現在位置:
  1. asahi.com
  2. ライフ
  3. ファッション&スタイル
  4. 話題
  5. 記事

モード誌創刊記念ラッシュ エル、フィガロ、シュプール…

2009年12月14日10時58分

写真:(左)ハイファッション最新号/(右)ハイファッション創刊号拡大(左)ハイファッション最新号/(右)ハイファッション創刊号

写真:(左)シュプール09年9月号/(右)シュプール創刊号拡大(左)シュプール09年9月号/(右)シュプール創刊号

写真:(左)フィガロジャポン最新号/(右)フィガロジャポン創刊号拡大(左)フィガロジャポン最新号/(右)フィガロジャポン創刊号

写真:(左)エル・ジャポン最新号/(右)エル・ジャポン創刊号拡大(左)エル・ジャポン最新号/(右)エル・ジャポン創刊号

 「ハイファッション」50年、「エル・ジャポン」「シュプール」「フィガロジャポン」が20年、そして「ヴォーグ」は10年――ファッションを先導してきたモード誌が、今年から来年にかけて次々と創刊周年記念をうたう。日本の消費者が世界で最も成熟した独自のセンスを持つと言われる背景に、こうした雑誌の功績があるのは確かだ。(編集委員・高橋牧子、菅野俊秀)

■価値観競ってセンス育む

 高度経済成長が加速する1960年に生まれた「ハイファッション」(文化出版局)。「装苑」編集長だった今井田勲が50年代末、「ミセス」の創刊準備に欧州を視察。本場のモードに触発され、日本にハイクラスな服飾文化を紹介する新雑誌の創刊を急いだという。

 創刊号は定価360円と当時としては高価で、表紙には「1$」とも。創刊からしばらく写真の脚注などは日英のバイリンガル編集だった。同誌は05年から再び英語併記になっている。

 おしゃれな既製服が少ない時代、日本のデザイナーらがデザイン画を描き、掲載するために服を仕立てた。いわばオートクチュールの雑誌だった。創刊2号では早くも60年秋冬のパリ・コレクションを紹介している。

 田口淑子エディトリアル・ディレクターは編集部員時代の85年、トップモデル小林麻美を鳥取砂丘に連れ出した。植田正治が写真を撮り、清水哲男が詩を寄せた。そんなモードの枠を越えた企画も売り物だった。

 発行部数は約4万部。IT時代でも、人々には美しいものを手元に所有したい欲求があると田口さんはいう。「モードとの決定的な出会いになるような誌面づくりを目指したい」

    ◇

 20周年を迎える3誌の創刊当時、日本はバブル期で、海外ではベルリンの壁崩壊や天安門事件が起こるなど、価値観が様々に変化した時代だった。ファッションも豪華で装飾的な80年代調からシンプルなスタイルへの転換期。ブランドブームやスーパーモデル人気、東京ストリートスタイルへの注目など、各誌がそれぞれの視点で多様な価値観を競った。

 11月で満20歳の月刊「シュプール」(集英社)は、発行部数は11万5千部。「わかりやすさ」を基準に、日本発の「ちょっとかわいくて、オシャレなテイスト」を大事にしてきた。90年代中頃はトップモデルの普段着、2000年代からは、東京のブランドや1カ月の着こなしなど読者により近い企画を増やした。

 創刊から携わった内田秀美編集長は「多くの読者に向けて、モードはそんなに難しくない、楽しいよと伝えたいと思って続けてきた」と振り返る。

 今年9月号では、活動を休止した東京のグリーンの新作を同誌のウェブで買える企画を発表。商品は2日で完売、1カ月で1千万件のアクセスがあった。「今後も雑誌のテイストを軸にウェブや通販にも力を注ぎ、読者をアジアに広げたい」と内田編集長はいう。

 来年5月号で20周年の「フィガロジャポン」(阪急コミュニケーションズ)は、フランス誌との提携誌。旅やインテリアなど暮らし方も含めたフレンチスタイルを勧めてきた。90年代のフレンチカジュアルブームやその後のパリブランドの人気を引っ張った。発行部数は7万3千部。

 提携誌とはいえ、本国からの転載は数%。「フランス流を日本人のマインドに沿うように心がけてきた」と西村緑編集長は語る。

 来春には現行の隔週刊から創刊当時の月刊に戻す。出版不況のあおりもあるが、「情報社会の中で、スピード感よりじっくり読める物を狙う。毎号完全保存版を目指します」という。

 一方、世界40地域以上で発行されているフランスの女性誌「エル」の日本版「エル・ジャポン」(アシェット婦人画報社)は、世界的な誌面イメージを共有した編集が特徴だ。表紙や特集ページを転載したり、編集経費や広告受注などをシェアしたりすることもある。発行部数は約11万部。

 むろん日本独自の誌面も必要だ。森明子編集長は97年の就任当初、当時の「エル」では異例のブランド特集を打ち出した。時まさに海外ブランドブーム。「例えばプラダなら、ミウッチャの世界観をストレートに見せたかったし、読者もそれを見たかった」

 だがまた時代は変わり、読者は広告的な誌面に敏感になった。パリ・コレなどモードのカレンダーと、そこからこぼれるけれど読者が知りたい情報。「両方への目配りが重要です」と森編集長。おしゃれに加えて食、映画、アートなど、「現代の女性たちに人生を楽しむ種を提供したい」。

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内