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〈2011秋冬パリ・コレクション〉凛と ハンサムウーマン

2011年4月22日10時32分

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写真:シャネル拡大シャネル

写真:コムデギャルソン拡大コムデギャルソン

写真:エルメス拡大エルメス

写真:イヴ・サンローラン拡大イヴ・サンローラン

写真:ヨウジヤマモト拡大ヨウジヤマモト

写真:ルイ・ヴィトン拡大ルイ・ヴィトン

写真:ミュグレー(モデルはレディー・ガガ)拡大ミュグレー(モデルはレディー・ガガ)

 3月初旬に開かれた2011年秋冬パリ・コレクションでは、国際社会の不安が続く中で、それでも前進しようというメッセージなのか、光や輝きが服や演出でも強調された。明るく希望があった60年代調が多く、凜(りん)とした「ハンサムウーマン」が新しい女性像として提案された。

 霧が立ち込める暗い森の中の長い一本道。そんな見立てのランウエーを、シャネルのモデルたちは、その両端の白く輝く扉へと凜として進んだ。着ているのは、遠めにはこのブランドとは思えないほどマスキュリン(男性的)なパンツルック。

 定番の上品なツイードジャケットは、紳士服のようなパンツスーツに羽織った。カクテルドレスの代わりは作業着風のレースのつなぎ。ラフで男っぽい服が、逆にフェミニンな初々しさを強調した。

 注目の若手ガレス・ピューも、約1800個の電球を並べた輝く壁を背景に、肩はかっちりと男性的でボトムはふわっと女性的な服をそろえた。テーマは混和。「日の光の中を歩くイメージに再生の意味を込めた」とデザイナーは話した。

 日本のコムデギャルソンは、「ハイブリッド(混成)」をテーマに、前後や左右などが半分しかない服を並べた。着る人がアクセサリーのように好きに組み合わせられる。はっとしたのは、後半に登場したビンテージのスカーフを接ぎ合わせたドレスや、金色のジャケットなどいつになく明るい輝きのある服だった。デザイナーの川久保玲は「黒に続く、次の新しい色彩では」と語った。

 パリ・コレの開催は日本の震災前だったが、世界では国家の分断や経済不安など様々な厳しい状況が続いていた。その反動か、温かさや静けさ、または伝統的なスタイルに新しい美を追求したブランドが多かった。

 新デザイナーが手掛けるエルメスは、極上のカシミヤや革でゆったりと身体を包むスポーティーな作品を見せた。色はぬくもりのあるベージュやキャメル。

 イヴ・サンローランは、若々しいスクールガールを思わせる60年代調のツイードのミニスタイルが印象的。

 日本勢では、ヨウジヤマモトが透ける布を重ね、赤を多用したパンクスタイル。ベーシックな革ジャケットを様々にデザインしたジュンヤ・ワタナベや、着て楽でフェミニンなスタイルに徹したアンダーカバーなど「創造性のあるすてきな日常着」の提案も切れ味が良かった。

 一方、ルイ・ヴィトンはファッションの奥義を再認識させるような刺激的な作品を見せた。イメージは犯罪や情事を連想させるような40年代の秘密めいたホテル。古びたエレベーターから降り立つモデルは、メードやベルボーイの制服を誇張したフェティッシュなスタイルで、黒革のぴったりとしたショーツに編み上げブーツ。「非理性的な欲求やファンタジーなど、何か根源的なあこがれがファッションに必要な時期なのでは」とデザイナーのマーク・ジェイコブス。

 今回復活した話題のミュグレーも、歌手レディー・ガガらに着せたボディコンドレスなど強くて明快な女性像を見せつけた。

 会期中一番のニュースは、クリスチャン・ディオールが、人気デザイナーのジョン・ガリアーノを人種差別発言を理由に解雇したことだった。ショー直前に社長が異例のあいさつをしたが、デザイナー不在の舞台はいつもの強い気迫が欠けていた。解雇のきっかけは、発言がネットで流されたこと。ネット時代は、巨大ブランド企業のカリスマデザイナーでさえもあっさりと葬ってしまった。(編集委員・高橋牧子)

 ◆写真は大原広和氏撮影

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