2008年10月21日
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(C)亜樹直 オキモト・シュウ/講談社「神の雫」第9巻(週刊モーニング連載中) |
夜遅くまで仕事をしていると、寝る前にちょっとアルコールを体に入れたくなる。でも、寝酒にワインを飲む場合、せいぜいグラス1杯か2杯程度なので、フルボトルのワインを開ける気がしない。寝酒用として、冷蔵庫にハーフボトルを常に何本かストックしてはいるのだが、疲れていると金属のふたをソムリエナイフではがしたり、コルクを抜く作業がおっくうになる。結局「まぁ、酒ならなんでもいいか……」となり、栓を開けて何日もたつ気の抜けた日本酒をコップで飲んで、シケた気分で寝てしまったりする。
こういう時のために、極小容量の手軽なワインがあったらいいな、と常々感じていたのだが、まさにドンピシャリ、250ミリリットルの缶入りワインというのが売っていた。3年前から日本に輸入されていた商品だそうで、赤ワインと白ワイン、それにスパークリングの赤・白・ロゼと、種類もそこそこそろっている。
このアルミ缶入りワイン『バロークス』はオーストラリアで開発されたアイデア商品である。ワインのようにアルコール度数が高い飲み物を缶に詰めると、アルミもスチールも化学反応が起きてしまい、数カ月で腐食してしまう。しかしこの商品は、アルコールで化学反応を起こさない独自のコーティング剤で缶の内部を覆っているため、5年間の品質保持が可能だという(ただし通気性のあるコルクと違って、アルミ缶は5年寝かせたとしても熟成はしない。念のため……)。
私はさっそくこの缶入りワインのスパークリング、赤・白・ロゼのセットを、ネット酒屋で購入。2〜3日冷蔵庫で寝かせ、この週末に、3本まとめて試飲してみた。
最初に開けたのは赤の泡。カベルネ、シラー、メルローと、重くて渋い品種の混醸だ。炭酸ガスを加えて飲みやすいスパークリングに仕立ててはあるのだが、基本的にこの重たさは泡とは合わない。どうも、ベートーベンを聴きながらヒップホップを踊っているような奇妙な違和感があり、私はイマイチおいしいとは思えなかった。
続いて飲んだ白の泡は、シャルドネとセミヨンのブレンド。シャルドネとセミヨンはオーストラリアの白ワインに多い組み合わせで、青リンゴやライムにトロピカルフルーツ風の香りが加わり、すっきりした飲み口が特徴だ。この白泡の缶ワインも、飲み口さわやかに仕上がっており、赤の泡に比べると、ずっと親しみやすい。ただ欲を言えば、白ワインならではのグリップやエレガントさがもう少し欲しいところだ。どうも飲んだ印象が、缶チューハイのレモン味やライム味とそんなに変わらない気がするのである。
さて最後に飲んだロゼ泡は、3本の中ではいちばん「当たり」だった。口当たりは軽いけれど、ボディはしっかりしていて、香りも華やか。泡とのハーモニーも上出来だ。念のため翌日も試飲してみたところ、炭酸ガスは抜けていたがワイン自体はさほどヘタれておらず、温度が高めでもおいしく飲めた。
世界で初めて製品化に成功したというこの缶ワイン、総合的にみると、非常によくできていると思う。飲む前は「ワインから金属のにおいがするかも」と思っていたが、異臭の類はまったくない。世界中で特許を持つというこの会社のコーティング技術は、さすがである。あとは缶で飲むという違和感になれてしまえば、普通のワインと変わりはない。
熟成を楽しむとか、開くのを待つとか、マニアックな楽しみはまったくないが、寝酒や列車の中などでちょっと飲むには、缶ワインはもってこいの商品。缶ビールや缶チューハイに飽きちゃった人にも、おすすめである。
■アルミ缶入りワイン『バロークス』
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