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【バーゼルワールド2010】原点回帰と白と黒

2010年3月25日15時28分

写真:ロンジンのブースの壁に設置された砂時計。上部の器の砂がなくなるとクルリと回転する=佐田美津也撮影拡大ロンジンのブースの壁に設置された砂時計。上部の器の砂がなくなるとクルリと回転する=佐田美津也撮影

写真:カシオのブース外観=佐田美津也撮影拡大カシオのブース外観=佐田美津也撮影

写真:ロンジン「コラムホイール・クロノグラフ」。自動巻き。ケース径39ミリ、ステンレススチール。38万8500円(税込み予価)。今秋発売予定拡大ロンジン「コラムホイール・クロノグラフ」。自動巻き。ケース径39ミリ、ステンレススチール。38万8500円(税込み予価)。今秋発売予定

写真:ゼニス「エル・プリメロ ストライキング10thクロノグラフ」。自動巻き。ケース径42ミリ、ステンレススチール。92万4000円(税込み予価)。皮革ストラップ、ラバーベルト、ブレスレットの3種類合計で世界1969本限定。5月発売予定拡大ゼニス「エル・プリメロ ストライキング10thクロノグラフ」。自動巻き。ケース径42ミリ、ステンレススチール。92万4000円(税込み予価)。皮革ストラップ、ラバーベルト、ブレスレットの3種類合計で世界1969本限定。5月発売予定

写真:ベル&ロス「ヴィンテージBR126」クロノグラフ。自動巻き。ケース径41ミリ、ステンレススチール。44万1000円(税込み予価)。11月発売予定=佐田美津也撮影拡大ベル&ロス「ヴィンテージBR126」クロノグラフ。自動巻き。ケース径41ミリ、ステンレススチール。44万1000円(税込み予価)。11月発売予定=佐田美津也撮影

写真:カシオ「MRG−8100R」。電波ソーラー(タフムーブメント)。ケース径50.7×46.0ミリ、チタン。57万7500円。世界限定50本。7月発売予定拡大カシオ「MRG−8100R」。電波ソーラー(タフムーブメント)。ケース径50.7×46.0ミリ、チタン。57万7500円。世界限定50本。7月発売予定

写真:昼食時にはレストランが大混雑。ホール1の会場外にはソーセージの屋台が設置されているので、「昼食難民」はここでそそくさと食事となる。とはいっても、なかなかの美味=佐田美津也撮影拡大昼食時にはレストランが大混雑。ホール1の会場外にはソーセージの屋台が設置されているので、「昼食難民」はここでそそくさと食事となる。とはいっても、なかなかの美味=佐田美津也撮影

 第1回目の速報で盛況の予感をお伝えしたが、特に3日目(土曜日)はホール1・1階の中央通路が往来する人で一杯となった。昨年に比べて明らかに増加しており、会期中の来場者は主催者の予想通り10万人突破は間違いないと思われる。

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 1月に開催されたジュネーブ・サロン(S.I.H.H.)同様に中国人の関係者も数多く見られた。かつては日本人がそんな立場にあったのだが。

 そこで、少し歴史をふり返ると、1999年から2001年までの3年間が複雑時計も含めた画期的な新作ラッシュであり、この頃から日本でもファッション誌などが頻繁に時計を紹介するようになった。それまでは専門誌とビジネス誌が中心だったから、それによって一気に時計人気が爆発したといっていい。

 この人気を背景に、新たなブランドが次々に参入。ラグジュアリー・ブランドも相次いで機械式時計を手がけるようになった。ゴールドやプラチナなど高級素材や、ダイヤモンドなど宝飾性の強いモデルも急増。全体的に価格も年々上昇してきたので、一種のバブル的な様相を示していたことは否めないだろう。

 その熱気に冷水を浴びせたのが2008年秋からの世界的な金融危機だ。翌年はその直撃を受けたが、今年の人出を見る限りでは、時計市場は予想外に早く復活しつつあるといっていい。

 しかし、主催者も出展ブランドも慎重な姿勢を崩していない。それを象徴するのがダイヤルカラーではないだろうか。今年はブラックとシルバーまたはホワイトが多く感じられたが、これは時計の基本的なカラーである。それに加えてブラウンやブルー、グレーといった中間色のモデルでブランド独自の個性を打ち出していた。その一方で、ダイヤルはアプライド(植え込み)のインデックスなど立体的なモデルが少なくない。つまり、高級時計らしい落ち着きと「彫りの深い顔」が増加しているわけだ。

 機構的には複雑化は小休止。むしろ実用的な機能を高めることに力点が置かれていた。人気定番のリニューアルやバージョンの拡大も目立つ。

 何しろ出展ブランドが多いので、その一部を見た上での感想に過ぎないのだが、これらをまとめれば、やはり「原点回帰」となってしまう。ただし、単純に元に戻ったという意味ではなく、次世代への新たな黎明期を迎えたといえるのではないだろうか。

◆[ロンジン]コラムホイール・クロノグラフ

 1832年に創業。大西洋を無着陸横断飛行したリンドバーグなど様々な冒険家に愛されてきたブランド。昔はクロノグラフを自社で製作できるブランドは数少なく、その中でもロンジンは高く評価されてきた。このため、国際的なスポーツ大会の計時も担当してきた。

 その輝かしい歴史を象徴するクロノグラフの新作が「ロンジン ヘリテージ」。クロノ・プッシャーがクラシカルな「1951」と、モダンな角型の「1954」の2タイプがある。また、デイト表示などにレトログラード機構を使用した「レトログラード ヘリテージ」も新たにラインナップ。

 クラシカルな2カウンターの「リンドバーグ アトランティック ヴォヤージュ」もステンレススチールとローズゴールドの2タイプが発表されており、このコレクションは日本で先行発売される予定。

 そんなロンジンの新作でイチオシなのは「コラムホイール・クロノグラフ」。コラムホイールとはクロノグラフの伝統的な制御機構であり、これもまたロンジンの伝統の象徴といえるだろう。クラシカル・エレガンスなフォルムとデザインなのでスーツにも良く似合う。

◆[ゼニス]ダイヤル1周を10秒で回る秒針

 1865年にスイスのル・ロックルで誕生したブランド。1969年に開発されたハイビートのクロノグラフ・ムーブメント「エル・プリメロ」で世界的な名声を獲得した。一般的な時計ではテンプが6〜8振動で1秒をカウントするが、このムーブメントは10振動で1秒。つまり、機械式にもかかわらず1/10秒をきっちり計測できるわけだ。

 昨年は「エル・プリメロ」40周年として、これを搭載した最初期モデルをリファインして復刻されたが、今年は1秒10振動をダイヤル上で視認できる「エル・プリメロ ストライキング10thクロノグラフ」が発表された。いわゆるフドロワイヤント機構を備えており、クロノ秒針は10秒でダイヤルを1周する。ダイヤル最外周には1から10までの数字と、1/10秒単位の目盛が刻まれているので、0.1秒単位まで見やすく正確に計測できるわけだ。

 また、薄型自動巻きムーブメントの「エリート」を搭載したケース径40ミリで厚さ7・6ミリの「ウルトラ シン」、32ミリのスクウェア(正方形)「ニューヴィンテージ1965」など、今年は小型で薄いエレガントな新作が目立った。

◆[ベル&ロス]「ヴィンテージ」の新作

 ブルーノ・ベラミッシュとカルロス・ロシロという時計好きの2人が1991年にフランス・パリで設立したブランド。まだ20年足らずだが、フランス空軍や警察の特殊部隊などに正式採用されているほか、まるで計器のような角形ラージの「BR01」コレクションが爆発的に大ヒットした。

 実は、このコレクション以前に「ヴィンテージ」コレクションが時計好きに高い人気を誇っていた。今年の新作では、このコレクションを4年ぶりに完全リニューアル。ケース径が37.5ミリから41ミリに拡大されたので、新作といったほうが早いだろう。腕時計を軍用とした1940年代のパイロットウオッチのイメージを継承しており、視認性が高い。

 スモールセコンド(BR123)とクロノグラフ(BR126)の2種類あり、それぞれブラックダイヤルとベージュダイヤルがある。

◆[カシオ]荘厳な赤が際立つ「MR−G」

 1974年に計算機の技術を応用したデジタル時計「カシオトロン」で時計に進出。「G−SHOCK」で世界的なブレイクを果たした国産ブランド。

 今年は3つの特別仕様モデルが発表された。まず、「G−SHOCK」の最上級シリーズ「MR−G」の「MRG−8100R」。日本の伝統色「深緋(こきひ)」を用いて、ブラックボディに荘厳な赤が際立つデザインとなった。都市コードのリングに真紅に輝く再結晶ルビーを使用。随所に「匠の技」も施されており、「和」の趣を世界に発信する斬新なモデルだ。

 その一方で、「オシアナス・マンタ」の「OCW−S1350PS」は、ブルー蒸着を施したサファイアベゼルが幻想的なイメージ。

 アウトドアウオッチ「プロトレック」の最上級モデル「マナスル」の「PRX−2000BT」でもブルー処理を施しており、夜明け前に空が一瞬真青に染まるブルーモーメントがモチーフという。(ライター 笠木恵司)

アエラ・スタイル・マガジン 山本晃弘編集長から

 バーゼルワールドは、スイスの時計ブランドのみならず、世界中から時計と宝飾ブランドが集う国際見本市です。セイコー、シチズン、カシオといった日本の時計ブランドも、もちろん出展しています。日本の職人が生み出す巧みの技、機械式時計と一線を画す先進性、そしてクールジャパンと称されるデザインなどが、海外のバイヤーやプレスからも高い評価を獲得しているのです。

 カシオが2008年に6年ぶりのバーゼル出展を果たしたときには、現地のデイリーペーパーがトップニュースで扱うほどの大きな話題となりました。それ以来3年連続の出展となりますが、話題の中心はもちろんG−SHOCK。タフさを追求する唯一無比のポジショニングで、その存在感は色あせることがありません。昨今はスポーツや音楽のイベントとタイアップする戦略などで、G−SHOCKは常にユースカルチャーに寄り添い続けているのです。

 驚くべきことに、カシオはG−SHOCK以外のブランドもきちんと育てています。洗練されたデザインのクロノグラフ電波ソーラー、オシアナス。多層構造の文字盤が特徴の機能派クロノグラフ、エディフィス。そして本格的なアウトドアに対応したギア、プロトレック。それぞれのブランドが、それぞれの立ち位置を明確にしつつあります。機械式時計の対抗概念として、革新的な技術時計をつくるカシオ。そういったニッチなポジションを確保することに甘んじず、そのマーケットをさらに細分化して成長させていこうとする気概を、応援したいと思います(AERA STYLE MAGAZINE)

【バーゼルワールド2010】開幕 

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