現在位置:asahi.com>ファッション&スタイル>08年秋冬JFW東京コレクション> 記事 着物よもう一度 京の名店、アローズと組む2008年04月11日 「高い」「堅苦しい」「分かりづらい」――。着物の従来イメージを覆し、身近にしようという試みが相次いでいる。若者向け洋服店が本格的に販売を始めたり、生産者が直販店を作ったり、消費者と向き合うワークショップを開いたり。背景には、数年で伝統技術が途絶えかねないという生産現場の危機的状況がある。
◇ 3月16日、国内先端ファッションを集めた東京コレクションの最終日を、男物の着物のショー「傾奇者達之系譜(かぶくものたちのけいふ)」が飾った。室町時代から江戸時代のアウトローを表現した着物や浴衣、羽織が登場。赤や紫、黄色に、花柄、うさぎ、大胆な矢羽根文様など。女物に負けない独創性と華やかさで、観客を圧倒した。 創業270年の京都の帯問屋「誉田屋源兵衛(こんだや・げんべえ)」が手がけた。「多くが昔の実際の柄。江戸以降窮屈になった男着物の概念を覆し、洋服に負けない豊かさと格好良さを若者に知ってもらいたかった」と山口源兵衛代表。100年かけ酸化させた金箔(きんぱく)の帯など、技を駆使した作品の一部は販売し、着物の価格で6万円弱(浴衣)〜100万円弱。 ショーを共同企画した、若者に人気のセレクトショップ「ユナイテッドアローズ」が販売窓口だ。4月から男女の着物販売に本格的に乗り出し、浴衣とオートクチュールの「あつらえ」を誉田屋が、日常使いの着物は京都のメーカー「山石」が担当する。山石は洋服ではやりのフラワープリント柄や黒の着物を提案する。「黒は冠婚葬祭用とされてきたが、今の街には日常着としてとけ込みやすい」と山石康裕代表。価格は着物が10万円台からだ。 アローズは4年前の浴衣から和服を扱い始めた。今季からは呉服店で研修した専門販売員が着付けからコーディネートの助言までできるようにした。洗いなど着物の手入れも受け付け、全国の主要店で着付け教室や着る場になるイベントも計画する。重松理会長は「和服文化を伝えるために、若い人が気軽に目にする場になれば」という。 ◇ 着物業界が積極的に動き出した背景には、技術の断絶への危機感がある。伝統的工芸品産業振興協会によると、着物の染織業従事者(経済産業大臣指定産地)は05年度推計で約3万人。15年前の約3割だ。 「うちの織り手の平均年齢は機械で60代、フルハンドメードだと80代。後継者もおらず、断絶は時間の問題」(山石・山石代表)、「納得できる技術は30年前で終わっている」(誉田屋・山口代表)と厳しい言葉ばかりが漏れる。ショーで使った着物でも、染め型の老朽化で二度と再現できない柄があるという。 着物市場の縮小が悪循環に拍車をかける。1960年代後半に2兆円あった市場規模が、約5千億円に落ち込んだという。2年前に、展示会で強引に高額ローンを組ませる商法で問題となった大手呉服販売会社が相次いで倒産し、一気に約2割減ったとされる。 岡野の木下部長は「過量販売と着物を着なくても買う高齢富裕層による“バブル”が10年ほど続いたが、はじけて実態があらわになった」という。「複雑な販売経路や展示会といった昔ながらの方法は、消費者には不透明。分かりやすくする工夫が求められている」 この記事の関連情報注目アイテムPick UP - ゆとりのあるライフスタイル asahi.com SHOPPING
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