2010年10月26日10時29分
アラフォー、“ギャル系”、“ナチュラル系”。「出版不況」の影響で、ファッション誌にとっても厳しい環境が続いてきたが、今年に入り新雑誌創刊が相次ぐなど、徐々に新しい動きが出始めている。デジタル展開を進める欧米資本の雑誌も含め、ファッション誌は「いま」を映し出す。
今月、ファッション誌に久々の大型創刊が相次ぐ。40代向けの「GLOW(グロー)」(28日創刊)と“ナチュラル系”ファッションの「リンネル」(20日創刊)。発行は、付録路線で「sweet(スウィート)」「InRed(インレッド)」を115万部、70万部まで育てた宝島社だ。
「GLOW」の大平洋子編集長は「spring(スプリング)」「InRed」創刊を成功させた敏腕。「GLOW」では、職業や地域などの属性を設定せず、幅広い層の取りこみを狙う。
「40代=バブル世代」「40代=ラグジュアリー」。そんな設定は思い込みでは。大平さんたちは、そう考え、40代女性たちをインタビューした。「JJ」(光文社)などを読んできたが、「ブランド一辺倒ではなかった」という声が相次いだ。
デパートでも40代向けフロアに腰を落ち着けない。値段やブランドに関係なく、各フロアを垂直に移動しながら買い物を楽しむ。「40代はこうだという枠組みをぶち壊し、自己選択するのが今の40代」。そこで、エルメス、グッチなどの高級ブランドから、H&Mなどのファストファッションまで紹介。創刊号の発行部数は30万部だ。
「リンネル」は、デザインだけでなく素材にもこだわる“ナチュラル系”ファッションを紹介する。西山千香子編集長は「スローライフが広まる中、『天然生活』『クウネル』など食と住がテーマの雑誌が生まれた。その愛読者の中から生まれたのが“ナチュラル系”の流れ」と語る。
想定読者は30〜40代。10代で、「オリーブ」を愛読していた元“オリーブ少女”たちだ。やみくもに流行は追いかけないが、ファッションにはうるさい。そんな女性に刺さる誌面を目指す。創刊号は30万部。
中小出版社の女性誌では、「Popteen(ポップティーン)」(角川春樹事務所)「JELLY(ジェリー)」(ぶんか社)など“ギャル系”雑誌が元気だ。6月創刊の「EDGE(エッジ) STYLE(スタイル)」(双葉社)も好調だ。エグゼクティブ・プロデューサーの島野浩二さんは「王道の女性誌とは違う分野だが、今はこの市場が一番元気」。
ターゲットは「地方の中心都市在住で、週末に渋谷109で買い物をする層」だが、年齢は23〜25歳と“ギャル系”の中では少し高めだ。
「大人ギャルのファッション&ゴシップ誌」(渡辺拓滋編集長)がコンセプト。ハリウッドスターのトラブル情報や“ギャル系”モデルの本音インタビューを取り上げる。
衣服にもリアルさを求める層なので、取り上げる服は109や新宿ルミネなどの人気ブランドが多い。11月号は人気ブランド「MURUA(ムルーア)」のプロデューサーが表紙。発行部数は20万部。
ハイファッションがメーンの欧米系雑誌は、デジタルへの取り組みを加速させる。
「VOGUE NIPPON」などを発行するコンデナスト・パブリケーションズ・ジャパン。「VOGUE NIPPON」は、5月からiPad向けアプリ(ソフト)を販売。11点の累計ダウンロードは10万件を超えた。
ルイ・ヴィトンの広告やクリスチャン・ディオールとのタイアップも実現。目指すは、広告主が消費者に接触できるポイントを複数持つ「マルチプラットホーム・メディアカンパニー」だ。北田淳社長は「特定層向けの雑誌だからこそ、紙以外のメディアを増やしたい」と話す。
対照的に、デジタル雑誌に対して距離を置くのは「ELLE(エル)」「25ans(ヴァンサンカン)」を発行するアシェット婦人画報社。イヴ・ブゴン社長が力を入れるのが、ホームページ「エル・オンライン」の改革だ。現在、制作拠点を上海に置き、共同制作でコストを抑える。
ホームページを訪れた人数は170万人。今後はiPhoneなどへの乗り入れを進める。(竹端直樹)