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素朴で繊細な伝統工芸 ダブリンのギネス

2010年3月20日12時49分

写真:ギネスの醸造責任者、ファーガル・マレーさん=アイルランド、ダブリンで拡大ギネスの醸造責任者、ファーガル・マレーさん=アイルランド、ダブリンで

写真:19世紀に建てられたパブ「ドヘニー&ネスビット」には毎晩客足が絶えない拡大19世紀に建てられたパブ「ドヘニー&ネスビット」には毎晩客足が絶えない

 アイルランドの服飾や工芸品を一堂に集めて毎年1月、ダブリンで開かれる国際展示会「ショーケース」。アイルランドといえば黒ビールのギネスが有名だ。アイルランド政府商務庁の協力で取材をした展示会場には、伝統的なニットやツイード製品と並び、「GUINNESS」のロゴマークをあしらったTシャツや雑貨がならぶブースも出展していた。

 ギネス独特の香ばしさは、原料の大麦をローストすることで生まれる。「250年の伝統の製法」と醸造責任者ファーガル・マレーさん(47)は胸を張った。「つぎ方や飲み方を含めギネスの在り方そのものがユニークなのです」。グラスはフルートを扱うよう45度に傾けて持つ、泡を見ながら2回に分けて注ぐなど注ぎ方を教わった。

 プロの技を確かめようと、ダブリンのパブ「ドヘニー&ネスビット」を訪ねた。歴史ある店の黒光りするカウンターに立つジェリー・ルーニーさん(65)は「パブは飲むためだけの場所じゃない。わが国の伝統文化なんだ」。人と人が出会い、語らい、店の雰囲気とサービスを楽しむ。そこではギネスが欠かせない。「もちろん丁寧に2回に分けて注いでお出しする。あわてちゃいかんよ」と笑う。

 ルーニーさんが注いでくれたギネスののど越しは、絹のように滑らかだった。パブでギネス。それは生活のスタイルであり、素朴で繊細なアイルランドの「伝統工芸」のひとつでもあるのだ。(菅野俊秀)

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