フェニーチェ2005年5月大津・東京公演

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舞台の華、プリマ競演

 「水の都ベネチアの至宝」といわれるイタリア・フェニーチェ歌劇場の来日公演が5月7日に開幕する。ベルディ作曲「アッティラ」「椿姫」とビゼー作曲「真珠とり」の3演目を上演するほか、焼失した劇場の再建を祝う特別コンサートも開く。「華麗」「重厚」「斬新」と評されるフェニーチェの舞台とともに、プリマドンナたちの華やかな競演もまた、楽しみのひとつだ。

力強さ・感情、ぴったりの役― アッティラ オダベッラ役、ディミトラ・テオドッシュウ

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「アッティラ」プロローグの舞台から。フン族と戦ったアクイレイアの女たちと領主の娘オダベッラ(テオドッシュウ=中央)=フェニーチェ歌劇場提供

 日本でも大人気のソプラノ、ディミトラ・テオドッシュウは3月、ローマ・オペラ座での「アッティラ」に出演した。公演中の楽屋で話を聞いた。 (聞き手 ミラノ在住・音楽ジャーナリスト井内美香)

 ――マリア・カラスが得意としたケルビーニ「メデア」を最近、初めて歌ったそうですね。

 「1月にリスボンの歌劇場で歌いました。思った以上の結果が出て満足しています。今年はデビュー10周年にあたり、大きな目標だったメデア役にたどり着けたと思うと、感無量でした」

 ――フェニーチェ歌劇場との再来日が間近です。

 「大変楽しみです。私の日本デビューは01年フェニーチェ公演の『椿姫』でした。日本の方々の反応が本当に温かく、得がたい体験でした」

 ――「アッティラ」のオダベッラ役は、あなたにとってどのような役ですか。

 「私の国際的キャリアが開けたのは、この役のおかげでした。ベルディの初期のオペラはソプラノにとって難しい役が多く、力強さ、ベルカントの技法、感情表現など、多くのものが必要とされます。オダベッラ役はベルディがまるで私のために書いてくれたかのように、私の声にぴったり合う役なのです」

 ――昨年春の「アッティラ」公演を指揮した音楽監督ビオッティが亡くなりました。

 「マエストロとは1月にミュンヘンの空港で偶然会ったのが最後でした。その時も、日本公演が本当に楽しみだと話していた。誰よりも音楽の喜びを伝えることができる人でした。日本での『アッティラ』の初日は彼にささげて歌います」

演技力が歌と同じ重み― 椿姫 ビオレッタ役、パトリツィア・チョーフィ

 
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パトリツィア・チョーフィ=中村豊氏撮影

 昨年11月、火災後に再建された歌劇場のこけら落とし公演「椿姫」で大役を務めたソプラノのチョーフィは今回が初来日。全身全霊をかけた迫真の演技でヒロインを演じる。(聞き手 上坂樹)

 ――ビオレッタの役作りで一番心掛ける点は?

 「この役はただ歌うだけではだめで、他のオペラ以上に、しっかり演じ切ることが必要です。演劇的な表現が音楽と同じ重みを持っている。一つ一つの音符やフレーズの意味を把握しながら歌うよう努めています」

 ――女性としてビオレッタを、どう受け止めていますか。

 「偉大な女性です。ベルディはデュマ・フィスの原作より偉大な女性に作り上げ、その魂の変化を強調した。社交界で女の武器を使って富を得た娼婦(しょうふ)という事実と、愛のためにはすべてを失ってもいいという覚悟との強い対比があります」

 「彼女は、愛に生きることが恋人の家族や社会から拒否されることを知っていた。最後には身を引き、その行為によってヒロインになり、忌まわしい過去から自分を救済できたのだと思います」

 ――声楽的にも難しい技巧の連続です。

 「たとえば、第1幕のアリア『花より花へ』は生きる喜びを謳歌(おうか)する一方で、病を抱えた悲しみを声で表現する難しさがあります」

 ――「椿姫」で規範とする歌手はいますか。

 「最も影響を受けたのはマリア・カラス。歌唱を超え、この役の究極の表現を確立した人でした」

移り変わる声、楽しんで― 真珠とり レイラ役、アニーク・マッシス

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アニーク・マッシス=フェニーチェ歌劇場提供

 フランス人のマッシスは03年のイタリア・トリエステ歌劇場の日本公演に続き2度目の来日。昨年4月の「真珠とり」ベネチア公演では、「完璧(かんぺき)なテクニック」と各紙で絶賛された。(聞き手 伊藤衆生)

 ――巫女(みこ)レイラ役の面白さとは何ですか。

 「まず、幕ごとに移り変わる様々な色の声を楽しんでいただけます。第1幕は技巧的なコロラトゥーラ、第2幕でリリックに、第3幕はドラマチックな声が必要です。メロディーも多彩で、言い尽くせないくらいの美しい音楽が詰まっている」

 「役柄の内面も変化します。最初は誰にも知られていない神秘的な女性として登場するので、第1幕は純粋さに満ちている。背景には、25歳で作品を書き上げたビゼーの若さもあるでしょう。第2幕でかつての恋人ナディールと再会して愛をはっきり意識する。愛する感情は第3幕で強さへと変わっていきます」

 ――第3幕は頭領ズルガ(バリトン)との二重唱が聞かせどころです。

 「このデュエットには恋人を助けるために命も惜しまないという勇気や強さが凝縮されている」

 「演出は気に入っています。最初は舞台を遠くからとらえ、それが徐々に近づく。演出家がカメラから見たアングルを意識して舞台を作ったように感じられます。次第にレイラの心の中を映し出すような効果があるのです」

 ――ナディール役の中島康晴さんとの共演にも注目が集まっています。

 「ヤスさんとはベネチアでの『真珠とり』が初共演でした。フランス独特の作曲法で書かれたアリアを難なく歌っているのには驚きました。演技もすばらしく、日本での共演が楽しみです」

(2005/05/02)

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