現在位置:
  1. asahi.com
  2. ライフ
  3. ファッション&スタイル
  4. コラム
  5. 柏木友紀 おしゃれチャットBox
  6. 記事

アニヤ・ハインドマーチ 「だからこそ、ラグジュアリーな機能性を」

2011年4月28日

印刷印刷用画面を開く

Check

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真:オープンした店舗でチャリティー・クッキーを手にするアニヤ・ハインドマーチ=22日、東京・南青山 以下、写真はすべて柏木写す拡大オープンした店舗でチャリティー・クッキーを手にするアニヤ・ハインドマーチ=22日、東京・南青山 以下、写真はすべて柏木写す

写真:日本へのエールを込めて作ったケーキ。傍らには募金箱も拡大日本へのエールを込めて作ったケーキ。傍らには募金箱も

写真:英国大使館での朝食会にて拡大英国大使館での朝食会にて

写真:2011年秋冬コレクションの発表会は、ロンドン中心部にある17世紀のタウンハウスで開かれた。ごく普通の外観に、うっかり通り過ぎそうになる=以下すべて今年2月、ロンドン拡大2011年秋冬コレクションの発表会は、ロンドン中心部にある17世紀のタウンハウスで開かれた。ごく普通の外観に、うっかり通り過ぎそうになる=以下すべて今年2月、ロンドン

写真:デザート・テーブルのごちそうよろしく、皿に盛られたシューズやバッグ拡大デザート・テーブルのごちそうよろしく、皿に盛られたシューズやバッグ

写真:紙で出来た木の枝に、大きなタッセルやバッグがつり下げられていた拡大紙で出来た木の枝に、大きなタッセルやバッグがつり下げられていた

写真:大きなタッセルがついた折りたたみ式のクラッチバッグは、来季一番のお気に入り拡大大きなタッセルがついた折りたたみ式のクラッチバッグは、来季一番のお気に入り

 「ファッションで生命は救えないけれど、美しいバッグを手にした時の笑顔を忘れないでほしい」。英国ブランド「アニヤ・ハインドマーチ」の新路面店が先週、東京・南青山にオープンし、デザイナー本人が来日した。この時期の開店には内外に異論もあることは承知しながら、顧客やスタッフを勇気づけたいと、3人の子供を連れてやって来た。英国のウイットと機能性を併せ持つエレガントなデザインについて語った。

 新店舗は、プラダやカルティエなど高級ブランドが軒を連ねる表参道の一角を確保した。ガラス張りのモダンな建築ながら、寄せ木細工の床やアンティークの家具などが配置され、落ち着いた雰囲気。「昔の英国の洋品店をイメージしたの。ヴィクトリア朝時代に美術館で使用されていたキャビネットや、1930年代に海洋博物館で大型船の模型を展示していたショーケースもあるわ」

 英国伝統のかっちりした作りながら、洗練された可愛らしさとウィットをちりばめたバッグで定評がある。写真を大胆にプリントしたトートバッグで一躍注目を集めた。今回は、店頭に並ぶ今季の春夏物も、バイヤーやプレス向け展示会用の来季秋冬物も、その特徴に「ラグジュアリーな機能性」を挙げる。

 「私のようにファッションが大好きで世界中を旅し、仕事と子育てを両立させなければならない人は、物事がうまく調整されていないと困ってしまう。バッグも軽くて持ちやすく、小銭や携帯電話、カードなどがうまく納まって取り出しやすいことが何より大切。そのうえで色味や希少な革、デザインで心躍るものに仕上げています。今の日本でも、常にお水を持ち歩くと言うし、バッグが機能的なことはとても大事だと思う」

 旅をテーマにした春夏コレクション。マキシ・ジップのシリーズは、大きくかぶせるふたの下にカードや携帯電話などを収納するポケットが複数付いている。トレードマークのタッセル使いでスタイリッシュにまとめた。

 来季の秋冬コレクションは、先だって2月のロンドン・ファッションウイーク期間中、17世紀のタウンハウスを会場に「ハインドマーチ家の陰謀」と題して発表された。小さなドアをすり抜けると暖炉脇や木馬、山積みの古書など、いかにも英国的な古めかしさと妖しさが漂うディスプレーの上に、紳士服から着想を得たステッチ使いや大きめの角張ったバッグ、シューズが並んでいた。

 ディナーテーブルの皿の上には、まるでごちそうのように煌めく小さなイブニングバッグやハイヒールが、紙で出来た大樹からは極端に大きなタッセルやバッグが下がる。

 「大きい物と小さいもの、キッチュだったりアンティークだったり。好奇心をそそるものをたくさん集めてみたの。英国らしい伝統、ユーモア、そしてファッションがもたらす高揚感こそが、我々のDNAだと思うから」。そう語っていたアニヤ。

 日本には23店舗を構えることもあり、震災以降沈みがちな人々にエールを送りたいと、ロンドンのショップでは日の丸とブランドのリボンのロゴを組みあわせたケーキやクッキーを作り、募金を募った。新店舗のお披露目でも、シャンパンの代わりにこのお菓子を振る舞った。

 「新しいバッグや靴を身につけた時の晴れやかな気持ちを思い出して。ファッションは人々のしぐさも変えるし、自信も与えてくれる。そんなデザインにいつも心を砕いています」

 滞在中、余震にも見舞われたが、子供たちは「船に揺られているみたい」と驚きこそすれ、怖がらなかったという。この時期の来日を歓迎して英国大使館で開かれた大使との朝食会でも、節電で銀座の街が暗いという話題になれば、「ならばキャンドルナイトを開催してみたらいかが?」と前向き。ロンドンに戻ったら、「日本は今も素晴らしい国よ。子供たちも大好きになったわ」と周囲に伝えたいそうだ。

プロフィール

柏木友紀(かしわぎ・ゆき)

asahi.comファッション&スタイルページのエディター。

朝日新聞社入社から10ウン年、社会部、アエラ編集部、文化部を経て、09年10月より現職。メディアとファッションなどを主に担当してきた。

3度の食事と4歳になる息子、の次ぐらいにファッションは気にかかるが、生来の面倒くさがりのため、ラクして美しくなれる方法はないものかと思案中。

検索フォーム


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内 事業・サービス紹介