現在位置:asahi.com>ファッション&スタイル>08年秋冬ミラノ・コレクション> 記事

不思議な存在感のクラシック ジル・サンダー

2008年02月19日

 08〜09年秋冬ミラノ・コレクション3日目の18日、この時期のミラノには珍しい快晴のもと、注目ブランドのショーが集中した。朝9時15分から夜の9時過ぎまで12ブランドのショーが行われる合間を縫って、靴ブランドのジミー・チュウの展示会や、ドルチェ&ガッバーナの小物の新ショップの披露会、ヴェルサーチがバックアップするリチャード・アベドンの写真展の内覧会などを駆け回る。ジャーナリストの中には、昼食にありつけないだろうからと朝食を食べ過ぎて、逆に気分が悪くなった人もいた。カメラマンのカメラバッグが盗難に遭うなど「コレクション茶飯事」の事件も続いている。

写真

ジル・サンダー(08〜09年秋冬ミラノコレクション)

写真

D&G(08〜09年秋冬ミラノコレクション)

写真

バーバリー・プローサム(08〜09年秋冬ミラノコレクション)

 作品の傾向は大きく二つに分かれている。ひとつは70年代調のボヘミアンスタイル。もうひとつは、上品でまっとうな感じのクラシックスタイルだ。とびきり新しい感じはしないのだが、深みのある色のリッチな生地で構築的なシルエットが作られていて、好感度の高いフェミニンな服。

 後者で印象的だったのは、ジル・サンダー。ラフ・シモンズにデザイナーが代わってから2年半の中で、ベストコレクションではないだろうか。これまでのように、新奇な色や素材に頼らず、カッティングやさりげないが手の込んだディテールだけで特別なニュアンスを作るという創始者サンダーの美学に立ち戻った。

 極細シルエットの中で襟や腰にタックや折り返しで建築的なボリュームを盛る。ごくシンプルなボデイドレスは、アシメトリーな切り替えや小さなパッチワークがさざなみのように表面に余韻を与える。暗い色の中に青や黄がホノグラムのようにゆらめくツイードが不思議な存在感を漂わせる。

 バーバリー・プローサムも品のあるレディーライクなコートドレスも並べた。Aラインのテーラードコートは、いかにも豪華なファーやクロコダイルではなく、ダブルフェースやツイードなどのウール地。カーキやベージュのベーシックカラーに、大ぶりのクリスタル調アクセサリーやクジャクの羽根のストールが飾られた。

 アルベルタ・フェレッティも今回はとりたてて新しい試みはせず、過去の作品やフェレッティらしさを進化させた。軽い量感のあるドレスが中心。シックでフェミニンなブルーの同系色が多い。トレンディーではないが、とりあえず着ていて安心感がありそうで、しかも「モテ服」。フェレッティは「誰かひとりのためではなく、世界中の現代女性たちに向けて作った」と語った。

 ジョルジオ・アルマーニは今シーズンもすべてのモデルにフラットシューズを履かせた。ハイヒールどころか「クラブハウスサンドイッチ」と比喩される厚底靴もない。自由さやリラックス感の表現こそが、いま求められているという提起だろう。テーマは「さすらいへのあこがれ」。アルマーニらしいゴージャスで都会的なスーツに、シルエットや柄などでボヘミアンの要素を取り込んだ。

 ドルチェ&ガッバーナの妹版ブランドともいえるD&Gは、タータンチェック一色。ふくらはぎ丈のキルトスカートやロングジャケットもすべてチェックだ。70年代ムードのスモックドレスや80年代調のロング丈スカートのブラウススーツも。王冠柄のスカーフなどは、ダイアナ妃亡き後の英国王室を描いた映画「クイーン」の世界観をヒントにしたという。チェックだけで素材や形のバリーエーションをここまで広げ、しかも軽やかに仕上げたあたりにブランドの力量を感じさせた。

 新デザイナーのラース・ニルソンとの契約を最近になって、突然解消したジャンフランコ・フェレ。作品を途中まで手がけたというニルソンの甘い繊細さと、故フェレの作風を受け継ぐデザインチームのかたくななまでの構築性が混じって、どっちつかずの印象があった。当初、ニルソンに味方する米国のジャーナリスト全員がショーをボイコットするといううわさが立ったが、会場には有力紙・誌の顔ぶれがいつもどおりそろっていた。(編集委員・高橋牧子、写真は大原広和氏撮影)

注目アイテムPick UP - ゆとりのあるライフスタイル asahi.com SHOPPING

写真今年は5月11日!
こだわりで選ぶ「母の日」ギフト(日比谷花壇)
写真アパレル&シューズ
リュクスなアイテムたち (Amazon.co.jp)
写真ビジネスアイテム
コントラストが目を引く(WORLD DIRECT STYLE)

このページのトップに戻る