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コラム「おいしさ発見」

メンチカツ〜エビも混ぜ、こくを出す〜

2007年09月05日

 中学生のころ、部活の帰りにメンチカツやコロッケを買って食べたものです。当時、コロッケが10円、メンチカツが5円高い15円。大好きで、料理人になってからも、まかないで時々作りました。

写真

メンチカツ 撮影・越田悟全

 実はフランス料理で、ひき肉をまとめてパン粉をつけて揚げる、という所作を見たことがありません。そもそも、ひき肉を使った料理がそう多くないのです。パン粉をつけて揚げる料理といえば、ごく薄くたたいた仔(こ)牛肉にパン粉をつけてソテーするコートレットでしょうか。しかし、細かいパン粉を肉に押しつけるようにつけ、揚げるのではなく、多めの油の中で焼く、というイメージです。

 一方、日本の洋食屋さんが作るパン粉揚げは、パン粉を立たせるようにふんわりとまぶし、たっぷりの油で揚げて、さくさく感を出します。今回は洋食屋さんの作るメンチカツを目指し、昔、洋食専門の人に教わった作り方をご紹介します。

 まず、牛のひき肉に、こくを出すためにエビのむき身をたたいて混ぜます。エビは手に入りやすい種類でいいですよ。牛だけですと肉が硬くなりがちですが、それを防ぐ役目も果たします。タマネギのみじん切りはさっといためるだけに。肉臭さを消すためにも、歯ごたえを残すぐらいがいいと思います。タマネギと塩やケチャップなどの調味料も肉とあわせ、6等分して、俵形に成形します。

 小麦粉、卵液、パン粉の順番につけたら、後は揚げるだけ。パン粉はなるべくふんわりとつけ、170度の低温でじっくりと揚げます。揚げ物は作りたてが一番ですよ。

(「ル・マンジュ・トゥー」オーナーシェフ)


レシピ

 【材料】(6個分) 

 牛ひき肉500グラム、タマネギ250グラム、むきエビ100グラム、塩少々、ケチャップ30グラム、コショウ適宜、バター10グラム、パン粉、小麦粉各適宜、卵液1個分

(1)エビの背わたと殻、尾をはずし、包丁の腹でつぶしてから、全体をたたくように細かく包丁を入れる。すり身のようになるくらいが目安。

(2)肉と(1)、塩、ケチャップ、コショウを合わせたら、粘りが出るまでよく練る。

(3)タマネギをみじん切りにして、フライパンにバターを落とし、さっといためる。それを(2)に混ぜ、よく練る。

(4)(3)を6等分して俵形に成形し、小麦粉を周りにはたいてから卵液にくぐらせて、パン粉を全体にまぶす。

(5)メンチカツがかぶる程度の量の油を鍋に入れ、170度ほどの低温で、じっくり揚げる。

 付け合わせはお好みでどうぞ。写真はジャガイモのガーリック揚げです。ジャガイモの皮をよく洗って、皮付きのままくし形に切ります。フライパンに油を多めに入れ、中火で揚げるようにじっくりいためます。忙しくひっくり返したり、かき混ぜたりしないように注意します。きつね色に色づいたら、仕上げに、ガーリックオイルと塩、パセリのみじん切りをふります。



プロフィール

谷 昇(たに・のぼる)
1952年、東京生まれ。18歳から料理の道へ。37歳で2度目の渡仏。アルザス地方の三つ星店「クロコディル」で修業。96年から東京都新宿区の「ル・マンジュ・トゥー」のオーナーシェフに。

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