には、デザイナー協議会などの寄付金を元に、ファッションビジネス専門の法律学校を設立する計画も公に。業界・行政一体の地道な取り組みは、東京コレクションも見習うべき点だろう。

 参加ブランドの層は厚くなり、ショーは充実している。今回は地元紙が「ママが認めるコンサバ」と評したような、上品な70年代スタイルが中心。なかでも最も光ったのは、ニューヨークの星、マーク・ジェイコブスだ=写真[1]。

 高い腰のパンタロンにゆったりしたブラウス。流れるようなマキシドレス。往年のイヴ・サンローランを思わせる優雅なスタイルや、一世を風靡(ふうび)したソニア・リキエル風のジグザグ柄ニットドレスもある。それをピンク、赤、オレンジなどの明るい花の色、ほっそりしたシルエットと手の込んだディテールで、ロマンチックで現代的な強さのある作品に仕立てた。

 ぱりっとした軽いデニムのパンタロンスーツなどで70年代調の過剰さを丁寧に省いてフェミニンに表現したデレク・ラム=写真[2]。独特の素材の組み合わせや手仕事の深さを見せたプロエンザ・スクーラー=写真[3]やロダルテ=写真[4]にも力量を感じた。ロダルテのデザイナーは「北カリフォルニアの夏を発想の源にして、70年代の、自然で幸せな感じを柔らかく表現した」と語った。

 ベテラン勢が見せた古き良き米国調のスタイルにも説得力があった。特にラルフ・ローレン=写真[5]の、ふくらんだ袖の白いコットンレースのブラウスと、上質の革やスエードのボトムを合わせたウエスタンスタイルは老舗(しにせ)の貫禄(かんろく)。アナ・スイの「米国の大草原の詩とロマン」をテーマにしたセピア色の可愛らしいカントリースタイルも魅力的だった。

 ジェイソン・ウーやアレキサンダー・ワン=写真[6]ら、最近人気のアジア系の若手ブランドは、「ビジネスの拡大中でデザインの冒険はひと休み」とも見えた。

 忘れ難いのはトム・フォードのレディースのデビューだ。マジソン街の店に、100人だけ招いてショーを開いた。メンズと同様に「最高級の既製服」を目指した、シンプルだが細部でとことん手を抜かないテーラードスーツや、ハンドペイント柄のフリンジドレスが迫力と美しさを感じさせた。

 モデルはローレン・ハットンやビヨンセといった、世界的な女優や歌手たちがずらり。そこに菊地凛子の姿もあった。ただし服は12月1日まで一切公開しないため、招待者は、撮影はもちろん、ツイッターの文字発信も禁じられた。「商品が出る前に映像がネットなどで全世界に出回って新鮮味やときめきが失われることに疑問を感じるから」とフォードは言った。(編集委員・高橋牧子)

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 写真はすべて大原広和氏撮影

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