2010年10月25日10時59分
眼鏡の選び方は、男性と女性で百八十度違うのだという。
男性の第一声は「かっこいい」「凝ってるな」「この素材すごい」など。機能やうんちくにひかれる傾向がある。
女性は色や形を見て直感的に「きれい」「かわいい」。「この二つの要素がないと売れません」と、福井県鯖江市の眼鏡企画販売会社ボストンクラブの小松原一身(かずみ)社長(52)は言う。
全国の9割の眼鏡フレームを生産する同市では、相手先ブランドによる生産(OEM)が主流だが、同社は四つの自社ブランドのみ。企画と販売を手がけ、製造は地元の約20社に任せる。東京の青山と銀座にも直営店「GLOSS」がある。
1984年創業。日本女性に合う国産眼鏡がないと感じ、90年代後半に作り始めた。現在は細川朋子さん(34)ら4人の女性デザイナーが「BCPC(ベセペセ)」「MUGUET(ミュウゲ)」の2ブランドをデザイン。いずれもフレームの価格は2万〜3万円前後だ。
細川さんによれば、女性には四角より丸いフレームが合い、透明感がある色の方が肌がきれいに見える。同じ茶でも黄みより赤みがかった色がなじむのはメークと同じ。前髪を切りそろえたりアップにしたり、はっきりした髪形が似合いやすいという。同社ではまつ毛がレンズに当たらないように、鼻当てを高めにする工夫もしている。
小松原社長によると00年代、均一価格の激安眼鏡チェーンの出現で、国産眼鏡業界は大打撃を受けた。「いかにニーズをくみ取り、差別化を図るかです」と話す。(安部美香子)