2009年11月19日
(C)亜樹直 オキモト・シュウ/講談社「神の雫」第12巻(週刊モーニング連載中)
11月19日、つまり本日は09年ボージョレ・ヌーヴォーの「解禁日」である。いやぁ、今年ばかりは本〜当〜にこの日が待ち遠しかった。何を隠そう、私は毎年、ボージョレを飲んで、翌年市場に出回るその年のブルゴーニュ赤ワインの出来を予想するのが楽しみなのである。ボージョレのポテンシャルが非常に高かった05年は、ブルゴーニュワイン全体のレベルも高かった。09年のブルゴーニュワインは、その05年をしのぐ出来ばえという評判なので、ボージョレ・ヌーヴォーも、相当に期待できるはずだ。
09年が良作なのは、ブルゴーニュだけではない。9月、ボルドーへ取材旅行に行った折は、ちょうど収穫期の直前で、まるまると膨らんだ葡萄が畑で輝いていた。この時期に雨が降ると葡萄が水浸しになり、ワインへのダメージは免れないが、10日間の滞在中まったく雨が降らず、一年を通して理想的な気候となった。ボルドーのワイン関係者は口をそろえて「09年は完璧な年だった」と語り、「歴史的ビンテージといわれる82年以来の素晴らしい年になる」という人もいた。ローヌ地方も良い出来ばえだったようで、09年はフランス全土でレベルの高いワインが醸されることになるだろう。
ブルゴーニュのネゴシアン、仲田晃司さんも、09年のブルゴーニュ・ワインの出来ばえをこのように語っていた。
「05年は確かに素晴らしい年でしたが、ブルゴーニュワインとしては果実味もタンニンもいささか強すぎた面があるかなと。でも09年は余剰なところがまったくなく、完璧な年です」とのこと。仲田さんの造る「ルー・デュモン」銘柄のボージョレ・ヌーヴォーは、なんと発売前から予約で売り切れ状態なのだという。09年ボージョレの前評判は、すでに世界中のワインファンの知るところとなっているらしい。
さて……解禁の午前0時を過ぎたところで、アルベール・ビショーのボージョレ・ヌーヴォーとボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォーを同時に開けて、試飲してみた。
まず、ボージョレ・ヌーヴォー。香りが非常に高くて酸味も強く、ボディがしっかりしている。通常、ボージョレはもう少し軽くて甘い飲み口だと思うが、今年のものは凝縮感があってやや重め。甘さもさほど感じられない。辛口でシャープなワインが好きな人にはお勧めだ。
続いて、ボージョレ・ヴィラージュを試飲。ちなみにヴィラージュと名のついたワインは、ボージョレの指定区域の中の限定された特定地域のワインで、葡萄の収穫量の制限が一般のボージョレよりも厳しい。要するにワンランク上のボージョレである。こちらはボージョレよりも良作年ならではのポテンシャルの高さがはっきりと感じられて、かなり驚いた。ボディがしっかりしているのはもちろんだが、香りも非常に芳醇で、高級ワインのような複雑さも備わっている。まるで、ブルゴーニュ村名クラスのワインを飲んでいるかのようだ。値段にしたら数百円の差しかないが、ボージョレとボージョレ・ヴィラージュの味わいの差は、それ以上だと思う。今年はグレート・イヤーなのだから、読者も奮発してヴィラージュを購入してみてはいかがか。
あまりの美味さにボージョレ・ヴィラージュを大量買いしようとネットショップをのぞいてみたら……なんと、気になる銘柄のヌーヴォーはほとんど完売だった。遅れて船便で到着するボージョレを買う手もあるが、揺れない分ワインの疲れが少ないので、私は航空便が好きなのである。嗚呼、残念。
まだヌーヴォーを飲んでいない方へ。今年ばかりは慌てて買いにいった方が良いかも、です。
■今回のコラムに登場したワイン
年末年始を彩る豪華おせちは、百貨店や通販でも毎年完売がでるほどの人気ぶり。ネット通販でも、素材にこだわり、味にこだわり、盛りつけにもこだわった各社自慢のおせちがあふれている。和風・中華・洋風とジャンルもさまざま。来年のお正月のために、売り切れないうちに急いで注文しよう!
街で人気の行列ラーメン。一度は味わってはみたいものの、遠方だったり長蛇の列にくじけてしまったり…という経験がある人も少なくないのでは? そこで、今回は人気店が発売しているお取り寄せラーメンをご紹介しよう。寒空の下で並んだりせずに、名店の味を家庭で手軽に楽しめるのが大きな魅力だ。