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日本一のスーパー・ファッション・ブロガー誕生!

2010年12月7日

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写真:今月1日、都内で開かれたスーパーファッションブロガーの授賞式。ファイナリスト7人と、ゲストに迎えた米国の人気ブロガー、ルミ・ニーリー(左から4人目)拡大今月1日、都内で開かれたスーパーファッションブロガーの授賞式。ファイナリスト7人と、ゲストに迎えた米国の人気ブロガー、ルミ・ニーリー(左から4人目)

写真:グランプリに輝いた「Natsu」さん。NYのブランドHaute Hippieのドレスで拡大グランプリに輝いた「Natsu」さん。NYのブランドHaute Hippieのドレスで

 ファッションの世界でも、その存在感が増しているブロガー。NYやパリのコレクションなどでも、フロント・ロウをファッション・ブロガーが陣取り、ショーの模様をほぼライブで伝える姿はもはや当たり前になった。自らの毎日のコーディネートやショッピングの様子なども詳細に伝える彼らのブログには、日々数万のページビューを誇るものも少なくない。

 日本でもそんなファッション・ブロガーが、ここ半年で随分増えてきた。それまでは他人の目を意識し、日々定期的に更新しているファッションブロガーといえば、本サイトでもストリートファッションのコラムをつづっている写真家シトウ・レイさんほか限られた人々だった。だが、夏ごろからは各ブランドがブロガーを対象にした発表会を通常のプレス発表会とは別に設け始めるなど、急速にその数、レベルともに高まりつつあるのがわかる。

 中でもそれを実感したのが、今月1日に発表された「スーパーファッションブロガーアワード」だ。日本発の世界的ファッションブロガーの輩出を目ざして今年6月に募集を開始、9月には1614件の応募の中から7人をファイナリストとして最終選考に選んだ。

 日本ヒューレット・パッカードが女性誌「sweet」と共同で企画。同社サイトや雑誌の紙面を通じて盛り上げてきたとはいえ、まず応募数の多さに驚かされる。そして何より感心するのは、この7人のファッションにかける情熱。

 中学生や、ブログを始めて数カ月というビギナーも含まれているのに、コラージュやコメントを施した写真やイラスト、斬新なレイアウトに動画まで、審査用に開設したそれぞれのブログは試行錯誤のあとが見て取れる。街を歩いて集めたアイテムを様々にスタイリングし、自らモデルとして着こなして、写真や動画を撮影。さらに加工やアレンジを加えて掲載するのは、相当な作業量だろう。

 これをこまめに更新しながら、ファッションイベントに顔を出し、ツイッターでつぶやいたり、SNSで自らのブログへの投票を呼びかけたりと、慌ただしい数カ月だったに違いない。日々個人的に体験したこと感じたことを即座に発信する、まさしくファッションブロガー。

 「写真ビジュアルの美しさ、文章の工夫、そして動画はほぼ完全なるムービーとなっており、7人はこちらが当初想像していた以上のレベルに到達した。とはいえ、重視したのは、スキルよりもその熱意です。テクノロジーを使うことで、ファッション表現をより豊かにしていただくことが我々の願いですから」。審査員の一人でもある日本HPの甲斐博一部長は話す。

 グランプリに選ばれた「Natsu」さんはデザイナーとして働く傍ら、ブログで発信。モデルとして一枚の夏用ワンピースを秋冬用に着回す様子や、バッグやシューズなどの小物類を着替えていく様子などを可愛らしさ満点の動画で公開している。そのオリジナリティーと熱意、発信力の強さ、そしてユーザー投票でも一歩抜けていた。

 来年2月に開催されるニューヨーク・コレクションへ招待されるほか、雑誌紙面への登場や、今後3年間はPCの提供などブロガーとして活躍するためのデジタル環境のサポートもうけられる。Natsuさんは「ここからがスタートなんだっていうこと。これからより一層アクセルふかしてがんばらなきゃいけないんだ」と、コメントした。

 彼女たちのブログには、これまでややもすると女性誌やファッションサイトが陥りがちだった、通常生活とはかけ離れたハイファッションべったりの「広告塔的価値観」は見あたらない。欧米によくある、高級ブランドで全身を固め、パーティーを巡るようなセレブのブログでもない。

 それらは憧れとして夢見ながら、手の届く身近なアイテムを使って等身大のおしゃれを共に楽しんでいこうという姿勢で共通している。H&Mのワンピースに、ときにはご褒美的にシャネルのバッグをコーディネートに投入したりする、ごく現実的な感覚。掲載内容それ自体に取り立てて新しい発見や分析的視点は少ないものの、受験勉強中の中学生も大学生も、それぞれの立場でファッションへの愛と楽しさを率直に表現しているところが、同世代や同趣味の仲間の共感を呼ぶのだろう。

 もともと自らを表現したい、こんな自分になりたいという欲求の最も身近な手段がファッション。考えてみれば、日々何を着るかということすべては、すなわち「ファッション=主観」に行き着くことを考えると、ウェッブ上の日記の形で思ったことを自由に発信できるブログほど、ファッションにぴったりな道具もなかろう。

 言い換えれば、これは誰しもがファッションを語り、発信するチャンスを有していることを意味している。一方で、こうしたブログ興隆時代に、プロであるファッション紙誌、サイトは何を打ち出して差別化するのか。その視点と企画力、分析力もまた試されている。

プロフィール

柏木友紀(かしわぎ・ゆき)

asahi.comファッション&スタイルページのエディター。

朝日新聞社入社から10ウン年、社会部、アエラ編集部、文化部を経て、09年10月より現職。メディアとファッションなどを主に担当してきた。

3度の食事と4歳になる息子、の次ぐらいにファッションは気にかかるが、生来の面倒くさがりのため、ラクして美しくなれる方法はないものかと思案中。

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