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ロンドン・ファッション通信3 ザ・英国ブランド、遺産に学ぶ!

2011年2月25日10時11分

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写真:「バーバリー・プローサム」。モノトーンの可能性と、仕立ての良さが感じられる。拡大「バーバリー・プローサム」。モノトーンの可能性と、仕立ての良さが感じられる。

写真:「バーバリー・プローサム」。フィナーレで全員がまとったコートもモノトーン。拡大「バーバリー・プローサム」。フィナーレで全員がまとったコートもモノトーン。

写真:「プリングル・オブ・スコットランド」。知的で凛とした現代女性を、伝統的なニットウェアで表現した。拡大「プリングル・オブ・スコットランド」。知的で凛とした現代女性を、伝統的なニットウェアで表現した。

写真:「プリングル・オブ・スコットランド」。レザーとウールニットの組み合わせが新鮮拡大「プリングル・オブ・スコットランド」。レザーとウールニットの組み合わせが新鮮

写真:「ヴィヴィアン・ウェストウッド」。トレードマークの王冠とパンチの効いたフェザーのケープ。(以上、大原広和氏撮影)拡大「ヴィヴィアン・ウェストウッド」。トレードマークの王冠とパンチの効いたフェザーのケープ。(以上、大原広和氏撮影)

写真:「ポール・スミス」。今季はマスキュリンな魅力で統一。拡大「ポール・スミス」。今季はマスキュリンな魅力で統一。

写真:「ダックス」。伝統のハウスチェックをモダンにアレンジ。メンズテイストのレザーカーディガンと合わせて(DAKS社提供)拡大「ダックス」。伝統のハウスチェックをモダンにアレンジ。メンズテイストのレザーカーディガンと合わせて(DAKS社提供)

 2011年秋冬ロンドンファッションウィーク(LFW)、英国伝統の各ブランドは、見事にそろって伝統回帰を前面に打ち出し、それぞれの「ヘリテージ(遺産)」に鑑みたコレクションを展開した。ここ最近になって発表の場を本拠地ロンドンへ戻したところが多いためか、「ブリティッシュネス」を自らが担うのだという意気込みが強く感じられる。(ロンドン23日=アサヒ・コム編集部 柏木友紀)

 LFW最大の目玉のひとつ「バーバリー」。ファーストラインのプローサムのショーはスペクタクルなことでも毎回注目を集めているが、今回もケンジントンパークに設営された特設テントで大規模に展開された。

 60年代にモデルとして活躍したジーン・シュリンプトンをイメージソースに、冒頭ではオレンジやオリーブ・グリーン、スカイ・ブルーといった鮮やかな色合いのコートを展開。ダッフルコートなどをモダンに味付けしつつ、あえて60年代の織機を使ってヴィンテージ感を出した生地は重厚で、仕立ての良さを存分に感じさせる。

 後半はファーやジャガードなど素材で遊びながらもモノトーンだけのバリエーションを見せ、フィナーレでは全モデルが黒い縁取りのレインコートをまとって登場。粉雪舞い散る中、60年代に大ヒットした英国人歌手ダスティン・スプリングフィールドの「You Don’t Have To Say You Love Me」が場内に響き渡り、余韻を残した。

 1815年にスコットランドで創業した「プリングル・オブ・スコットランド」は、18世紀の教会をショーの場所に選んだ。そのテーマは「ヘリテージ」。200年近いその歴史から、まるで「お宝」を探し出すように持ち出したハンドニットやジャガードを、現代の都会的な女性に向けて新たな装いに再生させるデザインは、古めかしい印象だったニットウェアを一気に流行の最先端へと押し戻したデザイナー、ウェイト・ケラーの真骨頂だ。

 ミンクのトリミングやモザイク模様織などが精緻な職人技を実感させる一方、ケープやコートとドレスのツインセットなどのスタイルは凛とした芯の強さを感じさせるハイセンスなデザイン。「まるでおばあちゃんのタンスにある古着を、今の自分のスタイルに採り入れるような思いで、古いものと新しいもののミックス感を楽しんだの」。大きなお腹を抱えてフィナーレで登場したケラーは、そのデザインそのままのたおやかな女性だった。

 ヴィヴィアン・ウェストウッドも、「レッド・レーベル」のコンセプトは「ロンドン・ライフ」。マーケット街「ポードベロー・ロード」に息づく人々の生活をとらえ、野菜商のエプロンや骨董屋の王冠、ピエロといった様々なアイテムを服に落とし込んだ。「不思議の国のアリス」の目を通してみたような、かつての英国の世界を表現してみたかったという。

 同時に、いまでは消えつつある英国特産の羊毛を用いるなど、かねてから関心のある環境問題とも結びつけ、変わりつつある「ブリティッシュネス」を訴えた。得意のタータンチェックやユニオンジャックを破天荒にアレンジするスタイルは健在で、パンチの効いた色遣いとあいまって、パンクの旗手として鳴らしたスピリッツもにじませた。

 進取の気性とウィットを得意とする「ポール・スミス」。今回はボーイッシュで中性的な女性の魅力を打ち出し、パティ・スミスの曲を効果的に用いていた。発表の場をミラノから本拠地ロンドンに戻して3季目となるダックスもテーマは「英国の遺産」。ハウスチェック柄を現代的なバリエーションで展開したり、メンズウェアの要素を採り入れて重量感を表現した。「大きくラディカルに変わることは望んでいない。ブランドの歴史とエレガンスを継承しつつ現代美を追求することが使命」とデザイナー。

 揃いもそろって「遺産」を口にする老舗ブランドのデザイナーたち。浮き沈みの激しいファッション業界の中を、ぶれず、揺るがずに最前線を歩んできた理由を改めて考えているのかもしれない。一方、こうした確固たるデザインの伝統を礎(いしずえ)に、LFWはいま、若手の興隆が目覚ましい。次号では、次世代を担うデザイナーによる今シーズンのベストショーを紹介します。

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