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【バーゼルワールド2010】名門老舗のチャレンジ精神

2010年3月23日14時50分

写真:時計展示のメーンとなるホール1・1階の風景=佐田美津也撮影
拡大時計展示のメーンとなるホール1・1階の風景=佐田美津也撮影

写真:パテック フィリップ「5170J」。手巻き。ケース径39ミリ、イエローゴールド。682万5000円(税込み予価)。今秋発売予定。
拡大パテック フィリップ「5170J」。手巻き。ケース径39ミリ、イエローゴールド。682万5000円(税込み予価)。今秋発売予定。

写真:オメガ「スピードマスター プロフェッショナル “アポロ・ソユーズ” 35周年記念限定モデル」。手巻き。ケース径42ミリ、ステンレススチール。85万500円(税込み予価)。今夏発売予定。世界限定1975本。
拡大オメガ「スピードマスター プロフェッショナル “アポロ・ソユーズ” 35周年記念限定モデル」。手巻き。ケース径42ミリ、ステンレススチール。85万500円(税込み予価)。今夏発売予定。世界限定1975本。

写真:オメガ「スピードマスター プロフェッショナル “アポロ・ソユーズ”35周年記念限定モデル」の裏面。ドッキングに参加した宇宙飛行士5人の名前などが刻まれている。
拡大オメガ「スピードマスター プロフェッショナル “アポロ・ソユーズ”35周年記念限定モデル」の裏面。ドッキングに参加した宇宙飛行士5人の名前などが刻まれている。

写真:ロレックス「サブマリーナー デイト」。新色のグリーンゴールド・モデル。自動巻き。ケース径40ミリ、ステンレススチール。77万7000円(税込み予価)。今夏発売予定。
拡大ロレックス「サブマリーナー デイト」。新色のグリーンゴールド・モデル。自動巻き。ケース径40ミリ、ステンレススチール。77万7000円(税込み予価)。今夏発売予定。

写真:ブライトリング「スーパーオーシャン」。自動巻き。ケース径42ミリ、ステンレススチール。25万7250円(ラバーベルト仕様、税込み予価)。7月発売予定。
拡大ブライトリング「スーパーオーシャン」。自動巻き。ケース径42ミリ、ステンレススチール。25万7250円(ラバーベルト仕様、税込み予価)。7月発売予定。

写真:バーゼルワールドは午後6時でクローズ。その直後から、ホール1のエントランス付近ではジャズバンドの演奏も。駅に向かうトラムに乗るための行列と、ビール片手に彼らの演奏に聴き入る人たちで、しばらくは大混雑となる=佐田美津也撮影
拡大バーゼルワールドは午後6時でクローズ。その直後から、ホール1のエントランス付近ではジャズバンドの演奏も。駅に向かうトラムに乗るための行列と、ビール片手に彼らの演奏に聴き入る人たちで、しばらくは大混雑となる=佐田美津也撮影

 バーゼルワールドは時計宝飾の国際的なトレードショーだが、時計のメーン会場となるホール1では、いわゆる商業見本市の出展ブースをはるかに超えた規模の「建築物」が少なくない。

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 ホール1・1階のエントランスからしばらく歩くと、右手にパテック フィリップの白く大きなガラス張りの建物が見えてくる。吹き抜けになったウェイティング・スペースから螺旋階段を上っていくと、フロアには商談室のドアがズラリと並ぶ。今年1月に開催されたジュネーブサロン(S.I.H.H.)は横への移動がほとんどだが、バーゼルワールドで取材や商談ともなれば、ブースとなる建物は2階、3階建てから、中には4階建てもあるので、階段による上下移動が欠かせないわけだ。

 そんなパテック フィリップと広い通路をはさんで真向かいに立地しているのが、ロレックスの2つの大きな建物。さらに会場の中央部分にはスウォッチグループのイベントスペースがあり、その近隣にメンバーの各ブランドが立地する。中でもオメガの受付には多数の来客があり、終日混雑が絶えない。

 その中央付近からすぐ左側に立地するブライトリングでは、受付から見上げると巨大なブルーの水槽に無数の魚が泳いでおり、知らない人が見れば、これがまさか「本物」だとは思わないだろう。

 これら4ブランドいずれもスイスの時計界を代表する名門老舗ブランドだが、その地位に甘んじることなく、決してチャレンジ・スピリットを失わないことが高い人気を継続してきた理由である。

 今年も、パテック フィリップは新開発のクロノグラフ・ムーブメントを搭載した新作を発表。ロレックスは人気定番の「エクスプローラー」をサイズアップ。ケースの拡大だけでなく、ムーブメントも新開発というのが、このブランド特有のクラフトマンシップといえるだろう。

 オメガは高い技術力を駆使して、レッドゴールドを進化させた「オレンジゴールド」と呼ぶ、まったく新たな素材(合金)を使用したケースを発表した。ブライトリングは、プロ仕様の人気ダイバーズモデル「スーパーオーシャン」を果敢にリニューアル。これらはほんの一部分を駆け足で紹介しただけで、名門老舗ほどチャレンジ・スピリットに富んでおり、革新的で先進的といっていい。そんな4ブランドの新作速報を以下にまとめてみた。

◆[パテック フィリップ]クロノグラフ・イヤー

 1839年にジュネーブで創業したスイス屈指の実力派名門ブランド。世代を超えて愛用できる時計づくりをポリシーとして、卓越した技術力はもちろん、一切の妥協を許さない最高峰の時計づくりで知られている。

 今年はメンズで16モデル(新しいダイヤルを含めれば20モデル)、レディスでは7モデル11型の新作が発表された。例年同様に旺盛な意欲が感じられるが、特にクロノグラフのモデルが多い。昨年11月に伝統的なコラムホイール制御の新しい手巻きクロノグラフ・ムーブメントを開発。これを搭載した「5170J」モデルが新登場したほか、2005年に開発された世界で最も薄いスプリット秒針クロノグラフ・ムーブメントによる新作「5950A」と、このクロノグラフ機構に永久カレンダーを加えた「5951P」を発表。年次カレンダーにクロノグラフを搭載した「5960」モデルに、鮮やかなブルーのダイヤルを備えたプラチナ仕様のニューバージョン「5960P」も追加された。

 スポーティでエレガントな「ノーチラス」でも、クロノグラフの2モデルをリニューアル。「クロノグラフ・イヤー」とも呼べる多産な年となった。

◆[オメガ]“アポロ・ソユーズ”35周年記念モデル

 1848年創業の老舗だが、1969年に「月面に到達した時計」スピードマスターのブランドと説明したほうが分かりやすいだろう。スポーツ計時も昔から得意分野としており、今年のバンクーバーオリンピック冬季大会のオフィシャル・タイムキーパーも担当している。

 バーゼルワールドでは毎年数多くの新作を発表しており、今年も例外ではなく、「オレンジゴールド」を使ったケースの時計も発表した。レッドゴールドにプラチナを加えることで、鮮やかな色彩の退色を避けられるという。

 新作の中では、やはり「ムーンウオッチ」の系譜を継ぐ「スピードマスター プロフェッショナル “アポロ・ソユーズ”35周年記念限定モデル」が大きな話題といえよう。1975年7月17日、米国の宇宙飛行士とソ連の宇宙飛行士が、両国の宇宙船を結ぶドッキングハッチで顔を合わせた。この時、2人の腕には「オメガ スピードマスター プロフェッショナル」が着けられていたという。その35周年を記念した限定モデルだが、何とダイヤル全面に隕石を使用。3つのインダイヤルの部分は隕石そのものの色とパターンを生かしたつくりになっている。

◆[ロレックス]「サブマリーナー」に新色のグリーン

 今さら説明不要の世界的な有名ブランドだが、前身は1905年にイギリスで創業。1907年にスイスに事務所を開設し、その翌年に「ロレックス」のブランドが誕生した。時計の基本的なデザインをほとんど変えないことでも知られている。

 ただし、昨年は「デイトジャスト」のケース径を拡大した「デイトジャストII」が登場。今年も「エクスプローラー」がケース径36ミリから39ミリにサイズアップされた。「デイトジャスト」の場合は既存モデルと併行する「追加」だが、「エクスプローラー」はすべてこのサイズに移行するため、36ミリのモデルはディスコンとなる。

 また、300メートル防水の「サブマリーナー デイト」もリニューアル。セラミック製の逆回転防止付きベゼルを備えているほか、特殊な処理による「グリーンゴールド」と呼ばれる新色のモデルも登場した。

◆[ブライトリング]ダイバーズモデルをリニューアル

 ベゼルに回転計算尺を備えたパイロット・クロノグラフで一世を風靡したブランド。1884年の設立。昨年は自社でオリジナル・ムーブメントを開発した。

 例年同様に、魅力的な限定モデルが数多く発表されたが、今年のメーンとなるのは完全リニューアルされた人気定番の「スーパーオーシャン」。1500メートル防水というプロ仕様のダイバーズ・ウオッチだが、スーツでも違和感のない、よりハイクォリティで洗練されたモデルとなった。

 特に逆回転防止ベゼルは、ラバーを高温圧着させた後に丁寧に削り取り、金属の数字の部分も露出させるという凝った技法を使用。その結果、手に吸い付くような感触が得られる。ダイヤルもアプライド(植え込み)のアラビック・インデックスなど立体的で高級感も高い。大きく見やすい時分針など、視認性も抜群。(ライター 笠木恵司)

◆アエラ・スタイル・マガジン 山本晃弘編集長から

 文字盤に隕石を使用したオメガの新作、「スピードマスター プロフェッショナル “アポロ・ソユーズ” 35周年記念限定モデル」。私たち取材チームは、見た瞬間に驚き、そしてそのすぐ後に納得したのです。なぜなら、1969年にアポロ11号によって月面に降り立った宇宙飛行士の腕にスピードマスターが付けられていたのは、あまりにも有名なエピソードだからです。もちろん、今回のモデルに使われた隕石が宇宙のどこから降ってきたものかはわかりませんが、オメガが初めて宇宙に降り立った腕時計であることを想起させる見事な意匠だと思います。冷戦時代の終焉間近に、地球上よりも一足早く宇宙で米ソが友好を結んだアポロ・ソユーズのドッキングを題材にしたこの時計は、いわば平和の象徴と言えるでしょう。

 月面着陸から40年以上が過ぎ、オメガはまた、新たなチャレンジをサポートしています。ベルトラン・ピカールというスイスの冒険家が挑む「ソーラーインパルス」と名づけられたそのプロジェクトは、太陽エネルギーだけで世界一周飛行しようという試み。環境やエネルギー問題に一石を投じる有意義なものとして、翼に太陽電池を敷き詰めた飛行機の挑戦が世界中の注目を集めています。こうしたプロジェクトをサポートするオメガの姿勢からは、「人類の歴史と共に歩んでいく」という、ブランドのポリシーのようなものを感じるのです。

 そもそもオメガは、かつては職人によって少量ずつしか作れなかった機械式時計を量産化することに最初に挑んだ、偉大なブランドです。その大きなチャレンジがなければ、私たちは機械式時計の楽しみを享受できていなかったかもしれません。(AERA STYLE MAGAZINE)

【バーゼルワールド2010】開幕 

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