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コラム「おいしさ発見」

刺し身〜塩した小魚、酢で楽しむ〜

2007年06月06日

 あなたの好きな食べ物は、と聞かれると、迷わず「刺し身」と答えます。一塩の甘鯛(あまだい)、若狭の小鯛の笹(ささ)漬けも大好物です。そこで、今回はキス(写真左上)、イサキ(同下)、トビウオなどを刺し身にしました。鮮度のよさが何よりの条件ですが、小魚のほとんどは網でとったものが多く、体表のぬめりがとれているため、どうしても水っぽくなりがちです。そこで、塩で身をしめて余分な水を除き、うまさを引き出す方法を紹介したいと思います。

写真刺し身 撮影・越田悟全

 魚はうろこ、内臓をきれいに取り、頭を落として三枚におろします。腹骨をすくい取って小骨も抜き、両面に薄く塩をふります。キスのように身の薄い魚は、まんべんなく塩がなじむように水でぬらした和紙で身を挟み、紙の上に降り塩をします。これを「紙塩(かみじお)」と言います。

 また、トビウオはあまり味がないので、昆布じめにします。湿らせた昆布を魚で挟んで1時間おけばじゅうぶん。時間をかけすぎたり、昆布で魚をくるんだりすると、昆布の香りばかりが立ってしまうので注意しましょう。塩の量は身の厚さで加減します。

 食べる直前に刺し身にしますが、少しくせのあるイサキは酢にくぐらせて切ると良いでしょう。塩をあててあるので、しょうゆでは味が濃すぎます。二杯酢や煎(い)り酒酢を使うと、繊細なうまさを味わえます。また、米酢のかわりにユズなどかんきつ類、ワサビのかわりにショウガと、自由に食べていただくために、3種の味を用意しました。魚をおろすのが苦手な方も、小魚ならわりと簡単です。何度も作るうちに思わぬ料理の楽しさを発見できると思います。

(「重よし」主人)


レシピ

 【材料】(3、4人分)

 イサキ、キス、トビウオ各1匹、塩適宜、昆布1枚、二杯酢(米酢大さじ2、しょうゆ大さじ1、煮きり酒または出汁(だし)を少々)、かんきつ風味の二杯酢(米酢大さじ1、スダチまたはユズなどのしぼり汁大さじ1、出汁少量)、煎り酒酢(煎り酒大さじ1、米酢大さじ1)、万能ネギ、ミョウガ、木の芽など適宜

(1)魚はいずれもうろこを引き、頭を落とし、三枚におろす。皮をひき、腹身をすいて小骨を取り除く。イサキの皮はとっておく。イサキとトビウオの両面に塩をふり冷蔵庫へ。小一時間おけば十分。水気がでてきたらふき取る。キスは湿らせた和紙で身を挟み、紙の上からやや多めの塩をふって15分ほど置く。トビウオは塩でしめた後、身と身の間にぬらした昆布を挟んで30分置く。

(2)塩をした魚はすべて細切りにする。イサキの皮も湯引きして、細切りにする。

(3)イサキは身と皮、適当に切ったネギとミョウガを合わせ、二杯酢を添える。

(4)キスは木の芽のみじん切りとあわせて、いり酒酢で、トビウオはかんきつ風味の二杯酢で。

    ◇

<煎り酒>酒1.8リットル、カツオ節の端や血合い部分など5かけら(約60グラム)、梅干し大3個、塩15グラムを火にかけ、約720ccになるまで煮詰める。調味料として、ナマスや酢の物に使える。



プロフィール

佐藤憲三(さとう・けんぞう)
1944年、東京生まれ。22歳で日本料理の道へ。27歳のとき、修業先の名古屋の店の名前をもらい、東京・原宿に「東京・重よし」を開店。

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