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ヌーヴォー(新酒)だけがボジョレーじゃない2007年11月15日 11月第3木曜日、つまり今日は、ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日だ。バブルの時代は 、成田空港まで出向いて「一番ヌーヴォー」を飲んだ人もいたらしいが、不況とともにお祭り騒ぎも地味になってきた。それでも日本人が一年で一番ワインを飲むのはやっぱりこの日なんだそうである。
さて今回は解禁日を記念して、ボジョレーの話。ボジョレー・ワインはマセラシオン・カルボニックという葡萄の粒を破砕しない醸造方法で造られる。だからエグ味や渋みもなく、フルーティで飲みやすい。そしてこのボジョレー、実は3つの種類に分かれている。 ひとつはもっとも一般的な「広域ワイン」のボジョレー。ボジョレーとはブルゴーニュ地方の南に隣接するワイン産地だが、広域ボジョレーはこの地域の中なら、どこで採れた葡萄(ガメイ種)を使っても構わない決まりになっている。収穫量の制限などもわりと甘い。したがって、値段も安い。味わいは、軽いボジョレーの中でも、もっとも爽やかで飲みやすい。皆さんがヌーヴォーとして買うワインの多くは、この広域ボジョレーだと思う。 次がボジョレー・ヴィラージュ、つまり村名ボジョレー・ワインだ。これは収穫地区が限定され、葡萄の選果も厳しく行われている。したがって、値段も高めである。味わいは、広域ワインのボジョレーより、重厚でしっかりしていて、複雑である。このヴィラージュもののヌーヴォーもかなり多く出回っているが、広域と村名ボジョレーの味わいはかなり違いがあるので、一緒くたにしない方がいい。ちなみにラベルのボジョレーとヌーヴォーの文字の間に、「Villages」という文字が入っていたら、それは村名ボジョレー・ワインのことだ。覚えておくと便利だろう。 そのほか、流通量は少ないが「クリュ・デュ・ボジョレー」というワインも存在する。これはビラージュよりさらに高品質で、ボジョレー地区の中でも良作区とされる北部の指定村で採れた葡萄しか使えない。原料のぶどうはヌーヴォーと同じガメイだが、醸造方法は前に紹介した二つとは異なり、長熟に耐えられるやり方で作っている。ゆえに、クリュ・ボジョレーでは新酒、つまりヌーヴォーは作られていない。フランス人はこれを春まで熟成させて、イースターの日に飲む。 しかし熟成しておいしいのは、クリュ・ボジョレーだけではないと私は思う。今春のフランス取材で、我々はボジョレーの村も訪ねた。ボジョレー地方は丘陵地帯なので、坂を上ったり下りたりしながら葡萄の世話をして、生産者たちは汗だくになっていた。彼らはみんなマジメで気のいいワイン愛好家で、決して大きくはない自宅兼醸造所で、ボジョレー・ワインのバックビンテージを次々と試飲させてくれた。このボジョレーの古酒、きれいに熟成していて、非常にうまかった。6〜7年も経つと、ガメイ品種の持つ独得のクセや軽さがほどよく溶け合い、「やっぱりブルゴーニュ地方のワインだなぁ」と思わせる味になるのである。不思議なものだ。 日本ではヌーヴォーばかりが有名だが、熟成させたボジョレーも悪くない。今年のヌーヴォー、もしも飲み残してしまったら、床下収納庫あたりで寝かして、熟成させてみたらどうだろう。何年かのちに、まったく別のおいしいワインに変貌する……かもしれない。
■今回のコラムに登場したワイン
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