現在位置:
  1. asahi.com
  2. ライフ
  3. ファッション&スタイル
  4. コラム
  5. シトウレイのfun!fun!fashion!
  6. 記事
2011年12月8日11時55分
このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック

「シトウレイのfun! fun! fashion!」

東コレから始まる「何か」 公開イベントに変化の兆し

シトウレイ

写真:ノクターンのショー会場。お弟子さんのハレの舞台を見に来る紳士はヨージ・ヤマモトのデザイナー、ヨージさん拡大ノクターンのショー会場。お弟子さんのハレの舞台を見に来る紳士はヨージ・ヤマモトのデザイナー、ヨージさん

写真:各国からファッションブロガーも来日。彼女はstyle bubbleのスージー拡大各国からファッションブロガーも来日。彼女はstyle bubbleのスージー

写真:コレクションの常連、ファッションブロガーTOKYO DANDYの二人組拡大コレクションの常連、ファッションブロガーTOKYO DANDYの二人組

写真:これはVERSUS TOKYOのショー会場。彼はセレクトショップのディレクター会場には至る所にベンツが置いてあった拡大これはVERSUS TOKYOのショー会場。彼はセレクトショップのディレクター会場には至る所にベンツが置いてあった

写真:VERSUS TOKYO参戦ブランドPHENOMENONのショーで。彼らはこのブランドのファンのお客さん拡大VERSUS TOKYO参戦ブランドPHENOMENONのショーで。彼らはこのブランドのファンのお客さん

写真:中国のセレクトショップのバイヤーさんも来日、VERSUS TOKYOをチェックしに来ました拡大中国のセレクトショップのバイヤーさんも来日、VERSUS TOKYOをチェックしに来ました

写真:同じくVERSUS TOKYOのショー開場待ちの一枚。メルセデスベンツの車の前で拡大同じくVERSUS TOKYOのショー開場待ちの一枚。メルセデスベンツの車の前で

 ちわっす、師走! シトウレイです、こんにちは。寒暖の差の激しい昨今、ストリートスナップには少し厳しいシーズン。とはいえやっぱりやめられません。寒ければ寒いなりの着こなしを楽しむ人が街にあふれています。

 さて今回は少し前に行われた東京コレクションにレッツ・フォーカス。少し様変わりした東京ファッションシーンについてです。

 さて政治の世界で話題になった「事業仕分け」問題。ここファッションの世界も例外ではなく、JFW(ジャパン・ファッション・ウィーク)もまた「仕分け」対象になり、今シーズンから経産省の財政支援が打ち切られました。

 ファッションはファンタジーの世界だけど、やっぱりかすみを食って生きるわけにもいかないので、お財布事情を真剣になって考え始めたのが今シーズンです。メルセデス・ベンツをはじめ数社のスポンサー企業をみつけ、今回からは「メルセデス・ベンツ・ファッション・ウィーク東京」と名前も変わり再スタートしました。

 夢と現実のはざまに立ち、どうあるべきか改めて向かい合った今シーズン。そこで大注目を浴びていたイベントがコレクション最終日の「VERSUS TOKYO」。今回はこれにフォーカスしてみます。

 青山にあるセレクトショップ、THE CONTEMPORARY FIX のオーナー吉井さんの手掛けたイベントで、トーキョーを代表する旬の8ブランドによるショーが朝から晩まで行われ、ランウェイ直後のデザイナーへの公開インタビューや、アーティストによるライブパフォーマンスなど盛りだくさんのイベントでした。画期的なのは「チケットは一般販売」。つまり、このイベントはファッション関係者だけでなく、ファンやファッション好きな街のみんなにまで幅広く「開かれた」イベントだったことです。

 1週間、ショー会場を走り回って撮りためたスナップですが、このVERSUS TOKYOでの一日の捕獲量は、過去最高の出来栄え。それはもうたくさんの人が集まり、それぞれおしゃれを楽しんでいました。ショーの何時間も前から並ぶ人たちの瞳は期待とワクワクがたくさん詰まっていて、撮っているこっちまで自然に楽しくなっちゃいました。公開インタビューにもブランドのファンや業界関係者など、たくさんの人でにぎわいました。

 この会場で、肌で感じたのは「ここにはニューヨーク、パリ、ミラノコレクションにはない新しい『何か』の予兆」でした。私自身、予兆はあるけどそれが何かがわからないモヤモヤをここ1カ月ほど抱えていたけど、私なりに出した答えがコレ。

「VERSUS TOKYOとは、『仕組み』の瓦解の第一歩である」

 「姉さん、事件です!」は高島(弟)のお得意のフレーズですが、あと数年後、このVERSUS TOKYOが一つの「事件」としてトーキョー・ファッションの歴史にくさびを打つことになるんだと思います。

 さて、ワールド・コレクションを多少やゆを込めていうフレーズに“Fashion is for fashion people.”というものがあります。どの都市であれ、おおむねファッションショーなるものはファッション関係者の閉ざされた世界の中での盛り上がりに過ぎず、それ以外の人にとっては「なーんか派手な人たちが派手にキャイキャイやってるな」って思うにすぎない(つまりは自分と無関係な)ものにすぎず、人と人との間には確固たる津軽海峡、ではなくファッション海峡がそこにはあって、埋める気も歩み寄る気もさらさらないわ、という状況だった(そしてこのハナモチナラナイ特権意識がファッションの一つの魅力とも言えるのですが)。

 しかし、この海峡に突如として現れた懸け橋、それが「VERSUS TOKYO」ともいえます。ファッション業界関係者と一般のファンの人やお客さんをつなぐ橋。通行手形(チケット)さえあれば誰でも渡れるその橋は、ふたを開けてみれば交通規制必須のてんやわんやの大盛況。これをみて、トーキョー・ファッションは少なくとも“Fashion is for everyone loving fashion.”、ファッションは、ファッション好きのみんなのためのもの、ということがはっきりしたと言えるでしょう。

 この打ち出し方は、世界の他のコレクションには無かったもので、東京ならではのオリジナルです。「今の東京ファッションシーン」に即した形態(仕組み)が今ここに誕生したとも言えます。

 iPodが音楽を聴く仕組みを変えた「革命」と同じく、VERSUS TOKYOはファッションを観る仕組みを変えた。どっちが良い悪いとか、好きとか嫌いとか、議論して結論づけるのは今の段階ではあまり必要ではなくて(レコードとCDとiPodがどちらが良いものか決めるのと同じで、それぞれの違いがあって、色んな側面がありますものね)、今はこのふたつを比較し、それぞれの可能性を吟味する時期だと思います。

 ファッションに限らず、新しい仕組みは取り入れられるまでに少しのちゅうちょと葛藤を引き起こします。過去の物への愛着も重なると、さらに抵抗値のオームは加速してしまう。ただ、いずれにせよまず柔軟な頭で受け入れること、すべてはそこから始まります。

 受け入れ、吟味し、そして自分で選択すればいいのであって、受け入れること自体を拒否しちゃうのは少し残念。

 年の暮れ。お部屋の大掃除と一緒に、頭の中身もいったん、断捨離。柔軟な頭にクリーンアップするのにはうってつけのシーズンかもしれません。

 ではでは今日はこの辺で。お相手はシトウレイでした。みなさまメリークリスマス&よいお年を。

プロフィール

シトウレイ(Rei Shito)

石川県加賀市出身。早稲田大学教育学部在学中よりモデルデビュー。

STREET FASHION CULTURE誌「STREET」「FRUiTS」「TUNE」でフォトグラファーとして活躍後、08年より東京のストリートファッションを海外に向けて発信するサイト「STYLE from TOKYO(http://reishito.com/)」を開始。毎日更新で東京の「今」を全世界に向けて届けているパワーブロガー。原宿のファッションアイコン的存在でもある。新聞、雑誌、WEBなどで活躍中。
今夏、初の電子書籍による写真集を出版。iPod/iPhoneにてご覧いただけます。詳細はHPにて。http://www.d21.co.jp/contents/campaign/StylefromTokyo/

検索フォーム


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内 事業・サービス紹介