
ラルフローレン・スティアラップ・コレクションのクロノグラフ。ケースはローズゴールド。自動巻き。

リヒャルト・ランゲ“プール・ル・メリット”。ダイヤルは3枚のディスクで構成されており、すべてエナメル。ケース径40.5ミリ。ケースはピンクゴールド。手巻き。予価1142万4000円。

リヒャルト・ランゲ”プール・ル・メリット”のムーブメント。この中に「鎖引き」が隠されている。

トンダグラフ43トゥールビヨン クロノグラフ。ケース径43ミリ。ケースはホワイトゴールド。自動巻き。予価2992万5000円。

ハンプトン スクエア マグナムXXL。精悍(せいかん)な角型ボディーにブラックのラバーストラップ。ケース径48×37.4ミリ。ケースはステンレススチール。自動巻き。49万8750円。6月発売予定。
国際的な高級時計見本市「ジュネーブ・サロン2009」(S.I.H.H.)が1月19日からオープンした(23日まで)。ジュネーブ空港に隣接したパレクスポ(国際見本市会場)に世界各国からバイヤーが集まり、新作のお披露目はもちろんだが、受発注などを行う本格的なビジネスショーである。スイスではもう一つ、国際時計宝飾見本市「バーゼル・ワールド」が有名であり、これまでは春先に相次いで開催されてきたが、今年はジュネーブ・サロンが2か月ほど先行する形となった。これは初めてのことだ。
歴史的にはバーゼル・ワールドのほうが古く、規模も大きい。ただし、かつては出展社数に比べて手狭であり、一般客も来場する週末には大混雑の状況だった。そんな騒がしさは高級時計に似合わないとして、カルティエ率いる旧バンドーム・グループがスピンアウトする形でジュネーブに場所を移して独立展示会を開いた。それが1991年の第1回ジュネーブ・サロンである。現在ではバーゼル・ワールドの会場も増築などで大幅に拡大しているが、いずれにしてもスイスに2つの国際時計見本市があるのはこうした理由からだ。
とはいっても、1996年ごろまでジュネーブ・サロンの出展社数は5〜6ブランド程度だった。かのフランク・ミュラーも出展したことがあるが、気軽に話しかけられるほど小規模な展示会だった。ところが、高級時計市場の急成長を背景として、参加するブランドが年々増加。特に2002年からはスイスでも屈指の技巧派機械式時計ブランドであるジャガー・ルクルト、IWC、ランゲ&ゾーネが参加することで、量・質ともに大幅に充実した見本市となった。
これまでは16ブランドだったが、さらに今年からラルフローレンが新たに加わり、話題を集めているのである。
時を超えて愛用できる、ラルフローレンの時計
日本にもファンの多い国際的なファッション・ブランド、ラルフローレンが高級時計に進出。ジュネーブ・サロン2009のブースで、初めてその姿をお披露目した。とはいっても、直接的な進出ではなく、カルティエなどの高級時計ブランドを数多く率いるリシュモン・グループとラルフローレンのジョイント・ベンチャーが企画から製造・販売までを行う。出資比率はそれぞれ50%と完全に対等。この新会社のCEO、ギイ・シャティヨン氏によれば、デザイナーのラルフ・ローレン氏が自ら望む時計を作るための会社だという。基本的なコンセプトは、タイムレス、オーセンティック、ハイクオリティー。「私はファッションではなくライフスタイルを作る」と語ってきた同氏の思いが直接的に反映されているわけだ。
具体的には、乗馬のアブミをイメージした天地非対称のケースを持つ「ラルフローレン・スティアラップ」、薄型のドレスウオッチ「ラルフローレン・スリムクラシック」、スポーツラインの「ラルフローレン・スポーティング」の3コレクション。すべて機械式であり、それぞれスモール、ミディアム、ラージの3サイズ。ケース素材はローズゴールド、ホワイトゴールド、プラチナと、かなり高級。スポーティング・コレクションのみステンレススチールのモデルがある。
このため、気になる価格は1万〜3万スイスフランという。日本円にすればおよそ80万円から240万円が中心価格帯となる。とはいっても、普遍的で飽きのこないオーソドックスなスタイルだから、タイムレスに、時を超えて愛用できる。ラルフローレンのファンにとっては、まさに望んでいた一本と感じられるだろう。ただし、国内の発売時期については「年内」とのこと。首を長くして待っていただきたい。
▼アエラ・スタイル・マガジン 山本晃弘編集長から
もしニッポンの男性に、知っているデザイナーを尋ねたとしたら、ラルフ・ローレン氏の名前を挙げる人が一番多いはずです。1967年にブランドをスタートさせて以来、ファッションをファッションだけにとどめず、スポーツ、旅、インテリアなども含めたライフスタイルとして提案してきたことで、圧倒的な人気を獲得してきました。ラルフ・ローレン氏は、ある世代の男性にとってあこがれの暮らしを体現してくれる先生のような存在だったのです。
そんな彼が、自らのブランド名を冠した高級腕時計をローンチするとあって、ジュネーブ・サロンのプレスカンファレンスルームは、多数の男性雑誌、時計専門誌関係者の熱気で包まれました。
まさにラルフローレンの世界観をそのまま表現した機械式時計の登場は、今年のジュネーブ・サロンのトップニュースとなるでしょう。
◆ラルフローレン・スティアラップ・コレクション
乗馬する際に足を乗せるアブミをイメージしたユニークなケース形状。ラルフローレンと乗馬は深い関係にあるので、このブランドにとってのアイコン的なコレクションといえるだろう。時計の天地が非対称なのだが、それだけに個性的であるのも確か。こうした特殊な形をエレガントにまとめるデザインセンスはさすがというほかない。
◆ランゲ&ゾーネ リヒャルト・ランゲ“プール・ル・メリット”
ドイツの名門老舗(しにせ)であり、毎年、ハイレベルで独創的な機械式機構を発表してきた。その伝統に違わず、今年の新作も「鎖引き」を搭載した超の付く複雑時計だ。機械式時計の動力源となるゼンマイは、最初はトルク(力)が強く、ほどけるに従って弱くなる。これでは精度に影響するため、ゼンマイを収める香箱から直接にエネルギーをひきだすのでなく、鎖で中継することでトルクを均質にする仕組み。伝統的なメカニズムながら、高度な技術力が要求される複雑機構である。しかもゼンマイパワーは36時間を経過するとピタリと停止する。36時間以上も可能なのだが、精度が信頼できなくなるため、強制的にブロックされるのである。
こうしたハイレベルなメカニズムを搭載していながら、ダイヤル・フェースは極めてオーソドックスで端正。ゲルマン気質というべきか、実に「いい仕事」をしているのだ。
◆パルミジャーニ・フルリエ トンダグラフ43トゥールビヨン
古時計修復の第一人者だったミシェル・パルミジャーニ氏が1995年に立ち上げたブランド。初期の頃は複雑時計が多かったが、近年はカルパなどのデザイン・コンシャスなコレクションも充実してきた。そんなパルミジャーニの先祖返りともいうべきか、トンダグラフ43トゥールビヨンが登場した。超複雑機構もさることながら、注目したいのはトゥールビヨン部分(6時位置)の精密で美しい仕上がりだ。
◆ボーム&メルシエ ハンプトン スクエア マグナムXXL
1830年創業。スイスでも老舗のブランドだが、スタイリッシュで現代的なデザインの時計を得意とする。今年も4つのコレクションで意欲的な新作が数多く登場したが、ラージケースでタフネスなハンプトン スクエア マグナムXXLに注目したい。ステンレススチールの角型ケースにブラックダイヤル。アクティブで精悍なイメージは、現代を生きる男に不可欠な要素かもしれない。価格も合理的で納得の一語。(ライター 笠木恵司)
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