現在位置:
  1. asahi.com
  2. ライフ
  3. 食と料理
  4. コラム
  5. 「神の雫」作者のノムリエ日記
  6. 記事

手っとり早くワインを開く“デキャンタ代用グッズ”

2008年11月18日

  • 筆者・亜樹 直

漫画

(C)亜樹直 オキモト・シュウ/講談社「神の雫」第16巻(週刊モーニング連載中)

 先週末、魚料理に合わせて白ワインでも飲もうと自宅の小型セラーをのぞいてみたら、白はベルナール・モレの「ピュリニィ・モンラッシェ1級畑ラ・トリュフィエール」06年しか残っていなかった。06年はまだ早いかなと思ったが、ほかはなぜか全部赤ワインだったので、仕方なく栓を開けた。

 ところが、このワインの硬かったこと。酸味が強く、果実味も香りも閉じていた。ちょっと困ったが、夕食時なので開くのを待ってもいられないし、デキャンタを出すのも面倒だったので、引き出しの中にあった「デキャンティングポアラー」というデキャンタ代用グッズを使うことにした。紙を筒状に巻いたような形をしたこのポアラーをボトルの注ぎ口につけると、デキャンタと似たような効果が得られ、手っとり早くワインが開く。グラスに注ぐと「コポコポ…」という空気が混じる音がして、ガチガチだった白ワインも、抵抗なく飲めるくらいに開いてくれた。

 デンマークのデザイン会社が考案したこのデキャンティング・ポアラーは、物理学理論に基づいて開発されたというハイテク商品だ。パイプの真ん中にある金属部分に大きさの異なる穴がいくつか空いていて、その部分をワインが通過すると、空気中の酸素をクルクルと巻き込む。デキャンタージュも空気と混ぜることでワインを柔らかくするのだが、似たような効果が一瞬で得られるわけだ。

 デキャンタが面倒なものぐさワイン愛好家には必携の商品だけれども、若くてガチガチの硬いワインを飲む時には、我々姉弟はこのポアラーをつけた上でさらにデキャンタを行う。そうするとデキャンタを2度繰り返すような効果があり、岩のように硬いワインも、かなり飲めるようになる。

 そういえば先日、ワイナート編集部で05年ボルドー1級シャトーを一気試飲した時、編集部員がアメリカ製の「ヴァンチュリー」という新型のデキャンタ代用用品を出してきた。これは驚くべき新兵器で、ボトルの注ぎ口にセットしてワインを注ぐと「ゴボボボ……」とすさまじい音がして、ワインが空気にひっかきまわされる様子が伝わってくる。いささか優雅さに欠けるが、ワインを開くパワーはものすごく、岩石のようだった05年の1級ワインが、一発で柔らかく変化した。その猛烈パワーに魅せられ、ヴァンチュリーをネットで探したが、見つからなかった。日本には、まだ輸入されていないのかもしれない。

 友人のワイン愛好者T氏は「デキャンティングポアラーより、クレ・デュ・ヴァンのほうが香りが飛ばなくて良い」という。クレ・デュ・ヴァンとは、金・銀・銅の合金でできた勾玉状のものをワインに浸して熟成を促す商品。100ccのワインに1秒浸すと1年分熟成するという。なにやら“おまじない”のようであるが、T氏によれば世界的な発明コンクールでの受賞歴もあるらしく「リリースしたての若いワインも、何度もコレを浸すといいあんばいに熟成する」そうな。

 かくの如くデキャンタ代用グッズも年々ハイテク化が進んでいるが、この手の商品を使うと、香りが弱くなったりワインの本質が見えづらくなったりと、問題も少なくない。ワインはやっぱり「熟成を待って飲む」のが一番には違いないのである。

 しかし「05年のボルドー1級が熟成する頃には、おれたちは肝臓をやられて雲の上の人になってるかもなぁ」と、弟はいう。まさにその通り。熟成を気長に待っていられない身としては、こういうアイデア商品も捨てがたいのだ。

■今回のコラムに登場したワイン関連商品

  • 『デキャンティングポアラー』
  • 『クレ・デュ・ヴァン』

プロフィール

亜樹直(あぎ・ただし)

講談社週刊モーニングでワイン漫画『神の雫』を執筆。これは姉弟共通のペンネームで、2人でユニットを組んで原作を描いている。時に、亜樹直A(姉)、亜樹直B(弟)と名乗ることも。このコラムを担当するのは姉の亜樹直A。2人で飲んだワインや神の雫の取材秘話など、ワインにまつわるさまざまなこぼれ話を披露していく予定。

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内

フード・ドリンク

写真

冬の海産物をお取り寄せ!(11/11)

冷たい荒波にもまれた、冬が旬の海産物。現地でしか味わえないような無添加のウニルイベや、食べ応え抜群の特大本ズワイガニ足、いろいろな海産物がたっぷり入ったセットなど、豊かな自然の恵みをお取り寄せで存分に楽しもう。

写真

冷えた夜にはアツアツ鍋を!(11/4)

鍋料理のおいしい季節が到来! 冷え込む夜には家族や友人とアツアツの鍋を囲みたい。神戸のインドカレー鍋や辛味がまろやかで食べやすいキムチ鍋、楽天ランキング常連のもつ鍋など、みんなで食べたいいろいろな鍋料理をピックアップ。プロのこだわりがつまった鍋で、心身ともにほっこり温まろう。