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毛布?段ボール?…実は木彫り 仏彫刻家が作品展

2008年02月06日

 古びた毛布、折り曲げた段ボール紙、湾曲したプラスチック板。ありふれたモノに見えるが、実は1枚の板から彫り出されている。そんな驚きを秘めた作品展が、京都市中京区のセレクトショップ「SHINA(シナ)」で開かれている。

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フランスの彫刻家クリスティアン・ルノンシア(右)とデザイナーの永澤陽一=1月20日、京都市中京区のセレクトショップ「SHINA」で

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クリスティアン・ルノンシアの作品「柔らかな毛布の縁」

 作家はフランスのクリスティアン・ルノンシア。木を素材とした作品で知られる。例えば「柔らかな毛布の縁」は、毛羽立つウールや縁のナイロンなどの質感も含め、対象を細部まで再現し、木のぬくもりも感じさせる。

 展示を企画したのは同店のプロデューサーを務めるデザイナー永澤陽一。フランスに暮らした80年代後半にルノンシアの彫刻に出合った。「工芸的な要素と大胆なモダニズムを兼ね備える。ダイナミックだけどストイックな作品に衝撃を受けた」。その後、知人から紹介されて親交を重ねてきた。

 洋服の伝統を継承しつつ新しい素材やシルエットを追求する永澤を、ルノンシアは「深く豊かな文化を担いながら、前に進もうとしている」と評する。モダンアートとは距離を置いて、木彫の可能性を追求する自身の姿勢を重ねているようだ。

 SHINA(075・257・5567)は大正時代の建築という蔵を改装して、07年5月にオープン。2階のギャラリーは太い梁(はり)がむき出しになっている。その空間で、年輪を刻んだ木から「時」そのものを彫り出したような、作品がひっそりと息づいている。展示は3月2日まで。

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