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〈堅固な手作り鞄・2〉「土屋鞄製造所」 天然皮革の風合い

2010年9月6日10時22分

写真:土屋鞄製造所のヌメ革トランク=東京都足立区の本社工房拡大土屋鞄製造所のヌメ革トランク=東京都足立区の本社工房

 旅行用かばんなら、革のトランクも捨てがたい。今は日本で一貫生産する工房は少ない。その一つ、東京都足立区の土屋鞄製造所を訪ねた。毎年、「ジェンマ」というシリーズの革トランクを期間限定で受注生産する。3〜4泊の旅行にいい。国内でなめした最上級のヌメ革で、職人が手作りする。真鍮(しんちゅう)の錠前や、ポケットもあって使いやすい内側の仕上げも美しい。

 創業者で、50年以上かばん作りに携わる土屋國男会長(72)は「革を正確に裁断し、芯材にぴったり張り合わせる作業が重要。この工程がトランクの土台づくりになる」。寸法が狂うと、トランクを寝かせて開けるときに上になる「かぶせ」が、本体にはまらなかったり、すき間が空いたりするのだ。

 底のつなぎ目や補強用の角当て、ベルト通しなど特に耐久性が必要な部分はミシンでなく、職人が手で縫う。持ち手の革の断面はニスを塗っては磨く。納期は約3カ月。昨年の価格は26万円だった。安くはないが05年の発売以来、毎年十数個の注文が入る。今年も秋から年末に受注する予定だ。

 天然皮革は色や風合いが変化し、味わいを生む。手入れと修理をすれば何十年も使えるという。「本物の革で、はやり廃りなく愛されるものを作りたい。ノウハウを後世に残すのも、かばん屋の使命です」(菅野俊秀)

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