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コラム「おいしさ発見」

オニオンスープ〜甘み包む鶏のブイヨン〜

2007年04月04日

 僕がこの世界に入ったばかりのころ、どの店にもオニオンスープはありました。甘みやこくがどれだけ出ているか、競ったものです。ですから、初めてパリに行き、本場のオニオンスープを口にしたとき、がっかりしました。

写真オニオンスープ 撮影・越田悟全

 おいしくなかったんです。タマネギもふわふわと数えるほどで、ブイヨンもこくがない。この気持ち、分かってもらえますか。

 しかし、フランスでの食の成り立ちを考えると、当然なのでしょう。オニオンスープのような料理は炊き出しの延長。王侯貴族のために編み出された「フランス料理」とは全く次元が違うんですね。

 まず、ブイヨンをとります。鶏ガラはよく洗ったら5センチほどのぶつ切りにして、一晩水にさらします。それを水から強火で煮ます。骨と骨が接していると臭みがでるので、へらで混ぜながら沸騰を待ちます。沸騰と同時に黒いあくが浮きますが、しばらくそのままに。あくが白くなったら、一気に取り去ります。その後は、中華で言う「菊の花が咲くように」、水面が沸いている状態を保って約5時間煮詰めます。口の中にゼラチン質が広がる、深い味のブイヨンができあがります。

 新タマネギは水分が多く甘いので、スープ向き。薄切りにしたら約50分、バターでじっくりいためます。大事なのはタマネギがカラメルのようになって、甘みが引き出されていること。色だけでなく、必ず味をみます。

 いため終わったら、ブイヨンを加え、塩、コショウで味を調えます。焼いたフランスパンと削ったチーズをのせ、オーブンで焼いたらできあがりです。(「ル・マンジュ・トゥー」オーナーシェフ)


レシピ

 【材料】(4〜6人分)

 新タマネギ6個(正味1キロ)、バター100グラム、鶏のブイヨン1リットル、塩、コショウ各適宜、薄切りフランスパン8〜12枚(1人分2枚)、グリエールチーズまたはパルメザンチーズ適宜

(1)タマネギの皮をむき、繊維と平行に薄切りにし、バターで約50分いためる。味見をして、甘みがしっかり引き出されていることを確認する。

(2)(1)の鍋にブイヨンを入れ、タマネギのうまみが出るまで少し煮込み、塩とコショウで味を調える。チーズの味があるので、少し物足りない程度の味付けに。

(3)スープを器に入れて、焼いたフランスパンを浮かべる。削ったチーズを散らして、オーブンで5〜7分焼く。

<鶏のブイヨン>

鶏ガラ6羽分、水5リットル

(1)鶏ガラを5センチ程度のぶつ切りにして、よく洗って、一晩水にさらす。

(2)鶏ガラはもう一度よく洗って、水から煮る。沸騰までは木べらでかきまわし、沸騰したら火を少し落とし、あくをそのままにしてしばらく煮る。あくが白っぽくなったら、あくをすくい取る。

(3)鍋底からスープが対流するような火加減で、約5時間、半分程度まで煮詰める。5時間たつ前に水が半分以下になったら、水を足す。ブイヨンは冷蔵庫、または冷凍で保存可能。



プロフィール

谷 昇(たに・のぼる)
1952年、東京生まれ。18歳から料理の道へ。37歳で2度目の渡仏。アルザス地方の三つ星店「クロコディル」で修業。96年から東京都新宿区の「ル・マンジュ・トゥー」のオーナーシェフに。

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