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2011年秋冬パリ・メンズコレクション 多彩なスパイス

2011年2月7日11時23分

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写真:[1]ルイ・ヴィトン拡大[1]ルイ・ヴィトン

写真:[2]ランバン拡大[2]ランバン

写真:[3]ウォルター・ヴァン・ベイレンドン拡大[3]ウォルター・ヴァン・ベイレンドン

写真:[4]コムデギャルソン拡大[4]コムデギャルソン

写真:[5]3・1フィリップ・リム拡大[5]3・1フィリップ・リム

 2011年秋冬のパリ・メンズコレクションが、1月下旬に開かれた。ミラノ・コレクションに引き続き、トラッドなアイテムや柄を「起点」とするデザインが主流だが、そこはパリ。「伝統」の中にも新たな「差」を生み出そうと、各ブランドがアイデアを競い合った。

    ◇

 二つのブランドが、ジャケットやコートを「つなげる」コレクションを相次いで発表した。韓国から参加したジュンJは2枚の裾がつながった上着や、袖の下に袖が伸びる複層構造の上着を幅広のパンツに合わせた。ルイ・ヴィトン=写真[1]=はジャケット、コートにベストがぶら下がるスタイルを発表。重ね着でも、ぶら下げても様になる両用デザインだ。

 「ずらす」ことで、トラッドの形を変えようと試みたのはラフ・シモンズ。ダッフルコートの象徴でもあるトグルボタンを背中にまで落とし、頭から着脱するデザインに変容させた。「コートの概念を変えたかった。確立されたアイテムをつくり変え、新しい息吹を吹き込みたい」

 パンツの幅を「広げる」ことでエレガンスを加味したのがランバン=[2]。アーティスティック・ディレクターのアルベール・エルバスは、「(太いパンツは)快適の象徴。エレガンスにスポーツ、モダン、アーバンを混ぜ合わせてみた。卑俗さや下品さと対立させるように。これがファッションに奉仕するってことさ」と、余裕を見せた。

 メンズでは数シーズン、トラッド志向が繰り返されてきた。その中で各ブランドは「新しさ」を模索してきたが、そろそろ打つ手が限られてきたのは仕方がないだろう。

 そう感じ始めた目に新鮮に映ったのが、アフリカ系モデルを起用、シャーマニズムを視野に入れたウォルター・ヴァン・ベイレンドンク=[3]=だった。

 スーツやパンツにスカートを「重ねる」スタイルは、他ブランドでも見られた手法。だが、テーマに掲げた「ハンド・オン・ハート」が「イスラム教徒のあいさつを念頭に置いたもの」と聞けば、異素材組み合わせの意味も、ぐっと深みを増す。「今のファッションはあまりにビジネスに偏りすぎ。デザイナーはもっと大きなストーリーを語って人々に夢を与えないと」と話した。

 テーラードの世界に、「素材」という最も根源的なアプローチで切り込んだコムデギャルソン=[4]=も存在感を放った。テールコートから、時に鮮やかな、時に鈍く光るシルクのパンツが顔を出す。「デカダンス」のテーマを支えるのは様々な加工で生まれた手の込んだ布地。竜をあしらった模様さえ、単純な中華趣味の引用ではない。最もフォーマルな装いから、最も解放的なコレクションを生み出してみせた。

 ジュンヤ・ワタナベも素材。それも、ニットだ。出来上がったのはとても静かで穏やかな服たち。「作りたい服を作っただけ」とデザイナーの渡辺淳弥。

 興味深かったのはイッセイミヤケ。シワや縫い目を生かしたシャツやコートなどは健在ながら、ボックス型だった服のラインを絞り、従来より若い層を意識した。展示会で、プリーツが袖に入ったヘリンボーン柄のジャケットを目にした。一見普通だが、動きによって袖に豊かな表情が生まれる。創意をあえて隠した1着。ランウェイでも見てみたかった。

 展示のみながら、多様な素材を組み合わせたミニマルなデザインで注目を集めたのが、パリ・コレ初参加の3・1フィリップ・リム=[5]。リムは「スタイル、テクニック、パリへの適応の仕方など多くを学び、焦らずゆっくり準備を進めたい」と語り、今後のショー開催に意欲を見せた。

 丁寧なモノ作りと適正価格でラグジュアリーの意味を変革し続けるリムが、今後のパリ・コレに何をもたらすのか。興味は尽きない。(竹端直樹)

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 写真[1]〜[4]は大原広和氏撮影。

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