
いま世界で最も影響力のあるデザイナーのひとり、マーク・ジェイコブスのブランドの日本法人が年内に、設立される。LVMHモエへネシー・ルイヴィトングループの同ブランドと住友商事の折半出資。来日した米国本社のベルトラン・スタラ・ブーディヨン最高経営責任者(CEO)がその狙いを語った。
ジェイコブスはルイ・ヴィトンのデザインも手掛けており、村上隆ら現代アーティストとの協業などの意欲的な試みで注目されている。一方で、自身のブランドでは、皮膚がん治療研究を支援する活動などにも力を注ぐ。
「そんな彼の姿勢と感覚を世界で一番理解してくれるのが日本の顧客。トレンディーで可愛らしい作風も日本人好み。デザイナーと顧客がブランドの価値を正確に共有できるのは素晴らしいこと」とブーディヨンCEOは語る。
ジェイコブスのブランドは、この不況下でも売り上げ前年比19%増。日本市場のシェアは世界では7%なので、伸びる余地は十分にあるという。
住友商事と手を組んだのは、ケーブルテレビなどによる「既存型にはない販路」も持つからという理由もある。
経済不安の高まりとともに、ラグジュアリー産業が曲がり角を迎えている。ひとりのカリスマ的なデザイナーが老舗(しにせ)ブランドを切り盛りするこれまでのやり方とは違う、こうした「共有型」の小さなブランドの存在が、巨大グループ企業の明日を担っていくのかも知れない。
(編集委員・高橋牧子)