2010年11月25日
ネイビースーツの男たちが、ショートムービーでご覧いただけます。(Movie Direction and DP:Kei Ogata) |
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ビジネスマンがスーツを着るときに、心掛けるべき第一のルール。それは、「仕事着で個性を主張しない」ということ。主張すべきは仕事の出来、そしてみた目ではなく、自身の内面であることは言うまでもない。とはいえ、着るも仕事のうち。自分の身なりに関心を持って、スーツを着ることを楽しむ余裕も忘れたくない。そんなとき、先達が選んできたオーセンティックなアイテムを選ぶのは、賢い選択といえるだろう。
例えば、白無地のシャツ。襟型やカフスのデザインで遊びを表現するのは、若気の至り。生地や織り方にこだわった、上質のものを選びたい。“蝶矢シャツ”は、1886年に創業したシャツ専業メーカー。低速織機を使って織り上げたコットンの白シャツは、柔らかく、かつコシのある風合いを持つ。
レジメンタルタイは、19世紀の英国の連隊(=レジメント)に由来する。汎用性が高いのは紺無地のソリッドタイであろうが、凜々しいVゾーンなら紋章のようなレジメンタルに分がある。アメリカの老舗(しにせ)ブルックスブラザーズのものは、ボリューム感のあるしっかりとした生地で、襟元に締めた際の結び目が美しく決まる。
さらにVゾーンにタイバーを使えば、ジャケットを脱いだときにネクタイがぶらつかず、襟元の結び目を立体的に起こしてくれる効果もある。このアイテムは、一時期は年配者だけが使うやぼなアイテムとなっていたが、いま再び脚光を浴びている。エス・テー・デュポンのものなら、同社がライターなどでも見せる金属加工の技術を施したシルバーが、格別の輝きを見せてくれる。
最後に、肝心のスーツとコート。仕立てのいい紺のスーツに、紺のチェスターコートを羽織った男のエレガントなたたずまいは、単にオーセンティックであることを超えて、比類なき美しさを持っていると思う。昨今のビジネス着のカジュアル化の流れもあって、スーツの上に着丈の短いキルティングコートやダウンを羽織ったビジネスマンも多い。しかしながらビジネスシーンには、こういった着こなしでは乗り切れないT.P.O.もある。例えば、年末年始に増えるパーティーへの出席。ネイビースーツにチェスターコートを着こなせば、こういったフォーマルなシチュエーションにも対応できる。
朝日新聞出版・新事業開発チームeditor at large兼 アエラスタイルマガジン編集長。
男性ファッション誌「MEN’S CLUB」や「GQ JAPAN」などの編集を手掛けた後、2008年4月の会社設立と同時に朝日新聞出版に入社。ニッポンのビジネスマンに着こなしを提案する季刊誌「アエラスタイルマガジン」を、クロスメディアで展開している。
2010年冬号 Vol.9
「The HANDBOOK for BUSINESS STYLE」 2010年版 ビジネスマンに贈る仕事の名品108